暦帖ができました。
「暦帖」の製作は、
「こんなものがあったらいいな」という
伊藤まさこさんのアイデアを
かたちにしていくところからはじまりました。
判型(大きさ)は?
紙の厚みは、その質感は?
表紙のイメージは、硬さは、色は?
そして全体のデザインは? ‥‥と、
まずは「理想の暦帖のイメージ」をつくり、
なんどもサンプルをつくってたしかめました。
じっさいに「本」のかたちにする工程を
担当してくださったのは、
長野県伊那市美篶にある、
手製本の会社である美篶堂(みすずどう)です。
美篶堂では、オートメーションではなく、
人の手をつかっての(もちろん、機械の力も借りながら)、
ハンドメイドの製本を手がけています。
その丁寧な仕事は、手軽なノートから特殊な美術書まで、
さまざまな分野でみることができます。
「ほぼ日」ではこれまで「ほぼ日手帳」のコンテンツや
TOBICHIでのイベントで紹介をしたことがありますから、
ご存じのかたもいらっしゃるかもしれませんね。
「weeksdays」が
暦帖の製作にあたって、大切に考えたのは、
なによりも、1年間付き合うにふさわしい品質。
そのために、「冊子」ではなく、
うつくしい「本」のかたちにしよう、
と考えました。
そうして決めた仕様は、布表紙に金の箔押し、
花布、栞付の上製本(ハードカバー)です。
しかし、問題は、束(厚み)。
カレンダーのみをシンプルに収録した
ページ数のすくない本をハードカバーにするには、
ある程度、厚みを出す必要がありました。
それをクリアするために、私たちは、
美篶堂の社長である上島(かみじま)明子さんに
相談しました。
すると、明子さんから、
「絵本製本にしましょう」という提案をいただきました。
ん? 絵本製本って、何だろう?
この「絵本製本」は美篶堂が得意とする技術で、
見開きで片面のみ印刷をして、
小口をノリで貼るというつくりかたの本です。
つまり1ページが2枚仕立てになっており、
左右のページが1枚の紙に印刷されている。
これ、どういう「いいところ」があるかというと、
ぱたんと、きれいに開く!
テーブルに置いて、開いたとき、
のどのところを「ぎゅっ」とおさえなくても、
きれいに開くという仕様は、
スケジュール帳にはとても大切。
それがこの「絵本製本」で実現しました。
「絵本製本」のよいところは、
もうひとつあります。
それは、書き込みをしたときに裏写りしにくいということ。
1ページが2枚を貼り合わせた状態になっているので、
紙に倍の厚みがあって、
万年筆などのペンで記入しても前のページや次のページに
写ってしまうのを防ぐことができます。
また、筆圧の強い人にも安心。
(ただし、1ページめの年間カレンダーと
30ページめの奥付のみ、
製本の仕様により、2枚重ねになっていません。)
用紙は、「アラベール ホワイト」。
柔らかく、画用紙のようなしっかりとした質感で、
繊細なやさしい風合いを持つ紙です。
スケジュール帳に使われることはあまりない、
よい紙なのですけれど、
書き心地もよい、ということも、
この紙を選んだポイントでした。
スケジュールは、見開きで1ヶ月のデザイン。
日付がシンプルに配置されたカレンダーです。
横罫線より縦罫線をすこしだけ薄く印刷することで、
全体の印象が軽やかになり、
数日続く旅行などの予定も
書き込みやすくなる工夫をしています。
カレンダーの上下と、
左の余白をしっかりととっていますので、
メモに使っていただけますよ。