母の口紅。
実家の、
台所からお風呂場に行く途中の
ちょっとした間に、
母の鏡台がありました。
パタンパタンと鏡の扉を開くと、
あら不思議。
自分の横顔も斜め後ろの姿も見ることができる。
子どもだった私はそれがおもしろくて、
時おりのぞきこんでは変な顔をしたり、
ちょっと気取ってみたりして、
いろんな自分を眺めたものでした。
鏡台には小さな引き出しがいくつかありましたが、
とりわけ私が好きだったのが、
真ん中にしつらえられた広くて浅い引き出し。
なぜって?
それは口紅やおしろいが入っていたから。
時どきこっそりとその引き出しを開け、
おしろいをパタパタと頬にはたいたり、
紅を筆に取ってくちびるに塗ってみたり。
母に使ってもいい? と聞けば、
きっと「いいわよ」と応じてくれたはずなのに、
その「こっそり」という感じが、
どうやらよかったらしい。
つまみぐいの感覚と似ているからかな。
今週のweeksdaysは、
CI-VAのバッグをご紹介します。
色合いは、
大好きだった母の口紅にそっくりな、
洒落た赤。
(好評いただいたネイビーのバッグの再販もありますよ。)
持つと、子どもの頃のちょっとうれしい感じを思い出す、
なんだかうれしいバッグなのです。
伊藤まさこ
2019-12-13-FRI