上質な素材で、
着心地よく、
スポーティに。
ALWEL
内田起久世さん
&國安佳子さんインタビュー
洋服の新作は、お店にならぶ半年ほど前に、
メーカーやインポーターによる「展示会」が開かれます。
次のシーズンに向けて、こんな服をつくりましたよ、
ということを、メーカー(アパレルブランド)や
インポーター(輸入商社)がずらりと展示をする。
それを見たバイヤー(セレクトショップや百貨店の人)が、
「これを何枚仕入れたい」と、商談をするのですね。
そうして、製作に入り、半年後に、お店に並ぶ。
ファッションの世界はそんなふうに
「半年早く」動いています。
「weeksdays」がアイテムを仕入れたり、
また、「こんな色で特注(別注)をしたい」
とお願いをするのも、この展示会。
もちろん目的のブランドがあって出かけるわけですけれど、
ときどき、となりに置かれていた別ブランドのアイテムに
「ん?!」と思うこともあります。
「これ、何? すごく素敵」って。
ALWEL(オルウェル)も、そんなブランドでした。
スポーティなのに、おしゃれで、
年齢を問わず着ることができる。
伊藤まさこさんも、ちょうど、
そんな服があったらいいのにと
思っていたところだったので、
さっそく試着。そしてすぐに「やっぱりすごくいい!」。
ぜひ「weeksdays」に、と、おさそいしたのでした。
その展示会を開いていたのは、
輸入アパレル商社のグラストンベリー。
これまでも「weeksdays」では、
イギリスからのインポートものを中心に
幾度か紹介をしてきましたが、
ALWELはなんと唯一の「自社ブランド」。
内田起久世さんと國安佳子さん、
ふたりの女性が「こんな服があったらいいのに」と
ゼロから開発したものだったのです。
「ALWELのスタートは2016年。
ほんとうにミニコレクションから始めました。
今までない新しいタッチを追求した
ラグジュアリーなカットソーです。
その素材を手にしたとき、
これはほんとうに着たいと感じたんです。
スポーティ、という軸は自然に出てきました。
自分たちがふだん何を履くかって言ったら、
足元はスニーカー。
それに合わせて、アクティブに外出をしたいんです。
でもカジュアルすぎる素材のもの、
たとえばスウェットの上下でお外に、というのは、
若い頃ならばへいきでも、40代以降、つらくなる。
でもカッコいいスウェットだったら着たいんです。
デイリーに。
じゃあその「カッコいい」はどんなスタイルだろう?
それがALWELのコンセプトになりました。
スポーツ感がありながら、モード感もあって、
コンフォート(快適)でもあること。
着たときの肌触りも重要ですね」
國安さんは、ながくセレクトショップのバイヤーをつとめ、
ディレクター、プロデューサー的な立場で
ファッションブランドにたずさわってきた人。
いくつものブランドを立ち上げた経験をもっています。
「40代も中盤、後半になったとき、何を着る?
それは最高の素材を使った、
スポーティで、快適な服じゃないかなぁ?」
國安さんはそのテーマを、内田さんになげかけました。
そして、グラストンベリー内で
2人だけでのチームが発足したのでした。
メイド・イン・ジャパンの素材で
スタート
「グラストンベリーは全部インポートなので、
そのなかで日本発をやりたい、と考えました。
そんな折り、最高のものづくりをしている
生地屋さんと出会います。
私たちが追究する「着心地のよさ」を
いっしょにとことん考えてくれる生地屋さんでした。
この出会いから、ものづくりがスタートしたといっても
いいくらいです。
いまも、基本はメイド・イン・ジャパン。
シーズンによっては、
イタリアなどの素材も使うようになりました。
そして、もうひとつ大事だと思ったのが、
素材だけでなくディテールにこだわり、
実際に着たときの見え方です」(國安さん)
そういえば、伊藤まさこさんが気に入ったポイントも、
たとえばカットソーの、首まわりの感じや、
袖丈の、絶妙な長さなど、
じつにこまやかに行き届いたデザインにありました。
「そうなんです。よく、大人の女性向けのカットソーは、
首まわりが広かったりするんですけど、
ALWELでは独自のバランスで首まわりをせまくしています。
そうすることで、品よく洗練された表情にしています。
他にも、袖丈をちょっとだけ短くしたり、
逆にたるみがでるくらい長めにしたり‥‥。
ほんのちょっとのことなんですけど、
着てわかるディテールがたくさんあるんです」(國安さん)
「今までちょっと広めの襟に慣れていた方からすると、
頭を通すとき、ちょっと小っちゃいかな、
と思われるかもしれないくらいの襟ぐりなんです。
でもね、着ていただきたい。
そしてその仕上がりを体験していただきたい。
首のラインが、ほんとうにきれいに見えますから」
(内田さん)
「着て、洗って、乾かして、という着方を想定して、
型崩れしないように、
後ろのセンターで縫製をしています。
これはALWELの特徴のひとつで、デザイン的にも、
スポーティーさと女性らしさが、両方出るんですよ。
このカットソーは、油分やロウ分の多い
100番手の細い糸を使っているので、
しっとり、しなやかなタッチです。
洗いざらし感が好きな方には
ちょっと物足りないかもしれないですけれど」
(國安さん)
「でも、大人が、ジャケットの下に
今日はTシャツが着たいわっていうときに、
すごくしっくりなじみますよ」(内田さん)
「色は、白と黒が基本で、
毎シーズン、定番にしているんですが、
このシーズンは差し色として、
この赤を入れました。
朱に近い、きれいな赤です。
白はぱきっとした清潔感のある白、
黒は、着ていくうちに
どうしても色褪せてきてしまいますが、
ALWELの黒は、なかなかそうなりません。
いい黒です」(國安さん)
「weeksdays別注のネイビーも、
いい色に仕上がりました。
明るすぎない、大人っぽいネイビーです」(内田さん)
同じMサイズでもかたちがちがう?
カットソーのかたちは、
ハーフスリーブ、フレンチスリーブ、
3/4スリーブの3パターン。
3/4スリーブにだけ胸ポケットがついています。
「重ね着をするとき、キャミソールや
タンクトップじゃ寒いんですね、肩が(笑)。
そんなときフレンチスリーブは便利なんです。
フレンチスリーブだけは
ほんのすこしタイトめになっていますが、
これは、重ね着をしたときによれず、
表にひびかずほどよくフィットします」(國安さん)
「同じMサイズでも、いろいろな着方を考えて、
形によってサイズ感を変えています。
例えば、ハーフスリーブは身幅と丈感のバランスが絶妙で、
お尻に引っ掛からず、お尻の下まで行くんです。
余り過ぎず、ピタピタ過ぎず。
なので、下にタイトなパンツを穿いても、
きれいにお尻が隠れますし、
逆にタックインしてもじゅうぶん丈があります。
ハーフスリーブの丈は万能です」(内田さん)
「フレンチスリーブの身幅を狭くしているのは、
冬のインナーにも活躍するようにとの配慮から。
袖下のところもちゃんと
フィットするようにデザインしています」(國安さん)
リモンタの生地をつかって。
ジャケットは‥‥おっ、この生地は見覚えがあります。
もしかしたら‥‥?
「イタリアのリモンタ社のナイロンです」
以前「weeksdays」では
MOJITOの「AL’S COAT」で紹介したことがありますよ!
軽い撥水性があり、くしゃくしゃにしてもかっこいい素材。
「そうですよね。イタリアのこの生地は、
ナイロンだけど、なめらかで
高級感と品のよさがあります。
その素材で、ちょっとビンテージテイストを入れた
ラグラン袖‥‥ドルマンスリーブに近い、
たっぷりした身幅のジャケットをつくりました」
(國安さん)
なるほど、ビンテージテイスト!
90’sっぽいスタイルを、
現代的に解釈したという印象です。
「ボリュームはあるんですけれども、
ウエストの部分と、袖のところが
しっかり留まるようになってるので、
腰にのって、ふわっとした印象になりますよ」
(内田さん)
2色のロングパンツ。
「かなり詰まった肉厚の
起毛素材を使ったパンツです。
旧式の編み機を使用し、
通常の編み機では表現できない
ふくらみと柔らかいタッチが特徴です。
肉厚なわりには軽さがあり、
やさしくあたたかい裏毛で穿き心地抜群です。
いわゆる一般的な綿100%のスウェットにくらべると、
その差は歴然です」
腰まわりのゴムの入る部分の
内側に、共布ではなく、
すべりのいい薄手の素材を使うことで、
スウェットなのに、すっきりしたシルエットに。
もたつき感が、ありません。
このルーズ過ぎないシルエットはとても好評で、
リピーターも多いのだとか。
「1回着たらよかったと、
シーズンごとに色ちがいを求めるお客さまもいます」
(内田さん)
ところで‥‥最後になりますが、
ALWELってどんな意味なんでしょう?
「All is wellの略なんです。
すべてうまくいく、っていう」(内田さん)
「前向きでポジティブな名前でしょう?
着て、ちょっと気分を上げて、
自分らしく快適な毎日を過ごしてほしい、って」
(國安さん)
すべてのアイテムに、ブランド名が、
スポーツブランドぽく、
でも主張しすぎないていどに入っています。
「うんと大きくしたいところなんですけれど、
あまりにスポーティな印象が強くなるので、
ちょっと控えめにしてるんです」(國安さん)
さて、ここまでお読みいただいて、
「國安さんってどんなかた?」と
みなさん興味を持たれたことと思います。
ことばで伝えると、
「カッコよく年を重ねた、すっごく元気なひと」
でした。
ただ“ALWEL”というブランドとしては、
デザイナー個人の印象を強く伝えたいわけではないので
自身は謙虚に、とのことです。
これからも、定番アイテムを核にして、
シーズンごとに新しい提案をしながら、
展開していく予定とのこと。
「weeksdays」初登場のALWEL、
ぜひ、みなさま、おためしくださいね。