fog linen work 関根由美子さんにきく
春の麻、秋冬の麻。
「季節の端境期に、ちょうどいい!」
と、伊藤まさこさんがセレクトした、
fog linen workの2つの服。
春を意識して、
でも秋から冬へというときにも着られる、
べんりな麻と羊毛の混紡素材です。
この素材について、fog linen workの
関根由美子さんにお話をききました。
サラッとした平織りの麻のものは夏もの、
そんなふうにみなさんお考えだと思うんですけれど、
いまは、そんなことはないんですよ。
昔より生地の織り方が進化しましたし、
麻100だけじゃなくてウールを混ぜたり、
起毛させるっていう技術がうまれ、
麻素材の服はオールシーズン着られる、という印象が、
出てきたように思います。
fog linen workでも、一年を通じて
麻の服を提案しています。
麻のデニムをつくって、
オールインワンに。
まず、このオールインワンの素材は、
麻100ですけれど、織り方でいえば、デニムなんです。
デニムって、ほんとうはコットンの綾織り。
それを麻でできないかなと作ってみました。
製造を依頼しているリトアニアの工場も、
麻でデニムを織ったことはなく、
5、6年かかって、完成したんです。
試し織りといっても、
毎回ちゃんと糸を織り機にセットするわけで、
まず、そこが大仕事。
そして織り始めると、セットした糸のぶんは織りますから、
試作品が何百メートルもできる。
そんなことを繰り返して、やっと完成しました。
試作品は、厚さが違うとか、ちょっと密度が違うため、
デニムとは言えないけれど、
綾織りの麻としていい生地でしたから、
それぞれ別のアイテムになっていきました。
やっとできた! と思えたこのデニムは、
ネップの出方もいいし、
裏地に、いかにもデニムらしさがあります。
そこそこ厚みがあり、麻ゆえのハリ感もあって、
洗っていくうちにちょっとクタッとした感じも出ます。
オールインワンは、私も最近よく着ていて、
「weeksdays」でも、
すごく推しているアイテムですよね。
着ていてとても楽だなって感じています。
いっぽうで、お客様と話していると、
オールインワンは着脱が心配だとおっしゃるかたが多い。
これ、実際は着脱が楽ですよね。
臆せず着ていただきたいな、と感じています。
平面の布を2枚、丈も袖もちょっと短めに、
前後ろで縫い合わせているという
とてもシンプルなつくりです。
体に沿うというよりも、
いかようにも着られる服ですね。
オールシーズン着れる素材ですし、
小物の組み合わせで印象が変わりますから。
旅行に行くときもすごく便利でした。
靴は、サンダルでもヒールでも、
ブーツでもスニーカーでも、合わせやすい。
もともとそんなに長めではないけれど、
さらにロールアップしてもいいですよ。
中がわりとゆったりしてるので、
中にカットソーを着たり、できますし、
上からカーディガンを羽織ってもかわいい。
そんなふうに重ね着をするのもおすすめです。
オールインワンを去年1年わりと着て感じたのは、
ひとつだけ問題があるということ。
それは、ウエストがないので、
いくらでも食べられちゃう(笑)!
色は、2つ。
デニムブルーと、ネイビーです。
この2色は海外にも卸しているんですが、
薄いブルーは肌がピンク系で、
髪の色が明るい印象の方に、
濃いブルーは髪の色が濃くて、
肌が濃い色の人に受け入れられている、
という実感があります。
ウールリネンでコートをつくりました。
ウールを麻と混紡にすることで、
保温性が高くて着やすいので、
fog linen workでは秋冬の素材として考えていたんです。
けれどもあるアパレルの方が、
この素材は春先にぜひ、とおっしゃられて。
サマーウールのように、
ちょっとウールが入ったもので、
麻が混ざっていると、
オシャレな感じになるだけじゃなく、
春先にとても気持ちがいいはず、って。
伊藤さんも同じ考えで、
「ぜひ春の服として」と提案をいただきました。
サイズ感はわりとゆったりですが、
肩がそんなに大きくなく、
フワッとしたAラインなので、
着るとコンパクトな感じに見えつつ、
裾が広がってドレープがうまれ、
エレガントな印象になるんです。
外着として使えるよう、麻100の裏地をつけて
つくっているんですが、
このやわらかさは、
家でローブとして使うのにもいいと思います。
ちょっとぜいたくですけれど。
共布のベルトは、結んでも外してもいいですし、
つけたまま垂らすと、
ドレープ感と混じって、いい感じなんです。
後ろで結ぶとちょっとアクセントにもなりますね。
このウールリネン、生なりにみえますが、
それぞれ、染めています。
生なりだと、日焼けして、色むらが出るので。
でも裏地として使っている麻の布は、
原糸の色そのままなんですよ。