伊藤まさこさんが知りたいことがあるというのです。
みんな部屋ではどんな服を着ているの? と。
というのも、今回「weeksdays」でつくったのは、
かなり質のいい部屋着。
部屋着を大事に考えている伊藤さんだからこその
アイデアであり、プロダクトなんですけれど、
「でも、みんなはどうなんだろう?」と。
そこで召集されたメンバーが、
(菅野綾子)、
(小泉絢子)、
(倉持奈々)、
(諏訪まり沙)、
いずれも「ほぼ日」のめんめん。
このメンバーで大丈夫? と、
担当のが思った通り、
かなーり、とっちらかった話になりましたが、
‥‥わかりましたよ!
部屋着を考えることは、部屋を考えること、
そして暮らし方を考えることでもあるのですね。
混乱気味の座談会、全5回で、おとどけします。
すがの・あやこ
京都生まれの京女。編集者。服は派手。
ひとり息子は今春大学を出て就職。
特技は三味線と似顔絵とモノマネと大食い。
「ほぼ日」では女子3人の大食いトリオ
「カロリーメイツ」のリーダーとして活躍、
伊藤まさこさんのことを「顧問」と呼ぶ。
こいずみ・あやこ
旧姓松本。大学生のとき糸井重里に就職相談に来社、
そのまま乗組員になる。現在は取締役に就任。
一女二男の母でもある。
抜群の記憶力を持ち、仲間内からの信頼もあつく、
「出来る女」の代表と言ってもいいはずなのだが、
根本的にトンチキなキャラクターが災いし、
なにかと「おもしろい」人間として扱われる。
「ほぼ日」では「テレビっ子」として有名。
くらもち・なな
糸井重里の仕事管理をひとりでこなす
辣腕マネージャー。
伊藤まさこさんに私淑しており、
「weeksdays」のハードコアユーザーでもある。
「ほぼ日」に転職する前は、
誰もが知る国際的大企業の社長秘書だったのだが、
辞めると知ったおじさまたちが
「おれたちが自腹で金を集めるから、夜の店をやらないか」
と誘ったという色香をもつにもかかわらず、固辞。
ちなみに「ほぼ日」では
その才能はまったく生かされていない。
すわ・まりさ
大学生のときに「ほぼ日」でアルバイト、
その後、高名なグラフィックデザイナーの
もとで修業ののち、「ほぼ日」に帰還。
「weeksdays」では、先輩・山川路子とともに
デザインを担当している。
東京生まれの東京育ちながら、
野生児として育つ。
幼稚園には園舎がなく、
毎日バスで山に連れていかれて遊んでいたという。
うわばみのような酒飲みでもある。
その3カゴの達人。
- あやや
- あっ、ハイッ!(挙手)
- 伊藤
- はい、どうぞ、あややさん。
- あやや
- 伊藤さんは、いっぱいお買い物もしてるし、
物も当然お好きじゃないですか。
ご職業柄からもいっぱいあるはずですよね。
でも、目に見える情報を削ぎ落としてる。
このお部屋を見ても、そうとう少ないですよ。
どういうことなんですか。
- 伊藤
- 人にあげてるからかな。
そもそもね、何かをする時に、
片付けから始まるのが嫌いなの。
たとえばパソコン。
いつもこの食卓で仕事をしてるんだけど、
原稿書こうって思った時に、
これを片付けて、あれを片付けてじゃなくて、
ぱっと始めたいの。
だから食卓の上はいつもなにも置いてないんです。
それを「ほぼ日」のやえさんに言ったら、
ものすごい声で「はぁ~っ!!!」って驚いてた。
- ──
- やえさんは‥‥「an an」の断捨離特集で
「汚部屋度 ★★★★★」って
最高ランクづけされた人ですからねぇ‥‥。
趣味のものを買うときは、
使う用、予備、保存用、3つ買うっていう人ですよ。
- あやや
- いちどおうちに伺ったことがあるんですが、
関東ローム層みたいになってましたよ。
- ──
- ハリー・ポッターがホグワーツに行く前に
異次元の商店街に買い物に行くでしょう、
あそこの魔法の杖の店みたいな感じですよね。
- あやや
- すごい情報量。
ある意味カッコいいですよ。
- 伊藤
- それはそれでいいと思うんだ。
本人が楽しければ、とやかく言うことじゃないし。
でも私はね、料理をしようと思った時に
包丁を研がなくちゃってなるのが嫌なの。
そもそも包丁どこ? ってなるのはもっと嫌。
- スガノ
- いつ片付けるんですか。
- 伊藤
- 使い終わった後に必ず片付けるんです、定位置に。
- あやや
- 何か新しい物を買った時は、
場所を決めてから買うんですか?
- 伊藤
- それが、私、全然ね、
物買う時は何も考えない。
- あやや
- でも家に入ってきた時はどうするんですか。
- 伊藤
- しまわずに、しばらく目につくところに置いとく。
- あやや
- うんうん、それで、それで?
- 伊藤
- ここかなっていう場所に置いて、
そこが物でいっぱいだったら、
前からあるものを片づけるか、処分する。
- スガノ
- 何でしばらく目に付くところに置いておくんですか。
- 伊藤
- 新入りだから、
居場所がないの。
それを探してあげる時間が必要。
- スガノ
- そっか、部屋との親しみがないから、
新入り自らが、
馴染むところを探すんですね。
- 倉持
- パソコンなんかは「すぐ手が届く場所」に
あるのがふつうかなって思っていたんですが、
伊藤さんのところにはないんですね。
- 伊藤
- パソコンも戸棚のなかに入ってる。ほら。
- 倉持
- そこ!
- あやや
- すごーい。
- スガノ
- コードはどうなってるんですか。
電源ケーブルが家のなかで目立たないですよ。
- 伊藤
- コードはここに(カゴを見せる)。
- あやや
- すごい。
- 倉持
- 充電したい時に1回1回出して接続しなおして?
- 伊藤
- うん、そうだよ。
- 倉持
- Wi-Fiも、全部ここに!
- 伊藤
- ルータ、目立つのは嫌じゃない?
- 倉持
- そこが違う‥‥。
- スガノ
- このカゴを売ってほしい!
このカゴが買いたいです!
- ──
- カゴを買えば済む問題なんだろうか。
- すわ
- 中にWi-Fiルーターが入っていて、
電源コードがカゴに空いた穴から出ていますよ。
もともとこうなっていたんですか?
- 伊藤
- 穴はあけてもらいました、
リフォームのときに。
- 倉持
- すごい。なるほど。
- あやや
- これもかわいい。これ何ですか。
- 伊藤
- それはね、昔の北欧のスーツケースなんだけど、
プロジェクターが入ってるの。
引っ越してくる前は、テレビもなかったから、
見たいときはこれを出して壁に映していたんです。
いまはテレビ、壁付けで、あるけれど。
- あやや
- そっか、家電的なものが少ないですね。
- すわ
- たしかに。だから気持ちいいんですね。
目に入ってくるものは、木の素材のものが多くて。
- 倉持
- なにか食べたくなっちゃったみたいな時とか、
そういう時はちょっとは雑然とするものなんですか。
- 伊藤
- 雑然とは、しないですよ。
- 倉持
- エーッ!
- 伊藤
- する時はあるけど、
絶対1日のうちで、自分できれいにする。
- あやや
- すっごく〆切に追われて、
余裕がなくなるみたいなことって
人生にないんですか。
- 伊藤
- そりゃ、ありますよ。
- ──
- 去年、伊藤さんは本を何冊か書いていましたよね。
ふつう、そういうときって、
埋まっちゃうくらい資料が集まると思うんですが。
- 伊藤
- 4冊ぐらい並行していた時がありましたね。
そのときは、ひと塊ずつ資料をつくって、
その原稿を書く時はその資料だけを出してました。
- あやや
- 終わった本の資料は。
- 伊藤
- 捨てます、バンバン。
- スガノ
- そうなんだ。
- 倉持
- やっぱり捨てるっていうことなんだ。
- あやや
- そう、やっぱり捨てないとね。
- スガノ
- 私、宅配便のダンボールが
常に4つぐらい玄関に置いてある。
- 伊藤
- えっ、イヤだ! なにそれ!
- ──
- 今、怒られに行ったでしょう。
- あやや
- さすがに気になりません?
- スガノ
- ううん。大丈夫。
- 伊藤
- もう景色になるのかな。
- あやや
- 開けないまま?
- スガノ
- 開けてない。
ありがとうございますって受け取って、
そのまま別の用事に移るから、
開けないままどんどん積み上がっちゃって。
- ──
- 不要不急のものなんだ?
- スガノ
- 買い置きの猫砂とか、そういうのですね。
本もあります。
全部積み上がって、ひとかたまりになって、
ちょうどパソコン机になりそうだと、
そこで仕事したりしてます。
- 伊藤
- もういっそ、いいと思う!
ちょっと楽しそうだよ、それはね。
- スガノ
- 穴ぐら生活ですから、私。
- 伊藤
- (笑)。
- スガノ
- でも、まさこさん的生活のためには、
まず、宅配便が届いたら開けて、
段ボールをちゃんと捨てるってことですよね。