REPORT

ごはんの時間。
伊藤まさこ

メニューを考えてから食材を揃える、
というスタイルから、
いまあるもので工夫するスタイルへ
みんなの暮らしがちょっと変化しているいま、
伊藤まさこさんはどうしているのかな? 
と気になりました。
きいてみたら「なるべく外に出ないように、
ストックや乾物を使ってやりくりしているんですよ」と。
冷蔵庫のなかに食材がたくさんあるときよりも、
あんまりない中からあたらしい味が生まれることがあると、
知人の料理家のかたから聞いて、
「よしっ!」と思ったのだそうです。
どうやら伊藤家の食卓は、
いまある食材を無駄にせず、
足りない食材は工夫して、
テーブルやうつわも考えて(ここはプロ!)、
ごはんの時間をたのしくする
アイデアにあふれているみたい。
そこで、伊藤さんに、いまの気持ちで、
ほんとうにつくっているものを
紹介してもらうことにしました。

[2]ツナエッグトースト

こもり生活も2週間が過ぎようとしています。
そこで困ったことが発生しました。

私は太陽とともに目がさめる朝型。
それに反して娘は夜型。
休みの日など、
ほおっておくとお昼過ぎまで寝ています。

だんだんと夜更かしに、
そして朝寝坊になる娘を見ていて、
うーむ、どうしたものかと考え、
遅くとも8時には起きることを提案しました。

睡眠が足りなかったら、
その日の夜、早く眠ればいい。
ゴールデンウィーク明けまで続く長丁場。
どこかで区切りをつけないと、
このままダラダラしてしまいそう。
ともに暮らすのですから、
ルールはおたがい守らないとね。

その一方で、
よかったこともたくさんあります。
中でもうれしいのは、
朝、おいしいコーヒーを入れてくれるようになったこと。

ミルで豆を挽いている間に、
お湯を沸かし、いったん少し冷ます。
もう一度、沸かし、また冷ましてから、
粉全体にお湯をかけて‥‥。
コーヒー焙煎家の友人の言葉に忠実に、
ていねいにていねいに入れる娘。

私はというと、
ほかにいろいろすることがあるので、
いつも雑になってしまうのです
(だから味も雑)。

コーヒーを入れる娘の横で作るのは、
彼女の気に入りのツナエッグトースト。
焼いたパンの上に、
卵2個、ツナ缶をひと缶混ぜて焼いたものを
(これでふたり分の量)のせて、
仕上げに黒こしょうを振るだけ。
私が子どものころ、母が作ってくれたなつかしの味です。
卵にツナ缶。
ストックしてあるものでできるので、
きっと挑戦しやすいはず。

ポイントは、たっぷりのオリーブオイルをよく熱して、
強火で一気に焼くことくらい。
ひるまず、火を通しすぎず。
それだけ気をつければ必ずおいしくできあがります。

「今日はお腹空いているから、
ひとりでぜんぶ食べられる!」
というので、今朝は卵ふたつの大盤振る舞い。
「おいしい~」と言いながら、
ものの数分で平らげていました。

よかったね。

2020-04-11-SAT