REPORT

ごはんの時間。
伊藤まさこ

メニューを考えてから食材を揃える、
というスタイルから、
いまあるもので工夫するスタイルへ
みんなの暮らしがちょっと変化しているいま、
伊藤まさこさんはどうしているのかな? 
と気になりました。
きいてみたら「なるべく外に出ないように、
ストックや乾物を使ってやりくりしているんですよ」と。
冷蔵庫のなかに食材がたくさんあるときよりも、
あんまりない中からあたらしい味が生まれることがあると、
知人の料理家のかたから聞いて、
「よしっ!」と思ったのだそうです。
どうやら伊藤家の食卓は、
いまある食材を無駄にせず、
足りない食材は工夫して、
テーブルやうつわも考えて(ここはプロ!)、
ごはんの時間をたのしくする
アイデアにあふれているみたい。
そこで、伊藤さんに、いまの気持ちで、
ほんとうにつくっているものを
紹介してもらうことにしました。

[3]ミートソース

ここのところ実家の母に毎日のように電話をしています。
車で30分ほどしか離れていないけれど、
今はちょっと遠い場所。
まさか会いに行かないことが親孝行になるなんて‥‥と
娘としては、さみしい気持ちでいっぱいですが、
母はいたって元気。
庭仕事をしたり、
縫いものをしたり、
食事のしたくをしていると、
「あっという間に、1日が終わっちゃう」んですって。
母を気遣って電話をしているつもりが、
逆に母から元気をもらう日々なのです。

さて、
昨日とおとといは、
材料も調味料も最小限の、
ささっとできるものにしましたが、
今日は、それにくらべると少し手間のかかる
ミートソースを紹介しようと思います。
とはいっても作り方はとても簡単。
応用が効くので、たくさん作っておくと重宝します。

大きな鍋に、オリーブオイルを熱し、
にんにくと玉ねぎのみじん切りを入れ軽く炒めます。
細く切ったにんじんとセロリを入れさらに炒め、
合挽き肉を入れて火が通ったら、
トマトピュレ(ホールトマトの缶でも)と
ローリエの葉っぱを入れ、
ぐつぐつ煮ること30分。
最後に塩とこしょうで味をととのえます。

作ったその日は、シンプルにパスタの上にのっけて、
クラフトのパルメザンチーズ
(パルミジャーノではなく、このクラフトのが気分!)
をかけていただきます。

トレーにセッティングすると、
ちょっと喫茶店風。
このあとコーヒーでも飲めば、
大満足のお昼ごはんです。

ソースの粗熱が冷めたら、
保存袋に入れて冷凍します。

ベシャメルソースと合わせてラザニアにしたり、
レッドキドニービーンズやスパイスを入れて、
チリコンカンにしたり。
同じメニューが続くと飽きてしまうし、
かといって毎回、ごはん作りに時間もかけられない。
そんな時に、この冷凍ミートソースは大助かりなのです。

母のミートソースは、缶詰のマッシュルームと、
ミートソースの中にさらにミートボールが入った
スペシャル版。
こっくり濃厚で、孫たちが大好きな味ですが、
そういえばいつも「作って!」と甘えてばかりで、
ちゃんと教わったことがないような‥‥。

今度、会う時は
一からきちんと教わらないとね。

2020-04-12-SUN