ロンドン、ハワイ、
メルボルン、ニューヨーク、
パリ、ヘルシンキ、ホーチミン、
ミラノ、ストックホルム。
伊藤まさこさんが、
世界各国、9つの街に住む友人たちと、
オンラインで話をしました。
これまでの暮らしとは
すこし変わってしまったいま、
家の中で多くの時間を過ごす日々を
どうやって過ごしているか、
食事は、生活習慣は、おしゃれは、
ストレス解消方法は?
そして、日本とはちがう社会の現状についてなど、
いろんなテーマでのおしゃべり。
現地からの日常の写真もまじえて、
ちょっと風通しのよいコンテンツに
なったらいいなぁと思います。
●登場するみなさま
ニューヨーク‥‥仁平綾さん
ハワイ‥‥工藤まやさん
ロンドン‥‥イセキアヤコさん
メルボルン‥‥田中博子さん
パリ‥‥鈴木ひろこさん
ヘルシンキ‥‥森下圭子さん
ホーチミン‥‥田中博子さん
ミラノ‥‥小林もりみさん
ストックホルム‥‥明知直子さん
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/04/Aya-Nihei_prof.jpg)
仁平綾
1976年生まれ、編集者・ライター。
2012年よりニューヨーク・ブルックリン在住。
得意ジャンルは、食、猫、クラフト。
雑誌やウェブサイト等への執筆のほか、
著書に、ブルックリンのおすすめスポットを紹介する
私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』vol.01~03、
『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』
(いずれもエクスナレッジ)、
『ニューヨークおいしいものだけ!
朝・昼・夜 食べ歩きガイド』(筑摩書房)、
『ニューヨークの猫は、なぜしあわせなの?』
(朝日新聞出版)、
『ニューヨークでしたい100のこと』(自由国民社)、
伊藤まさこさん・坂田阿希子さんとの共著に
『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、
『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/04/Maya-Creaprof.jpg)
工藤まや
TV、CM、雑誌、イベントなどで活躍する
メディアコーディネーター。
虹がかかることで知られるマノアバレーに住む。
連載などの執筆も行い、
近著に『ハワイ暮らしのお気に入り:
オアフ島ライフスタイルガイド My Daily Hawaii』
がある。
CREAのウェブサイトで
「工藤まやのおもてなしハワイ」を連載中。
ハワイの日々はインスタグラムからどうぞ。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/83ec0904d26760940ce2b74c1b5566d5.jpg)
イセキアヤコ
京都出身。2004年よりイギリス、ロンドン在住。
アンティークやヴィンテージのジュエリーを扱う
ロンドン発信のオンラインショップ、
「tinycrown(タイニークラウン)」
を運営している。
(メルボルン)
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/IMG_0394.jpg)
田中博子
パティスリークリエイター。
1978年生まれ。
福岡で中村調理師専門学校製菓技術科を卒業後、
横浜のノインシュプラーデン(ウィーン・フランス菓子)
にて勤務。
その後、食育料理研究家である
藤野真紀子氏に6年間師事したのち、
2006年にフランスへ。
パリの「L’Ecole Lenôtre」「Le Cordon Bleu Paris」、
プロ向け製菓学校「Ecole Gastronomique Bellouet
Conseil de Paris」などで研修をつみ、
アルザス地方にある「Maison Ferber」で、
ジャムの妖精とも呼ばれ、世界中で注目されている
Christine FERBER氏のもとで1年間働き、
アルザス地方伝統の菓子や料理、ジャムづくりを学ぶ。
帰国後は
東京、福岡を中心に全国でお菓子レッスンを開催。
2011年から<クレアパ CREA-PA>の屋号で活動を開始。
旬のフルーツを贅沢に使った少量生産のジャムやお菓子の
卸販売を始める。
2019年、結婚を機にオーストラリアのメルボルンに移住。
著書に『パウンドケーキの本』
『セルクルで作るタルト』
『家庭で作れるアルザスの素朴なお菓子』
『ジャムの本』などがある。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/prof_suzuki_hiroko.jpg)
鈴木ひろこ
スタイリスト、ライター、コーディネーター、
ファッションコンサルタント。
パリ在住29年。
スタイリストとして、雑誌や広告、
音楽関係などで経験を積んだ後、渡仏。
現在は、女性誌を中心に
パリをはじめ、ヨーロッパ各国で取材・執筆を行い、
ファッション撮影のキャスティングや
オーガナイズを手がける。
日々、パリの街を歩きながら、
人、モノ、コトなど
さまざまな古き良きものや、
新しい発見をすることが趣味。
著書に『フレンチ・シャビーのインテリア』
『大人スウィートなフレンチ・インテリア』
『パリのナチュラルモダン・スタイル』
『シャンペトル・シャビーの家』(グラフィック社)
などがある。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/konmari-or-danshari-and-found-my-old-teiki-from-2001.jpg)
森下圭子
1969年生まれ。
ムーミンの研究がしたくて
1994年の秋にフィンランドへ
夏は島めぐり、秋は森でベリー摘みに始まって茸狩り、
冬は寒中水泳が好き。
現在、ヘルシンキ在住。
「取材や視察のコーディネートや通訳、
翻訳の仕事をしています」
訳書に『ぶた』『アキ・カウリスマキ』、
ミイのおはなし絵本シリーズ、
『ぼくって王さま』
『トーベ・ヤンソン 仕事、愛、ムーミン』などがある。
映画『かもめ食堂』の
アソシエート・プロデューサーとして
初めて映画の仕事を体験。
「ほぼ日」では2004年から2005年にかけて
『サンタの国、フィンランドから。』を、
2009年から2012年にかけて
『フィンランドのおじさんになる方法。』を連載。
2015年には作家・重松清さんのインタビュー、
『トーベ・ヤンソンの人生を、ぼくたちはもう一度生きる。』
にも登場している。
写真は「ちょっと断捨離してみるかと箱を整理していたら、
いきなりでてきた昔の定期券」。
当時はお金がなくて、髪も自分で切っていたので、前
髪が斜めってるのはわざとではなく、
まっすぐ切ってるつもりが結果こうなったのだそう!
(ホーチミン)
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/prof_IMG_7668.jpg)
田中博子
ベトナム手刺繍コーディネーター。
洋書の表紙に写る生春巻きに感動を覚え、
現地に行き、見て、食べて確かめるべく
1996年サイゴン(ホーチミン)旅行を決行。
1999年7月に移り住むまで、
休暇を使って北から南まで何度も旅をする。
住み始めてからは、ベトナム語を学びながら、
現地案内、職人探しをはじめ、
現在は手刺繍を絶やさないよう奔走中。
刺繍以外にはホーチミン近郊でのかご作り、
水牛の角や木製の小物などの手仕事にも携わる。
オンラインショッピングサイト
「Costa-Japan」の刺繍製品全般を担っている。
「ほぼ日」では、伊藤まさこさんとつくった
「ベトナム手刺繍の服。」を、
「weeksdays」では、
「ベトナムのかご」「ベトナム手刺繍のハンカチ」
の製作を担当している。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/prof_kobayashi_morimi.jpg)
小林もりみ
丁寧に作られたイタリア食材を直輸入する
カーサ・モリミ代表。
ミラノ在住10年。
ライフスタイルに特化したプランニング会社に勤務した後、
2000年カーサ・モリミ設立。
2009年スローフードが運営する食科学大学大学院へ。
イタリアに拠点を移す。
”Food as Life Style よく食べることは、よく生きること”
”You are what you eat 台所から始まる、豊かな暮らし”
こうした信念から、添加物不使用、
手間と時間をかけたナチュラルな美味しさを
イタリアから日本に紹介している。
2011年の東日本大震災後、福島の子どもたちの
イタリア保養を行うNPO”オルト・デイ・ソーニ”
(www.ortodeisogni.org)をミラノにて仲間と設立、
代表を務める。
2014年より母校である在ピエモンテ州ポレンツォの
食科学大学大学院
にて非常勤講師として日本の食文化を担当する。
■Instagram
@morimicucinetta
@casamorimi
■Blog
イタリアの小さな台所から
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/prof_akechi_naoko.jpg)
明知直子
1979年生まれ。
フォトグラファー、コーディネーター、
ライター、通訳・翻訳。
千葉大学美術・図工教育課程終了。
その後、IDEEにてインテリアコーディネートに携わる。
2007年渡瑞。北極圏の街キルナに語学留学し、
スウェーデン最古の街シグチューナで写真を学ぶ。
現在、ストックホルムを拠点に北欧の魅力を伝えるプロジェクト
「Handcrafteriet」(「手でつくる」の造語)にて、
幸せは自分たちで作る北欧のライフスタイルや
暮らしを彩るヒントを探っている。
「ほぼ日」では
2012年のほぼ日手帳springの限定カバーで
「ダーラナの春」を販売したさい、
ダーラナ地方と、ダーラヘスト(木彫りの馬)の
魅力を伝える写真のコンテンツに登場。
「weeksdays」では2019年11月に
冬支度のコラム「冬の愉しみ」を執筆。
ホーチミン 田中博子さん[1]バイク便が大活躍、
強いベトナムの人たち、
バックパッカーたち。
田中さんの住むホーチミンは、
この日、午後1時の気温が
なんと37度だったそう!
(ちなみに東京は午後3時、16度でした。)
「weeksdays」のアイテムも手がけ、
ふだんは工場や工房をとびまわっている田中さんに、
ホーチミンでの今の暮らしをおききしました。
- 田中
- こんにちは、伊藤さん。
- 伊藤
- こんにちは!
ホーチミン、すごく暑いんだそうですね。
- 田中
- そうなんです。このあと午後2時くらいまで、
結構暑い時間が続きます。
- 伊藤
- ご自宅ですよね。
元気そうでよかった!
おうちにずっと?
- 田中
- そうなんです。買い物以外はずっと。
こうしてオンラインでも、会えて嬉しいです!
- 伊藤
- 本当に私たちも、嬉しくて。
こうして話せるのが。
- 田中
- 手帳を見たら、この間日本でお会いしたのが
1月22日で、こんなことになるとは
思っていなかった頃でしたね。
- 伊藤
- あっという間でした。
ホーチミンはロックダウンしてから
どれぐらい経ちますか。
- 田中
- 1カ月‥‥経たないくらいですね。
(註:対談は4/18に行われました。)
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/IMG-6941.jpg)
▲3月21日、中心部の交差点。夕方、こんなに空いていることはまずありません。(田中さん)
- 田中
- 3月の末に向かって、感染者数のグラフが、
今日は何人、今日は何人みたいな感じで
ギューッて急に上がっていって。
私はその頃、ちょうど
郊外の工場に検品に通っていたんです。
近くで感染者が出たら、
あたりが封鎖されちゃうので、
はやいうちにと思って。
- 伊藤
- 封鎖!
- 田中
- そう。厳しいんですよ。
工場の向かいに大きなマンションがあって、
そこでもし1人でも感染者が出たら、
その通りごと、入れなくなるんです。
- 伊藤
- 入れなくなったとして、
そのマンションや、地区の住人の
生活はどうなるんですか?
- 田中
- 家から出られません。
すごく徹底しています。
それが2週間続くんですよ。
- 伊藤
- 買い物にも出られない?
- 田中
- 出られないんです。
全部運んでもらうしかない。
- 伊藤
- 食料を運んでくれる
政府のシステムみたいなのはある?
- 田中
- いえ、自分で、配車アプリを使って、
頼んで持ってきてもらうんです。
友人が感染者が出たアパートに住んでいて、
出られなくなっちゃったんですね。
でも、その友人が住んでいる
マンションの管理会社がすごく良かったみたいで、
お水を1ケース、インスタントラーメン1ケース、
その他、当座必要なものを1ケース、
各家庭に配り歩いてくれたんですって。
でも毎日インスタント麺ってわけにもいかない、
とは言っていたけれど。
- 伊藤
- ホーチミンは、市場の活気もすごいし、
路上でも、フォーが食べられたりとかしたけれど。
- 田中
- あ、もう、屋台は一切ダメです。
- 伊藤
- 町にもちょっとお腹がすいたねって、
気軽に安く食べられるお店が多いし、
ふだんの食生活、外食する人が多いでしょう?
だからお店の人も、市民も、
どっちも困ってるんじゃないかと思っていて。
- 田中
- そう、みんな困っていて。
レストランは営業停止中なんだけれど、
半シャッターにしている店もあって。
中も暗いので、やっていない体なんだけれど、
厨房には最小限の人がいて、
営業をつづけているところもありましたよ。
もう諦めて閉めちゃってる店も多いと思うけれど。
- 伊藤
- 外食ができなくなって、
みんな困っていないかしら。
- 田中
- テイクアウトの営業をしている店が多いですね。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/bf7bad0d40467628009e1feb19977e87.jpg)
▲本来ならば、お店の前にたくさんのバイクが並び、若者で賑わうカフェも”TAKE AWAY” のみです。必要最小限のスタッフが頑張っています。(田中さん)
- 田中
- 毎朝6時45分ぐらいに、
自転車でパンを売りに来る人はいるんですよ。
もしかしたら町でも、
路上のパン屋ぐらいはやってるかもしれない。
- 伊藤
- そっか。パンはおうちで焼けないし。
- 田中
- 私は、サワードウのパンを売る店に
週1ぐらいで買いに行って、
薄く切って冷凍庫に入れてます。
食べるものと言えばね、
ドキッとした出来事は、
政府が「お米の輸出を禁止します」
っていう宣言をしたことがあったんです。
食料がなくなったら国民が不安だからと、
輸出するためだったものを止めた。
でも、そこまでするのって、
よほど、行く先が不安だからじゃないのかな、
このあと大丈夫かな、って思って。
でも結局解除されました。
やっぱりお米の農家は、
輸出できないと食べていけないので。
日本もそうだと思うんですけど、
ベトナム政府は経済活動をできるだけ止めないという
政策を取っていて、
輸出に関わる工場は開いているんです。
それで私も検品に行けたんです。
- 伊藤
- 輸送は?
- 田中
- 一応、貨物は全部出てるんです。
- 伊藤
- そんななかで、動いている工場は、緊張しますね。
- 田中
- 1人でも感染者が出たら閉めなきゃいけないから、
工員さんを集めて
国からのレクチャーを受けて稼働しています。
手を洗いましょう、
間隔は2メーター空けましょう、
マスクを必ずしましょう、って。
- 伊藤
- それも政府が派遣して?
- 田中
- オンラインレクチャーだったそうですよ。
街にそういうポスターもあります。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/IMG-6927.jpg)
▲こちらは、SNS上で出回っていました。調べてみたところ、このポスターを描いたHiệpさんは、ポスターを販売したお金で貧しい人へお米を届けたそうです。ポスターの内容は、「家にいることは、国を愛すること」。ということで、家にいて感染拡大を防ぐよう呼びかけています。(田中さん)
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/IMG-74232.jpg)
▲交差点に掲げられた横断幕は、「免疫力を上げる習慣をつけましょう」。ベトナムはスローガンが時節に合わせて掲げられるそうです。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/IMG-74362.jpg)
▲下町のアパートの掲示板に貼られていたもの。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/IMG-7451.jpg)
▲タワーマンションのロビーで配布していたもの。感染拡大を防ぐためにするべき6か条が書かれています。
- 伊藤
- 休業することになったお店などは、
国からの補償はどうなんですか。
- 田中
- 多少、あるとは思うけれど、
一律全員にとか、
そういうのはないはずです。
- 伊藤
- そっか。じゃあやっぱり、
仕事ができない人は本当に困る。
- 田中
- もう倒産している会社が出ているし、
倒産の手続きをしているところもたくさん。
- 伊藤
- そうなんだ‥‥。
田中さんは、どういう感じですか? いま。
- 田中
- 忙しくしているんです。
こうなる前に、工場から
山のようにものを運びこみました。
家で検品などの仕事が出来るように
整えていたんですよ。
いまそれをこなしている感じです。
- 伊藤
- じゃあやることがなくて、っていうよりは、
ちょっとは気が紛れますね。
- 田中
- そうですね。ただ外に出られない。
友達にも会いに行けないですし‥‥。
この厳しさのなかにいると、
日本のニュースを見て
ちょっと心配になることもあります。
意外とみんな、動いているようだから。
- 伊藤
- 普通に会社に行っている人もいますしね。
友人に、やめなよって言っても、
それはできないって‥‥。
- 田中
- 都内に勤めている妹も、
しばらく会社に通っていました。
つい最近です、行かなくていいようになったのは。
- 伊藤
- 会社が決めてくれないと、
どうしようもないですよね。
「じゃあ辞めます」とも言えない状況だし。
- 田中
- 妹には私が怒ったんです。
「そんな会社辞めてしまいなさい」
「こんなときに会社に来させるなんて、
ちょっとどうかしてるよ」って。
妹は、毎日電車に乗って都内に行っていたから、
精神的に厳しかったみたいで、
私の言葉をうけてか、会社に言ったそうです。
「このまま続くようだったら
会社を辞めることも考えています」って。
でも、通わなくていいようになってよかったです。
- 伊藤
- そんなふうに会社に言える人は
少ないかもしれないですね‥‥。
来月の家賃どうしよう、って思ったら、
その決断はしづらいですし。
こちらは、そこまで考えている人もいれば、
すごくのんきな人もいて、
外でマスクをせず雑談してる人もいる。
「えっ?」って思っちゃう。
私のほうががおかしいの? って。
- 田中
- 広い通りから小道に入ったところに
住んでるんですけど、
その突き当りが幼稚園だったんです。
その幼稚園を壊して小学校に建て替えて、
この旧正月の休暇が終わってから
小学校が始まる予定だったんだけど、
休みのまま、開校していないんですね。
家で検品をしてたら大家さんから連絡が入って、
そこが隔離施設になるって。
検疫隔離だから発症してる人ではなく、
濃厚接触のあった人や、
海外から帰国した人が飛行機を降りたら
有無を言わさずそこに連れて来られて
2週間いてもらうための施設です。
もし、そこで発症したら病院に搬送するための。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/bfb69c1affbb5cf58a80d24751da4aee.jpg)
▲3月21日の朝刊。ベトナム入国者全員が、コロナウイルス感染拡大を防ぐため、検疫隔離が決定しました。
- 田中
- 心配なのは、
大家さんのおじいちゃんとおばあちゃんが
94歳だってことです。
- 伊藤
- ああ、それは心配。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/IMG_4910.jpeg)
▲大家さんのおばあちゃん。
- 田中
- 私が検品先の工場から
ウィルスを持って帰っちゃったら大変でしょう。
だから、早いうちに商品を家に運んでもらって、
家でできるようにしていたんですけれど。
- 伊藤
- そっか。
田中さんは、仕事先の人とのやりとりは?
- 田中
- ふだんは製品づくりの指示書を書いて
持っていって話すんですが、
いまは家で仕様書に詳細に書き込み、
服だったら、パターンと布をセットして、
工場までバイク便に運んでもらっています。
わからないところは
Zaloというコミュニケーションツールで
連絡を取り合って確認します。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/3137fea651ce1f4893c104a09587137e.jpg)
▲田中さんが刺繍製品全般を担っている@costa.japanの資料。
- 伊藤
- いまは、写真もメモも、
すぐに撮れるし書いて送れるからいいですね。
- 田中
- ない時代は大変でしたよね。
電話でずっとしゃべらなきゃいけなかった。
でもまあ、普段よりちょっと
やることが多いねっていうぐらいで、
そんなに基本的に変わらない生活をしてます。
ふだんの生活より、
ちょっと作り置きするものが増えたくらいで。
家中の保存容器を総動員(笑)。
- 伊藤
- 私も確かにそう!
作ったものをおすそ分けするときのための
ジップロックを、とうとう家で使い始めました。
- 田中
- でもね、たいへんだたいへんだって言っても、
戦争のときって、
もっとすごかったんだろうなと思うんです。
それを考えたら、楽ですよ。
爆弾が降ってくるわけじゃないから。
- 伊藤
- 確かにそうかも。食べるものもあるし、
家にいれば安全なんだから。
- 田中
- ベトナム人は強いから。
ベトナム戦争が終わったのが
1975年ですから。
- 伊藤
- 戦争が記憶に新しい人もいますものね。
- 田中
- みんなたくましいですよ。
- 伊藤
- どういうふうなときに、
そのたくましさを感じる?
- 田中
- 慌てずにすぐ受け入れるところですね。
言われたらマスクはみんなするし、
規律も守る。
最初の頃、私が慌てているふうに見えたのか、
「起きたことはどうにもできないから、
受け入れて、ヒロコ!」って言われましたよ。
- 伊藤
- すごい。すごいなあ。
「受け入れて!」かぁ。
考えても仕方のないことでイライラしたり
怒ったりするんじゃなくてね。
- 田中
- 検品してる間じゅう、
毎日言われてました(笑)。
- 伊藤
- 外国から来てひとりで仕事をしているから
心配してくれたんですね、きっと。
それは年上の方がおっしゃるの?
関係なく、みんなそういう感じ?
- 田中
- 若い子たちもそう言ってます。
- 伊藤
- それはすごいなあ。
- 田中
- スマートフォンをみんな持ってるから、
ニュースもちゃんとチェックして、
教えてくれるんです。
- 伊藤
- SNSでデマが回ったりはしませんか。
- 田中
- 何回かあったけれど、
捕まった人が出て、おさまりました。
1人捕まると、次は出ないんです。
マスクを高く売ったら罰金とか、そういうのもあるし。
- 伊藤
- なるほど。
- 田中
- そうそう、先日、工場帰りにバスに乗ったとき、
停留所にバスが来たのに扉を開けてくれなくて。
「え?」と思ってたら、
窓からおじさんが「手を出せ!手を!」と叫んでいて、
手を出したら、
そこにポトンってアルコールジェルを乗せてくれて、
ゴシゴシしたら、バッて扉が開きました(笑)。
- 伊藤
- へえ~!
- 田中
- それをしないと、乗せないみたい。
- 伊藤
- 東京でもね、今日、食材を買いに出たら、
スーパーの入口にレーンができていて、
人が立って、距離を空けるように指示してました。
手のアルコール消毒はもちろん、
カートも全部消毒していて、
こんなに徹底しているスーパーもあるんだ、
って思いました。
みんなひとりで来ていましたし。
- 田中
- こっちは検温もされますよ。
今日、銀行に行ったら、
入り口でおでこにピッとされました。
37度以上の人は帰らせるって。
そんなに感染者は多くないんですけれどね。
今日(4/18)までに、ベトナム全土で
感染者が268人です。
- 伊藤
- えっ、すごい。
それでもロックダウンをしたんですね。
だからこそ少なく抑えられているんだと思う。
- 田中
- そうですね。本当に厳しい。
うちの奥の検疫隔離所も、
最高で14人くらい入ってたときがあったけれど、
みんな問題ないから徐々に出て行きました。
昨日ちょっと騒がしかったから、
どうしたのかなと思ったら、
外国人が4人入ったと。
ホーチミンに、バックパッカー街があるんですよ。
そこから。
- 伊藤
- そっか! そういう人たちって、
どうしているのかなって思っていたんです。
帰国できなかったりもしますよね。
- 田中
- 帰れなくなっちゃった人もいますよね。
結構早い段階で空港が閉鎖され、
国際線があっという間に飛ばなくなったので。
そのバックパッカー街にも隔離施設があるんですが、
そっちがいっぱいだからこっちに来たって。
「え、そっちがいっぱいって何人いるの?」
と思いましたけれど。
- 伊藤
- 確かにねえ。
外国でこの事態を迎えて、
帰国もできないと想像すると‥‥。
バックパッキングの旅は、
予算も潤沢ではないだろうし。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2020/05/e43e96dfc9277016f2058e85221fa93f.jpg)
▲マスクをして、夕方ジョギングや散歩に出かける人々。気分転換になるでしょうけれど、見ている私の方が息苦しさを感じてしまいます。(田中さん)