COLUMN
わたしの、赤。
おおたうに
パティシエ、塗師、イラストレーター、画家。
4人のクリエイターのみなさんに
「赤」についてのエッセイを書いていただきました。
おおたうに
イラストレーター、エッセイスト。
1974年東京生まれ、横浜育ち。
日本大学藝術学部放送学科卒。
かわいいもの(こと)、きれいなもの(こと)が大好き。
洋服や女の子や映画やおいしいものも大好き。
買いもののイラストエッセイ
『チェリーコーク』シリーズや、
『シネマdeモード』(朝日新聞出版)
『和の色洒落色』(メディアファクトリー)
『Ladyのたしなみ』(KADOKAWA)など
著作多数。
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赤いもの、いろいろ。
陽の光を見ない生白い脚がちらりと覗く、花魁の襦袢。
京劇のあでやかなお化粧。
マリリン・モンローのくちびる。
さくらんぼの艶やかさ。
ドラマチックなベッドカバー。
旧い教会のステンドグラス。
聖人の胸から流れる厳かな戒め。
憧れの靴の裏側。
「南の島のフローネ」が川の中で拾った石。
ずっと欲しい、高崎のだるまさんの土鍋。
台湾の刺繍の鞄。
祖父が飲んでいた、光を通す綺麗なお薬。
宝石の粉を集めて熱を加えてつくる、
アンティークリングの甘い輝き。
初めて塗ったマニキュアのときめき。
怒りや煽情、愛から派生するそれら。
まぶたの裏に見る、自分の生命の色。
わたしの、赤。
2020-06-02-TUE