展覧会「まさこ百景」
全景解説 その1
「なんで同じものがいくつもほしくなっちゃうんだろ?」
「お金をかけなくてもいいものってある」
2020年8月6日(木)から22日(土)まで開かれる
展覧会「まさこ百景」。
東京・渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」が
どんなことになっているのか、
開催前日に撮影した写真と解説でお届けします。
写真=有賀傑
お金をかけなくてもいいものってある
よいものはお金を出せば手に入るものでもないのです。
梱包屋、荒物屋、市場、薬局、道ばた、海辺、スーパー‥‥
よーくよーく目を凝らすと、
ふだんの生活圏内にキラリと光る
何かが見つかることもあるんです。
だから私はいつもキョロキョロしながら
「光るなにか」を探しています。
そう、宝ものは案外身近にあるものなのです。
(伊藤まさこ)
【出展するもの】紅茶缶/ステンレスのカップとレンゲ/クラフトペーパーとバッグ/石/アルミのヘラ/保存袋/ワインのコルク/紐/綿棒/桜の楊枝/ペーパーナプキン/ワインの木箱/れんげ
会場入り口の壁面を埋めるクラフトの紙袋!
ここから「まさこ百景」がスタート、
そして「お金をかけなくてもいいものってある」の
コーナーもはじまります。
この紙袋は、「何の変哲もないんだけど、
それぞれ形が違って面白いなと思って」
という伊藤さんのアイデア。つまりウエルカムボード!
「これ以上ないくらい素っ気ないものが好き。
いっぱいあっても全然うるさくないでしょう?」
という伊藤さんの考えを象徴するようなアイテムです。
そして、コーナーの平台にならぶのは、
拾ってきた石、缶、コルク、木箱、などなど、
あきらかに「高価じゃない」でも「かっこいい」もの、
日本各地や世界中を旅して、
伊藤さんのところに集まったものたち。
いったいどういうところで見つけるのかと思ったら、
「地元にある荒物屋さんとか、薬局とか、
あるいはもうほんとうに道端とか」なんですって。
「そういうところでこそ、いいものが見つかるから、
いつも見張っているんですよ」
なんで同じものがいくつもほしくなっちゃうんだろ?
けしてコレクターではないのですが、
なんだか同じものを集めちゃう。
用途が同じなのだからそんなにはいらない、
と思いつつ、ついつい、ね。
ここでは「同じもの」をズラリと並べました。
質感のちがいや形のおもしろさなどを
どうぞ見比べてみてください。
同じようで、じつは違う。だから集めちゃう‥‥
という私の気持ち、きっと分かってもらえるはずです。
(伊藤まさこ)
【出展するもの】鍋敷き/エッグスタンド/トレー/鍋/バターナイフ/竹ざる/豆皿/ミルクピッチャー/カトラリー
いろんな鍋敷きがずらりと並ぶようすや、
壁いちめんにかけられたざるの多彩さ。
その「集合するすがた」もうつくしく、
一点一点もまた、それぞれが「さすが!」なものばかり。
「よぉーく目を凝らすと、同じようなものでも、
あっ、ここがちがう! ってわかるのが楽しいですよ」
と伊藤さん。
小皿など「揃い」で手に入れたものもあれば、
ミルクピッチャーなど
「ばらばら」に入手して集まったものもあります。
1つずつ買いそろえるものは、「1つだけ買うたのしみ」。
まとめて買ったものは「揃いで買うたのしみ」。
それぞれのたのしみがあるんですね。
こうして見ていると、伊藤さんのものえらびの視点は
「オブジェ的にかっこいいもの」ではなく、
「用途があって美しいもの」だと気づきます。
「ざるも、全部日本のものですが、産地が違うんですね。
すると真竹や根曲がり竹など、材料もことなるし、
食文化もちがうので、用途も異なる。
だから全然タイプがちがってくるんです」
ちなみに、ざるのなかには、
伊藤さんがじぶんで編んだものが2枚混じっています。
左下と、右端の中段。
そう思って見ると、共通する個性がありますよ。
ところで、複数個あるものをまとめて買うときは、
「いくつ揃えよう」って、目標の数があるんですか?
「うーん? 絶対に5組ほしいとか、6枚なくちゃとか、
そういうふうには思わないけれど、
たとえばお皿やカトラリーだったら、
食卓の椅子の数だけあるといいな、
と思って買ったりします」
なるほど‥‥!
展覧会「まさこ百景」
■日程
2020年8月6日(木)~22日(土)
■場所
渋谷PARCO8階「ほぼ日曜日」
■時間
11:00~20:00
■入場料
無料
※混雑した場合は、入場時間指定の整理券をお配りします。