ふたりの料理人と
東屋のうつわ。[1]
ふたりの料理人にお声掛けをして、
「weeksdays × 東屋」のアイテムの使い方と
盛りつけのヒントを教わりました。
中国料理店「jeeten(ジーテン)」の
オーナーシェフである吉田勝彦さんと、
料理教室「LIKE LIKE KITCHEN」を主宰する
料理家の小堀紀代美さんです。
ふたりに共通するのは
伊藤まさこさんが「絶対においしい」と
太鼓判をおしていること。
そして、器の使い方が、とても上手だということ。
まずは、jeetenの吉田さんの登場です。
伊藤さん、20年以上のおつきあいなんですって!
文・スタイリング=伊藤まさこ
吉田勝彦さんのプロフィール
よしだ・かつひこ
代々木上原「jeeten」オーナーシェフ。
1964年岩手県生まれ。
実家は農家で、おいしい野菜とお米を食べて育つ。
高校卒業後和食の職人を志し、調理師学校へ。
研修で、中国料理のまかないを食べ、
夏バテが治ったという経験から、薬膳の勉強を始め、
中国料理へと志望を変更する。
卒業後、埼玉新座市の「四川飯店」を経て、
代官山「Linka」へ。25歳から料理長を6年間つとめる。
その後香港に渡り、野菜を使った中国家庭料理を勉強。
代々木上原「正宇治」の料理長を3年勤めた後、
1999年に「jeeten」をオープン。
故郷の岩手をはじめ、旬の国産素材を使い、
化学調味料は不使用。
メニューには「医食同源」の効能解説も。
ひとりで切り盛りしている関係から、
麺類、飯類は出さないが、
健康でおなかいっぱいになる
「毎日食べられる中国料理」で人気を博している。
著書に『「蒸す」って、おいしい。
キッチンはいいにおい!』(文化出版局)
『ぜんぶ10分のフライパン中華 炒める・焼く・蒸す・
揚げる・煮る・スイーツ』(講談社)
『「和える」って、たのしい。味の決め手はさじかげん!』
(文化出版局)などがある。
jeeten 吉田勝彦さん[その1]
一人前でも、大皿料理でも、おおきなオーバル。
吉田さんとのつきあいは、
四半世紀!
代々木上原に住んでいた20代のその昔、
しょっちゅうお店に通っていたのです。
味わい深いのに、すっきりしていてきれいな味、
とでも言ったらいいでしょうか、
何度食べてもまた食べたくなってしまう。
「中華料理」というより、
「吉田さんの料理」を食べに行く、
そんなかんじなのです。
「すっきりしていてきれい」なのは、
味だけでなく、
盛りつけにも共通しています。
お皿の余白の取り方、
葉っぱのちょっとしたあしらい方など、
見るたびにハッとする。
毎回、すごいなぁと感心しています。
この器ができあがった時、
中華風の料理との相性がよさそう、
第一印象でそんなことを思いました。
そして、ああいつか吉田さんに使ってほしいな、
とも思ったのです。
「オーバルは盛りつけがしやすいから、
好きでよく使います」
と吉田さん。
おお!どんな風に?
‥‥とたのしみに待っていて出てきたのがこちら、
大好物の黒酢の酢豚。
わぁ、なんてきれいなんだろ。
オーバルの大皿に、
何人分かの酢豚をどーんと盛るのではなく、
一人分をすっきりと。
塊肉ではなく、
薄切りの豚バラをくるくる巻いて揚げるこの酢豚、
食感が新鮮。
横に添えた花巻に
黒酢のタレをからめながら食べると最高なんです。
‥‥すると
盛りつけた様子を見た吉田さん、
「ちょっと待って」
と厨房に消えたかと思うと、
葉っぱを片手に現れて、
酢豚にちょこんと添えました。
おお!これがあるのとないのとでは、
お皿の上の表情がぜんぜんちがう。
こういうの、本当に勉強になります。
つづいては、
インゲンとラディッシュときゅうり、
野菜の前菜3種を一皿に。
器の中のバランスを考えながら、
ていねいに盛りつけて‥‥。
味も食感も、それから見た目にも
たのしい一皿になりました。
このオーバル皿、
酢豚と同じ器ですが、
またちがった表情に。
器と料理の可能性、
まだまだ広がりそうな予感‥‥。
横には丸皿を置いて、取り皿に。
どっしりした土ものの器との相性もよい、
この丸皿ですが、
同じ素材でまとめると、
テーブルの上が洗練された印象になるのです。