願掛けのように。
大西 進
静岡県富士市で紅茶の卸
「teteria」を営む大西進さんに、
秋色あじさいのリースを飾った印象を
綴っていただきました。
大西進さんのプロフィール
おおにし・すすむ
1976年群馬県生まれ。
大学卒業後、紅茶専門店勤務を経て、
2005年、紅茶を中心とした茶葉の卸販売と、
紅茶の楽しさを伝える教室を行う紅茶屋
「teteria(テテリア)」を静岡県沼津市で始める。
現在は拠点を富士市に移し、活躍中。
●teteriaのウェブサイト
●Twitter
●Instagram
パッケージを開けた瞬間に、
ふわっと花の香りが持ち上がってきました。
香りは目には見えませんが、
ほかの感覚をとびこえて
一気に心に飛び込んでくるように感じました。
花の贈り物は目が喜ぶだけでなく香りに心が掴まれますね。
毎日目に入る場所がいいなと思っていたのと、
印象的な香りだったので、
広い部屋に飾るよりも香りが部屋いっぱいに満ちるように、
一番小さな独立した部屋に飾りました。
玄関です。
飾った初日は狙い通り玄関に行く度に
清楚な香りが漂っていて良かったです。
引っ越したばかりで殺風景な玄関でしたが、
ワンポイントの色がはいることによって、
雰囲気がぐっとかわりました。
玄関は朝家を出る時、
無事に家に帰ってきた時に通る場所なので、
日々みているとなんとなく
無事に帰ってこれますようにとか、
輪っかをみて願掛けをするような気持ちにも
なってきました。
帰宅した子供たちがドアをあけて
最初に視界の中に入るのがこのリースというのも
いいなと思いました。
届いた時は鮮烈な色も重みも瑞々しさも
花の中に含まれていて、
リース自体が生きているって感じでした。
だんだんドライになってくると
色も落ち着きおどろくほど軽くなりました。
場所に馴染んでいい感じなので、
位置は変えずにそのまま楽しんでいます。
引っ越ししたばかりのものがない時に
このリースひとつで玄関の雰囲気が一変したので、
引越し祝いや新装記念、
新築のお祝いにぴったりだと思いました。
今回の紫陽花のリースはどこにおいても邪魔をせず、
日に日に壁になじんでいく
質の良いプレゼントだと感じます。
そう、プレゼントにリースってすごくいいですね。
気負いなく飾れるというのが魅力だし、
長く楽しめるというところも。
なにしろ円形というのがいい。
円は縁といわれて縁起がいい感じするし、
見ていてまん丸は安心する。
穴があいているのもいい。
私たちが願掛けにつかう五円玉も穴があいているから
特別な扱いを受けてきたし、
ドーナツの魅力は穴が空いているところというのも
よくわかる。
あいている所や抜けている所があるほうが
自分の思いをのせる余地がありそうでいい。
人も同様で、ちょっと抜けていたり、
余白を持つ人達を私たちは愛するし、
そんな事を思い起こさせてくれるリースは
家にかざるものとしては最高じゃないでしょうか。
もらって初めて気がつきました。