「weeksdays」で初めて
作家ものの器を紹介することになりました。
つくり手は、島るり子さん。
伊那に暮らす島さんは、
「器は、料理を引き立てるもの」と、
日々の料理を盛る器をつくっています。
十年来、伊藤さんがくらしのなかで
ほんとうによく使っているという島さんのうつわ、
どんなふうにつくられているのか、
リモート対談で、おたずねしました。
島るり子さんのプロフィール
島るり子
作陶家。新潟県柏崎市生まれ。
高校卒業後、2年間、京都の陶芸家に弟子入り。
21歳から丹波の石田陶春(政子)氏の元で修業、
24歳で故郷の柏崎に登り窯を築く。
1989年、長野県伊那市に移り住み、
1992年に穴窯を築き、焼き物を再開。
現在も伊那を拠点に作陶を続け、
自身の器と他国籍民藝を取り扱う
ギャラリー草草舎(そうそうしゃ)をひらいている。
著作に『島るり子のおいしい器』がある。
その1どんなふうにも使える器を。
- 伊藤
- (リモートで)島さん!
ごぶさたしています。
- 島
- マスクをしたほうがいいのかな?
- 伊藤
- まわりにひとがいなければ、
しなくて大丈夫ですよ。
伊那は、いかがですか。
- 島
- もう、薪ストーブを焚いてます。
ここは窯のある小屋で、
家より日当たりがよく
暖かいのですけれど、
今日は寒いので。
- 伊藤
- 去年の夏に伺ったときも、
すごく涼しかったですもの。
- 島
- 夏でも冷房が要らないものね。
扇風機もいらない。
- 伊藤
- 今回は「weeksdays」のために
器をたくさんつくっていただいて、
ありがとうございました。
- 島
- よくよく考えたら、ウェブだから、
みなさんに触っていただけないのに、
いろんなものを作っちゃってごめんなさい。
- 伊藤
- いいえ、それが味ですもの。
どれもすてきでしたよ。
どんな器がとどくかを、
たのしみだと思っていただけたらいいな。
島さん、自粛が続いていましたけれど、
個展はどうなさっていたんですか。
- 島
- いつも、たくさんやらせてもらっていたのが、
今年は、9月に神戸のモリスさんで、やっと。
それも、自分は行かずに、器だけお届けして。
あとは、12月に岡山がありますが、
今年はその2つだけです。
- 伊藤
- ちょっと身動きがとれなくても、
作る手は休めず?
- 島
- そうですね。たくさん作れてよかった(笑)。
まさこちゃんにも、こんなふうに、
きっかけをいただいた。
ホントにありがとう。
- 伊藤
- こちらこそありがとうございます。
わたしも、ずっと遊びに行くって言いながら、
やっと行けたのが去年の夏でしたね。
- 島
- そうそう。遅い夏休みで。
- 伊藤
- そこから「weeksdays」で
お願いをしようということになって、
みんなで相談に伺ったのが秋口でした。
あれから1年!
こうしてかたちになって、よかったです。
途中、世の中にはいろんなことがあったけれど。
- 島
- 世の中、何が起こるか分からないね。
- 伊藤
- ホントですね。全世界でこんなことになるなんて。
でも、家にいることが多くなって、
だからこそ、家で使うものが大事だと、
みんなが考えるようになったと思うんです。
- 島
- お家にいることが多くなったから。
- 伊藤
- 私の知り合いで、台所道具を扱っているお店を
されてる方がいるんですけど、
この期間、売上げが伸びたんですって。
- 島
- あら、すごい。
- 伊藤
- 料理をするっていうだけじゃなくて、
長い時間家にいると、
家のものを目にすることが増えますよね。
例えばおろし金ひとつにしても、
「ちょっとヤだな」と思いながら使ってたことに気づき、
「いいものを使いたい」となる方が増えたんですって。
島さんの器をこうして紹介するのも、
今という時期は、よかったのかもしれません。
新米もおいしいし!
- 島
- おいしいね(笑)。
- 伊藤
- 毎日もりもり、島さんの器で食べてます。
- 島
- 食べ過ぎないようにね(笑)。
- 伊藤
- ホントですよね!
めしわんもよく使いますが、
今回、小どんぶりをつくっていただいて
よかったなって思っているんです。
私、朝、にゅうめんを
いただくことが多いんですけど、
これがちょうどいいんですよ。
あと親子丼とかにもぴったり。
まわりの人にきくと、
家でちょっとどんぶりものをつくりたくても、
いいなと思うどんぶりを持ってないんですって。
そこに島さんの器は
「ちょうどいい」って思うんです。
- 島
- わたしにしたら小どんぶりというより、
ふつうのどんぶりくらいの大きさかな?
って思ったんですけれど、大丈夫でした?
- 伊藤
- しっかり盛れば、
ふつうのどんぶりくらいありますよね。
でも、わたし、こういうところに、
ちょこっと盛るのもいいなって思います。
炊き込みご飯をすこしよそって、
上に薬味をぱらり、とか、
品良く盛るといいなと思いました。
みなさん、どんなふうにそれぞれのものを
お使いなんでしょう。
例えば、このちっちゃいお湯のみ。
- 島
- 日本茶でもいいし、エスプレッソでもいいし、
お酒を飲む方もいらっしゃるし、
小鉢みたいに、何か珍味を入れたりとか。
なんでも使えますね、いろいろと。
- 伊藤
- 島さんの小さなお湯のみをずっと使っているんですが、
6個くらい重ねてあるんです。
ひとつひとつに個性があって、
ぴったりしないから、
それが逆にこう、横から見て、
姿がいいなあって思います。
- 島
- ふふふ、ありがとう(笑)。
- 伊藤
- すごくかわいいんですよ。
- 島
- もう10年ぐらいになるのかな?
- 伊藤
- 経年変化がおだやかで、
いい感じになってきました。
それよりすこし大きめの「中」のお湯のみは、
スープにもいいですよね。
- 島
- そうですね。
アイスクリームとかヨーグルト、
デザートにもいいし。
- 伊藤
- アイスティとか、冷たい緑茶とか、
氷を入れた飲み物も。
- 島
- いろんなことに
使っていただけたらいいなと思って。
大きなお湯のみは、
カフェオレであるとか、
たっぷり飲みたいときに
使われる方もいますよ。
- 伊藤
- そうめんに薬味をいっぱい、とか、
そういうのもいいですね。
ちょっとお茶漬けとかも。
今回「お湯のみ」としましたが、
名前を限定してしまうと、
それ以外の使い方に広がらないかも、と思うので、
写真でも、いろいろ提案してみたいです。
- 島
- そのとおりね。
(つづきます)
2020-11-21-SAT