わたしがミモザを飾るなら。[3]
春の報せ。
岡宗真由子
ひとあし早く、3人のかたに
ミモザのリースを飾っていただき、
その感想を文章と写真で寄せていただきました。
きょうは、ライターの岡宗真由子さんです。
岡宗真由子さんのプロフィール
おかむね・まゆこ
ライター。
1975年東京生まれ東京育ち、
小学生と高校生の娘の母。
夫は「weeksdays」で
「男子について。あるいは愛についての鼎談。」に
山本康一郎さんとともに登場した
フリーランステレビディレクターの岡宗秀吾さん。
ミモザはなんといっても春を告げる花。
あたたかくなる予感がする季節、
桜の一歩先に咲くのです。
10年ほど前、
植栽ボランティアをしている公園の花壇に、
ミモザの木を植えました。
30センチくらいの小さな苗が、
あっという間にすくすく大きく育って
たくさんの花を咲かせてくれました。
公園の規則で2メートルまでに
高さをおさえなければいけなくて、
気の毒に思いながらも、
“強剪定して大丈夫”というネットの情報をたよりに、
枝をたくさん落としていました。
それでも毎年元気だったミモザですが、
素人剪定のやり方が間違っていたのか、
病気にかかってしまったのか、
5年目の冬に枯れてしまい、突然のお別れ‥‥。
そういえば近隣でも、
去年まで見事だったミモザが伐採されたり、
忽然といなくなったりしているの
をちょくちょく見かけます。
日本古来の植物ではないから、
やはり長年元気でいてもらうのは難しいのかもしれません。
公園のミモザが教えてくれたのは、
「黄色の花の美しさは遠くまで届く」ということ。
育てるのが難しいミモザのことは諦めて、
今ではその場所に“ゴールドバニー”という
黄色のバラを育てています。
ミモザは、ユーカリなどと同じく
オーストラリア出身の植物。
オーストラリアンプランツは今の流行で、
セロリア、ピンクッション、プロテアなど
乾いた葉や独特の珍しい花形がどれも魅力的です。
人気ゆえなのか、
オーストラリアンプランツの生花は値段が高い。
植物は大好きなのですが、
ものぐさな私は生花にプレッシャーを感じてしまう。
毎日水を替えて、水切りをして、
1日も長く持たせなければいけない、と。
手間もかからない上、気長に家を彩ってくれる
生花リースは、ありがたい存在でした。
食べるもので生き返るように、
視覚からも元気付けられることがあります。
ミモザの黄色は、見るだけで人を覚醒させる色。
「春だ」と直感させる色です。
そしてこのリースは、目に鮮やかなだけでなく、
箱を開けたとき、
閉じ込められていたフィトンが揮発して立ちのぼり、
一足早い春を、なお一層感じさせてくれました。