自他共にみとめる「タオルはゴワゴワ派!」の伊藤さん。
同じくゴワゴワが好きという
編集者の岡戸絹枝さんを招いて、
タオルに求めるものは何だろう?
をテーマに、おしゃべりしました。
同じゴワゴワ派でも、ちょっとちがう、
そのちがいが、おもしろいんです。
ちなみに岡戸さんに、
伊藤さんとの対談に登場いただくのは、
なんと8年ぶりなんですよ。
岡戸絹枝さんのプロフィール
岡戸絹枝
編集者。1955年埼玉県生まれ。
立教大学文学部英米文学科卒業。
1981年に平凡出版(現マガジンハウス)に入社、
『週刊平凡』『平凡』を経て『Olive』編集部へ。
『Hanako』編集部を経て、
97年より99年まで『Olive』編集長に。
2003年には『ku:nel』を創刊、
2010年まで編集長を務めたのち、
同年マガジンハウスを退社。
フリーの編集者として、『talking about』の編集、
『つるとはな』の創刊・編集に携わる。
伊藤まさこさんとは「ほぼ日」の「白いもの。」の連載で
対談「岡戸絹枝さんと、白いシャツ。」(2013年)に
登場している。
その1じぶんの変化と、
ほしいものの変化。
- 伊藤
- 岡戸さんこんにちは! ごぶさたしています。
あら、今日は、いつもの
タイトスカートじゃないんですね。
- 岡戸
- なんの話でしょう(笑)。
- 伊藤
- だって岡戸さんといえば、
ギャルソンの黒のタイトスカートの丈を
ご自分で勝手に短くカスタマイズしたのが定番でしたよね!
なのに今日はパンツ!
- 岡戸
- いやだ、もう(笑)。
最近はもっぱらパンツです。
それよりも「weeksdays」、
すごいですね。毎日、毎週でしょう。
どうやってつくっているのですか。
- 伊藤
- 商品担当者とデザイナーの
チームがふたつあって、
隔週ですすめているんです。
- 岡戸
- 週ごとにアイテムが違うっていうことですね。
お忙しいですね。
ページを見て、すごい量で、
びっくりしました。
チームもすごいし、
まあちゃん(伊藤さんのこと)もすごい。
- 伊藤
- そうかなぁ。
- 岡戸
- アイデアは、
「これが欲しい」の繰り返し?
- 伊藤
- そうなんです。
でもほら、歳をとるじゃないですか。
そうすると、老眼鏡が欲しいな、とか、
以前は思わなかったものが出てきたりして、
意外と尽きないものなんです。
- 岡戸
- 欲しいものが変わっていくのですね。
- 伊藤
- 変わります!
- 岡戸
- でも変わりませんね、まあちゃんは。
ちっとも、変わらない。
毎週、新しいものを出すということは、
毎日、書くことがあるわけでしょう。
その他に、先々の商品をつくるわけじゃないですか。
それはどんなふうに進めているのですか。
- 伊藤
- これが気になる、と思ったら、
すぐメールやLINEで共有します。
「買ったら良かった!」とか。
- 岡戸
- 3年目でしょう、
楽しい、楽しいで、やって来られましたか。
- 伊藤
- 楽しいです!
- 岡戸
- 売る数は、どういうふうに調整しているんですか。
- 伊藤
- 数は、基本的に「ほぼ日」に判断をゆだねています。
きっと、わたしが数を提案しても、
とんちんかん過ぎる(笑)。
思い掛けない人気のアイテムは、
「もっと作っておけば良かったね」ということは
あるんですけれど。
- 岡戸
- すぐに完売してしまう商品も、あるでしょう?
- 伊藤
- なにが売れるか、1回、出してみないと
分からないところがあるんですよ。
- 岡戸
- 以前作って、売り切れずにあるものは、
売り続けるっていうことですね。
- 伊藤
- だから、なかでも、
服づくりが難しいんですよね。
流行もあるので。
実はタオルは、
「weeksdays」で
かなり初期に作ったものなんですよ。
- 岡戸
- 前身の「&」のときから、
ありましたものね。
- 伊藤
- はい。「&」では「ほぼ日」の
「やさしいタオル」をベースにしたんですが、
「weeksdays」では
あたらしいものをつくったんです。
ところが、販売してみて、
いろんな反省がありました。
まず、当時、単純にこういうのが作りたい、
つくりました、いくらかかりました、
と積み上げていったら、
かなり高価なものになってしまった。
- 岡戸
- じゃあ、今度で二度目ですか?
- 伊藤
- 二度目です。
そして種類。
最初は、自分のようなゴワゴワ派向けのものと、
柔らかいのが好きな方向けに
フワフワのものをつくったんですけれど、
長持ちするのはゴワゴワだったんですよ。
これは、タオルの構造上、仕方のないことで、
無撚糸っていう撚ってない糸でつくったフワフワは、
強度が落ちてしまうんです。
- 岡戸
- 使ってみて分かったっていうことですね。
- 伊藤
- そうなんです。
岡戸さん、ゴワゴワ派じゃないですか?
- 岡戸
- そうです!
- 伊藤
- わたしも自分がゴワゴワ派なので、今回は、
そちらだけに集中することにしました。
ちがいは、いままで白一色だったところに、
色のタオルを加えたことです。
あるとき、娘が髪にカラーをする用に、
茶色のタオルを買ってきて使っていたんですね。
「ああ、これで気兼ねなく使える!」と言って。
染めたばっかりのときって、
タオルに色が移っちゃうんですよね。
- 岡戸
- カラーリングをするとね。
- 伊藤
- 掛かってる姿とか、娘が干している姿を見て、
「あれ? 色付きのタオルも、けっこうかわいい」と。
ちょっとこげ茶のプードルみたいな感じで。
- 岡戸
- こげ茶のプードル(笑)。
- 伊藤
- そう思い直したんですよ。
わたしもそういえば、白いタオルを使って
カラーリングした髪を洗ったとき、
こわごわ、「あ、つかなかった‥‥!」と
思っているなぁって。
そこから「weeksdaysのタオルにも、
色付きのものがあっていい」と思ったんです。
さきほど話した、加齢と共に変化する物欲(笑)。
- 岡戸
- 加齢と共に(笑)!
- 伊藤
- あと軽い服もそうですよ。
自然素材がいい、とか。
やっぱり、肌が敏感になるじゃないですか。
- 岡戸
- いいですね。自分の加齢と共に、
欲しいものが変化していくのって。
- 伊藤
- (笑)「変化と共に」
って言ったほうがいいのかな?
- 岡戸
- そう、加齢じゃなく、変化と共に、ね。
欲しいものは、なくなることがない、
っていう感じでしょう?
- 伊藤
- それに気づいたのが、
うちの母がル・クルーゼの鍋を
「もう重いからいらない」って言ったのが
きっかけなんです。
それでアルミの鍋をあげたんですが、
「そっか、歳と共に欲しいものって変わるんだな」
「それで全然いいじゃん」と思って。
- 岡戸
- じゃあ、「weeksdays」でそのうち
アルミの鍋を出すかもしれませんね(笑)。
- 伊藤
- そうかも? でも市販されているもので、
これが好きっていうものがあるなら、
それで満足しているんですよ。
だからわざわざつくる必要はなくって。
- 岡戸
- そうですね。
「これにこうすればいいのにな」とか
「こうしたいな」っていうのが
入っていると、いいわけですね。
- 伊藤
- そう!
- 岡戸
- 飽くなき追求ですね、それは。
- 伊藤
- そうですね。そして、
最初の話にもどると、だからこそ
チームで動くことでできるんです。
いままでひとりで仕事をするのが基本でしたから、
すごく楽しいですよ。
岡戸さん、ずっとチームのお仕事でしたでしょう。
編集部の、長(おさ)として。
- 岡戸
- 長として(笑)!
長なんかじゃないのよ、もう、ほんとに(笑)。
でも確かにチームでしか動かなかった。
だからこうしてひとりになったのは、
けっこう心地いいんです。
- 伊藤
- 今はじゃあマイペースに?
- 岡戸
- すごーく、マイペースです。
(つづきます)
2021-03-20-SAT