「weeksdays」初登場となるSLOANE(スローン)。
長くアパレルに携わってきた男性ふたりが
「自分たちのために」と立ち上げた、
ユニセックスのニットブランドです。
サイズ違いで男性も女性も着られるといういさぎよさ、
上質な天然素材を使い、
ベーシックだけれど丁寧なパターンと縫製、
華美になりすぎない、けれども上品なデザインで、
まいにち着ても飽きのこない、
上質な日常着を展開しています。

ブランドを立ち上げた大貫さんとプレスの森内さんに、
伊藤さんが、ブランドのこと、つくりかたのこと、
素材のことなどをたずねました。
「歳を重ねたからこそ」わかることっていっぱいあるし、
それはとっても豊かなことなんです。

SLOANEのプロフィール

シルク、ウール、カシミアなど
上質な天然素材をデイリーウエアで展開する
SLOANE(スローン)は、
ニットの会社である株式会社ヴェンティウーノの代表であり
ニットのスペシャリストである大貫雄さんと、
数多くの海外ブランドに携わってきた
ディレクター/デザイナーの小峰明彦さんが立ち上げた
ユニセックスのニットのブランド。
「自分たちが心地よいと感じる服を」と、
2016年秋冬コレクションからスタート、
次のシーズンからプレス担当として
森内敏子さんが加わり、
男性目線のデザインに
女性目線の着心地を兼ね備えたアイテムを展開している。
現在はニットのほか、
布帛の製品(パンツやスカートなど)も。

直営店「THE SHOP SLOANE」が
東京・自由が丘と神戸・元町にあるほか、
全国のセレクトショップでの販売を行なっている。

SLOANEのウェブサイト

その2
いちど着ると、「次も!」。

大貫
伊藤さんは、いつから
SLOANEを着てくださっているんですか。
伊藤
私が最初に買ったのは、3年ほど前、
半袖のニットの色違いでした。
着ていて自分でも気持ちがいいし、
会う方に「どこのですか?」と聞かれることも多くて。
大貫
ありがとうございます。
きれいに着てくださって。
伊藤
わたしは自分の判断で水洗いをしていますけれど、
ほんとうは、ドライクリーニング推奨ですよね。
大貫
はい、そうなんです。
SLOANEが使う素材は、検査した結果、
水洗い可のものが非常に多いんです。
でも、洗うこと自体は大きな問題じゃないんですが、
水から出したあとが非常に難しいところで。
伊藤
そうですよね。干し方であったりとか。
大貫
手洗いをするか、
ネットに入れて洗濯機でやさしく洗うという
ところまではいいんですよ。
でも脱水してちょっと置いておくとシワになりますし、
干すときにパンパンと叩かない方もいらっしゃるから、
「干したらしわしわになりました」ということだって
起こりえるんです。
「平置きで干して下さい」と言っても、
その環境をつくるのが
難しいというかたもいらっしゃいます。
伊藤
みなさんの状況が違うので、
なかなか難しい問題ですよね。
大貫
今着ていただいてるシルクの商品も、
手洗いすることは可能なんですが、
30度を超える湯温で洗ってしまうと、
色が抜けちゃうことがあります。
だから、できるだけ最初の
きれいな状態で着ていただけたらと思い、
ドライクリーニングでとお願いをしています。
伊藤さんは、一年を通して
SLOANEを着てくださっているそうですね。
伊藤
はい。たとえばSLOANEの
シルクのリブニットは何枚か持っていて、
娘と共有して着ているんです。
夏にもちょうどいいんですよ。
ちっちゃくなるし、着ていて気持ちがいいし、
ちょっと体温調整が必要なときに便利。
シルクってすごいですよね。
大貫
そう、すごい糸なんです。
シルクというのは、一瞬、
肌触りが冷たく感じると思うんです。
けれども保温力は比較的強く、
冬用のシルクのマフラーが存在するほどです。
風を通しにくいというところもありますし、
なのに通気性が悪くない。
天然素材ですので、肌触りも柔らかい。
程良い季節感で、春夏秋はとくに対応しやすい
アイテムだと思います。
伊藤
あと、直接触れていると、肌がツルッとしません? 
シルクの靴下を履くと、かかとがツルッとするように。
森内
そういいますね。
伊藤
アミノ酸なので、第2の肌だとも。
シルクの枕カバーは
顔にも首にも髪にもいいと聞いたことがあります。
森内
本当ですか。すごいですね。
伊藤
シルクというとテカテカしているものがありますが、
そういうものは繊維にコーティングをしていると。
大貫
そう、シリコン加工をしているシルクも多いんです。
そうすると、シルクの良さが半減してしまう
可能性がありますね。
伊藤
SLOANEのお客様はどんな反応を? 
1回着ると、私みたいに
「次も!」という方が多いんじゃないかなって
想像しているんですけれど。
大貫
そう、とくにシルクを買ってくださるお客様は、
リピートなさることが多いですね。
伊藤
すっごくよく分かります!
大貫
色もそうですし、サイズを替えて、
「サイズ2を持ってるけれど、
なんとなく気分は3」と買ってくださったりとか。
伊藤
そして、すごくたくさんの色をおつくりですよね。
次は違う色にしようかなという方も多そう。
どんなふうに色を選んでいるんですか。
大貫
森内が何を着たいかとか、
そんなふうに感覚的に決めています。
お客様も、思い切って違う色を、
というケースが非常に多いですよ。
伊藤
なるほど。基本のかたちは定番なんですか。
大貫
素材によって若干サイズ感を変えています。
たとえば、シルクの商品っていうのは、
ウールのものに比べ、滑るので、
少し小さくしましょうとか。
ただ今回のシルクのリブに関しては、
もともと、あまりタイトにはしていません。
体に付かず離れずで、すっきりと見えますよ。
伊藤
そう、すごくきれいなんですよね。
Tシャツ1枚だとなぁ、みたいなときに、
すっごく重宝するんです。
大貫
衿幅を狭めに設定しているので、
上品に見えるんだと思っています。
「上品」というのはね、笑い話なんですけど、
僕と小峰の2人のコンセプトで、
僕らみたいなおじさんでも、
ちゃんと品良く見えるように、って(笑)。
伊藤
そんな!(笑)
大貫
先ほども言いましたが、
歳を取ってきますとね、
首まわりがだらしなくなるんですよ。
伊藤
そんなこと‥‥でもたしかに、
着ているものによっては、
男の人の首周りが気になることはありますね。
首の大きく開いたTシャツとか。
大貫
ある程度年齢を重ねて、
首周りがカジュアルすぎると、
ヨレヨレとした印象になるんです。
男性はね。
伊藤
女性もですよ。気をつけます。
大貫
その辺を自分が気にしているものだから、
ものを作るときにも、最初のサンプルで
「なんか変だよね」と感じる部分を、
徹底的に考え、議論するんです。
そういうことって、皆で話し合わないと
気が付かないんですよね。
だからよくありますよ、
「今年は、あと5ミリ細くしよう」って。
伊藤
5ミリ! 
大貫
次の冬に向けてつくる
ローゲージのニットもそうなんですけど、
世の中に少しルーズに着る洋服が多かったのが、
段々、きちんと目になりつつあると感じているので、
前回と同じモデルでも天幅を少し狭くしようかとか。
そういうことも、多々あります。
伊藤
じゃ、定番的なアイテムに見えても、
少しずつ変えているんですね。
大貫
はい。糸を変えることもあるんですよ。
シルクは変えてないですけれど、
コットンに関しては、縒(よ)りの違いで
柔らかいコットンと硬いコットンがある。
ベーシックなものでも、
今年、硬いコットンでベーシックなものを作ろうか、
っていう年もあれば、柔らかいもので、という年もある。
微妙なことなんですけれど、
でき上がってくると全然表情も違うんです。
伊藤
SLOANEのものづくりが、
とてもよくわかりました。
「weeksdays」を通して、
この気持ちよさが伝わるといいなって思います。
大貫さん、森内さん、
どうもありがとうございました。
あっ、そうそう、ニットの糸が
ピッと出ちゃったときのためにと、
森内さんが教えてくださった「ほつれ補修針」
すごく活用しているんですよ。
森内
良かったです。
ニットは引っかけたりすると
ほつれが出ますから。
伊藤
愛用品がほつれると残念な気持ちになりますが、
かなり気持ちがらくになります。
だいじょうぶ、直る! って。
大貫
僕はもうしょっちゅう引っ掛けるので、
引っ掛かる前提で、気にしないで着ていますけれど(笑)。
(おわります)
2021-04-05-MON