REPORT

ホーチミン 田中博子さん[2]
体力づくり、引っ越し、
仕事環境の変化。

コロナ禍のなか、伊藤まさこさんが、
世界各国の9つの街に住む友人たちと
オンラインで話をしたのは、
ちょうど1年前のことでした。
「1年後にはきっと会えるね」
‥‥なんて、そのときは思っていたのに、
いまも、わたしたちの暮らしは、ままならないまま。
ひさしぶりにみなさんに連絡をとり、
それぞれの様子を綴っていただくことにしました。
遠い町のようすを、たっぷり、連載でおとどけします。

(前回のオンライン対談は、こちらからごらんくださいね。)

登場するみなさま

(登場順)
ストックホルム‥‥明知直子さん
ロンドン‥‥イセキアヤコさん
ホーチミン‥‥田中博子さん
パリ‥‥鈴木ひろこさん
ハワイ‥‥工藤まやさん
ミラノ‥‥小林もりみさん
メルボルン‥‥田中博子さん
ニューヨーク‥‥仁平綾さん
ヘルシンキ‥‥森下圭子さん


田中博子さんのプロフィール

たなか・ひろこ
ベトナム手刺繍コーディネーター。
洋書の表紙に写る生春巻きに感動を覚え、
現地に行き、見て、食べて確かめるべく
1996年サイゴン(ホーチミン)旅行を決行。
1999年7月に移り住むまで、
休暇を使って北から南まで何度も旅をする。
住み始めてからは、ベトナム語を学びながら、
現地案内、職人探しをはじめ、
現在は手刺繍を絶やさないよう奔走中。
刺繍以外にはホーチミン近郊でのかご作り、
水牛の角や木製の小物などの手仕事にも携わる。
オンラインショッピングサイト
「Costa-Japan」の刺繍製品全般を担っている。
「ほぼ日」では、伊藤まさこさんとつくった
「ベトナム手刺繍の服。」を、
「weeksdays」では、
「ベトナムのかご」「ベトナム手刺繍のハンカチ」
の製作を担当している。

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私自身は社会的隔離の時とそんなに変わりません。
4月はダイエットもしていないのに
恐怖でどんどん体重が減って行きましたが、
どうやって過ごして行けば良いかが分かり始めたら、
あっという間に体重が戻りました。
ともかく体力づくりだと思い、
プールに週3回通ってがむしゃらに泳いでいました。

▲ベトナム政府は国内旅行を推奨しています。
久しぶりに北部を旅しました。
この頃は、ミサも執り行われるようになっていました。(2020/10/23)
日本のようなキャンペーンはありません。

そして、以前借りていた部屋の周辺環境が
この後ガラッと変わるということで、
引っ越しをしました。
一番の生活の変化は
前の大家さんの2匹の猫と
一緒に引っ越して来たことで、
動物を飼う責任を日々感じています。
この部屋を借りるのも、
猫たちの健康最優先で決めました。
長い廊下は思い切り走れるように。
広めのバルコニーは日向ぼっこが出来るようにと、
この2つが決め手となって
3月はじめに引っ越して来ました。
今度の大家さんも、
私のくだらない冗談に付き合ってくれたり、
面白いエピソードをたくさん持っている人です。

▲ハノイの路上で朝食を。
アクリル板などなく、相席できます。(2020/10/26)

仕事環境も変えました。
振り返れば、思ったら後先考えず
異常なまでの働き方をして来ていました。
一人で仕事をしていると、誰も止める人がいません。
それだけ動けるエネルギーが
あったということでしょうけれど、
自分が忙しいのは一向にかまわないのですが、
職人さんも振り回して申し訳なかったなと
振り返る時間がありました。
今現在は、職人さんと前ほど頻繁には会わずに
仕事が出来る方法をとっています。
みんな携帯電話を持っているので、
画像を送り合って確認したり、資材は送ったり。
どうしても調整が必要なものだけは出向いたり、
家に来てもらったりして細かな打ち合わせをします。

▲引越し先の長い廊下。猫が走れるように考えて部屋を借りました。

コロナ禍でなければ、
引越し先が日本だったかも知れません。
今度は日本を拠点に置いて、
ベトナムと行ったり来たりも良いな
と考えはじめていたところでした。
でも、今回ばかりは帰ってしまったら
早々にベトナムには入国できないということもあり
近くに引っ越しましたが、
またしても帰国する理由が見当たらなくなりました。

▲旧正月を目前に感染者が見つかり、
飲食店の座席数が制限されてしまいました。(2021/2/10)

そんなわけで、
「サイゴン(ホーチミン)にいる」という意味を考えて、
公平な「真ん中の人」であろうと再認識しました。
「真ん中の人」とはなんだ? ということですが、
日本人として譲れない部分、日本人のアイディア、
ベトナムの職人さんたちの譲れない部分、
想像もつかない彼らのアイディアを
うまく真ん中で調整すること。
コーディネーターなので、
私はスピード感が必要になりますが、
職人さんたちにはどんと構えてもらって、
時代にしがみつくことなく
生活してもらえる環境を整えることが、
良いものが仕上がってくる仕組みになるかと思っています。

▲感染者の足取りがわかると、
その場所に居合わせた人たちに
地域の保健所に連絡するよう詳細が発表されます。
携帯電話登録者は、メッセージが届きます。

これを提出する日のベトナムの感染者数は2669人、
亡くなった方は35人です。
経済はじめ、色んなことのダメージが
最小限に食い止められています。
私も周りのベトナム人も日々日本を案じています。
この後も皆様どうぞ安全にお過ごしください。
一日も早くお目にかかれる日が来ますように!

▲バルコニーで鳥を見つめるみー。

▲日向ぼっこ中のぐー。

2021-04-28-WED