「道具」としてのかご。
伊藤まさこさんは「かご」を
どんなふうに使っているのでしょう?
くわしく教えてもらいました。
アトリエ兼ご自宅で撮影した写真とともに、どうぞ。
「かごは好きですか?」と聞かれたら、
はい、好きです。
一瞬のためらいもなく、
そう答えるでしょう。
とにかくかごには目がないし、
いいかごを見ると目がくらんで
自分を(ちょっと)見失ったりもします。
ふだんから培われたかごハンターぶりは、
財布の紐がとくにゆるみがちになる旅先で、
いかんなく発揮されます。
いいかごはないかな、
この土地ならではの、
ここで作られた意味のある、
暮らしの中で使われているかごはないかな?
街中で。市場で。
目をキョロキョロさせながら、
ハントするのです。
そうやって手に入れてきたかごの中で、
なんていうか、一番「働きものだなぁ」と
感じるのがベトナムのかごです。
使っても使ってもへこたれない。
ちょっとチープな見かけは、
おしゃれで持つ、というよりは
必要だから持つ、といった感じで、
ぜんぜん気取っていない。
ざるとか、鍋とか、
そんな「道具」の一部なんじゃないかな?
と思っています。
さてweeksdaysでは、
暮らしの道具としてのベトナムのかごに、
「シック」をプラスしてみました。
形のもととなったのは、
私が気に入って使っている、
アジアのどこかの国の竹かご。
使いすぎて、底がもう抜けそう。
出番の多いかごだったのに‥‥と残念に思っていたのです。
そこで私は考えました。
同じ形で、
ベトナムのかごと同じ素材で作ったらいいのでは? と。
結果は大正解。
たとえば、仕事に行く時。
撮影で使う器や、鍋、布などを入れて車で出発。
スタジオではここから必要なものを取って、
使ったらまたしまう。
また、ファッションの撮影の時は、
服にはじまり、箱に入った靴、そのほか
小道具いろいろを大小のかごに振り分けて
‥‥という具合。
そうそう、着物の撮影では、
大きな方に着物と草履を、
小さな方には帯揚げや帯どめ、肌襦袢を入れました。
キッチンクロスやペーパータオル、菜箸など
毎回の撮影に持って行く小道具は、
かごの中にひとまとめにしておき、
そのまま食器棚の中へ。
仕事に出かける時は、
棚から取り出し、
そのまま持っていけばいい。
すっきりとしたデザインと色が、
ものの多い棚の中を美しく見せてくれます。
「持って行く」だけではなく、
家の中でも使います。
ほら、こんな風に
ベッドカバーにもなるような、
大きなブランケットや毛布もらくらく入っちゃう。
ベッドサイドに置いて
いつでも取り出せるようにしています。
今だったら夏がけやタオルケットなどの
季節はずれのものを入れて、
クローゼットの中へ。
ちょっと引き出しのようなかんじで
使ってもいいのかも。
働きもののかご。
まだまだ使い道がありそうです。
(伊藤まさこ)