1970年うまれの同い年。
「weeksdays」と「ほぼ日」を
愛読してくださっているという
坂井真紀さんをおむかえしました。
坂井さんがずっとほしかったけれど
タイミングをのがして買えなかったという
「ベトナムのかご」のサンプルを使っていただき、
その感想をぜひ、というおはなしから、
じぶんたちの年齢のこと、
似合うものが変わってきたはなし、
からだをつくること、
いまの仕事のこと、
だいじなインプットのこと、
そして子育てのこと。
ふたりのおしゃべり、どうぞおたのしみください。

写真=有賀 傑
スタイリング(坂井真紀)=梅山弘子
ヘアメイク(坂井真紀)=ナライユミ
ヘアメイク(伊藤まさこ)=草場妙子

坂井真紀さんのプロフィール

坂井真紀 さかい・まき

1970年、東京生まれ。俳優。
一女の母。
1990年、三井不動産の
4代目リハウスガールに選ばれる。
1992年にテレビドラマ
「90日間トテナム・パブ」で役者としてデビュー。
以後、多数のドラマ、映画、舞台、バラエティで活躍。
最近ではNHK総合 連続テレビ小説
「おかえりモネ」に出演。

●公式サイト
http://sakaimaki.jp/

その3
なぜものを買うの?

坂井
そうそう、このかご、飛行機の
機内持ち込み手荷物としても、
きっと、便利だと思いますよ。
ね、梅山さん? たしかそうおっしゃってた。
伊藤
これで、飛行機に?
梅山
入りますよ! 
「ミニ」なら前の座席の下に、
「小」は上の荷物棚に、持ち手を曲げて。
伊藤
そっか! 持ち手を曲げれば、直方体に近いから、
荷物がいっぱい入ったまま収納できますね。
プラスチックだから
持ち手を曲ることに不安がないですし。
梅山
わたしの家では、棚の高さが
「小」にぴったりなので、
持ち手を折って、タオル収納にして、
引き出しみたいに使っていますよ。
でも「持ち手がなくてもいい」ということじゃなく、
あったほうが、もちろんいいんです。
高さのあるスペースにはそのまま入れています。
それからね、これ、底が平らで、
安定感がばつぐんでしょう? 
感激したのはケーキを買った時! 
すごく、便利なんですよ。箱物の安定感。
伊藤
たしかに、ケーキとかお弁当って、
横に倒れちゃうと悲しいですものね。
坂井
そうですよ。
梅山
やわらかいエコバッグだと、
けっきょくそうなっちゃうでしょう?
坂井
梅山さんの言うことは、
ほんとに説得力があります。
いっつも使っていますものね。
伊藤
スタイリストって、
物の移動がすごく多いので、
運ぶ手段ごと気になるんですよ。
坂井
使ってみてわかったのは、
伊藤さんがすっごく考えられて
サイズを決めたんだろうなということでした。
やっぱり、です。
すごく、入れやすいんですよ。
伊藤
そっか。良かった、ほんとうに。
でもあんまり褒めないでください(笑)。
坂井
(笑)いえ、褒めます。
やっぱり物をつくるって、
「誰が」ということは大事だと思うんです。
生き方みたいなことに繋がるじゃないですか。
つくる人が、どういうふうに生きてるか。
伊藤さんのインスタからは、
食べることが好き、美味しいものが好きということが
伝わってきますよね。
ステイホーム中、拝見していて、
いつもご飯の写真を載せてくれていて、
それが「生きる力」に思えたんですよ。
わたしたちはこんな状況でも生きているぞ、
っていうことが発信されているように見えた。
食べている人はすごく信用ができるというか。
そういうところでも、ファンなんですよ。
‥‥って、ごめんなさい(笑)、
たくさん褒めちゃった。
伊藤
ありがとうございます! 褒められちゃった(笑)。
それでね、同年代としてお聞きしたいんですが、
坂井さん、こんなものが欲しいな、
なのに、世の中にないなぁ、
って思うものってありますか? 
坂井
‥‥うーん? どうでしょう。
伊藤
じつは、わたし、発見したの。
マスクをしつつ、口角をあげる道具がほしい!
一同
(笑)
坂井
それ、すごい(笑)! 欲しい! 
伊藤
この機会に、マスクの下で
表情を若々しくトレーニングするの。
マスクを外す時期がきたら、
「あれ? なんか(口角)上がってない?」
みたいな。
‥‥って、そういうくだらないことでも
いいんですけど(笑)。
坂井
そういう一石二鳥な感じ、面白いですね。
でも、すぐには思いつかないかも。
伊藤さんは「今は無理だけれど」、
でも、いつかつくりたいものってあるんですか。
伊藤
家。
坂井
家!
伊藤
ゆくゆくは家を作って売ってみたいの。
坂井
家を?!
伊藤
今は言ってるだけ、なんですけど。
間取り、建材、建てかた、
設備機器、インテリア、
家電、食器や調理道具。
スタイリングのアドバイスもふくめて、
ぜんぶまるごとやってみたいんです。
坂井
それは素晴らしいおうちができそう!
私たちの年代って、いろんなものを見てきたり、
買ったりしてきましたよね。ちょうど私は、
「じゃあこれから、なにを買うのかな?」っていう、
そんな頃に差し掛かっている気がしているんです。
でも余計なものは、もう物も増やしたくない。
良い物だけ、本当に自分が気に入ったものだけ欲しい、
っていうほうに行ってるんです。
だから、なんていうんだろうな、
物を買うことって、買うたのしみもあるけれど、
その物によって豊かになるという比重が大きくて。
しかも使いやすいっていうことがとても大事。
だから「欲しいものはありますか」という質問に
すぐ自分の答えが出てこないのは、
たぶん、自分が考えるよりも、
伊藤さんの提案が嬉しい、
って思っているからなんじゃないかなって思います。
伊藤
ありがとうございます。
坂井さんも、これまで
いっぱい買い物をしてきたと思うんですが、
大きな失敗なんて、なさいましたか?
坂井
わたし、たくさん失敗していますよ。
でもこの10年は、そもそも自分のための
お買い物が少なかったと思います。
というのも41歳で子どもを産んだので、
40代が子育ての期間だったんです。
自分のことよりも、子どもが中心。
今、子どもがちょうど10歳になって、
ここから先、もうちょっと、
いままでできなかった10年間のインプットをしようと、
やっと外を見始めたくらいかもしれません。
伊藤
わかります! 
わたしもそんな時期がありました。
娘が、今、22歳なんですけれど、
「ちょっと、ひと山、超えた感じ」が
10歳の年だったという気がします。
その頃は、買い物の失敗が多かった。
でも、その失敗は良かったと思っていて。
失敗して、悔しい思いをしないと、
次に行けないっていうか。
いい買い物をしたっていうのと同じくらい、
失敗も良かったって思うことにしています。
スタイリストをしてて、そう思います。
坂井
買ってみることが大事。
伊藤
そう、その時は良かった買い物でも、
「今になると、この鍋は重かったな」とか。
もっと若い頃は平気だったから、
色違いで買っていたりして。
洋服もそう。「あ、これ、いい」と思って、
同じサイズだからと色違いのものを
試着せずに買ったら、
その色は似合わなかった、なんていうことも。
(つづきます)
2021-08-01-SUN