1970年うまれの同い年。
「weeksdays」と「ほぼ日」を
愛読してくださっているという
坂井真紀さんをおむかえしました。
坂井さんがずっとほしかったけれど
タイミングをのがして買えなかったという
「ベトナムのかご」のサンプルを使っていただき、
その感想をぜひ、というおはなしから、
じぶんたちの年齢のこと、
似合うものが変わってきたはなし、
からだをつくること、
いまの仕事のこと、
だいじなインプットのこと、
そして子育てのこと。
ふたりのおしゃべり、どうぞおたのしみください。
写真=有賀 傑
スタイリング(坂井真紀)=梅山弘子
ヘアメイク(坂井真紀)=ナライユミ
ヘアメイク(伊藤まさこ)=草場妙子
坂井真紀さんのプロフィール
坂井真紀
1970年、東京生まれ。俳優。
一女の母。
1990年、三井不動産の
4代目リハウスガールに選ばれる。
1992年にテレビドラマ
「90日間トテナム・パブ」で役者としてデビュー。
以後、多数のドラマ、映画、舞台、バラエティで活躍。
最近ではNHK総合 連続テレビ小説
「おかえりモネ」に出演。
●公式サイト
http://sakaimaki.jp/
その4失敗しなくちゃ。
- 伊藤
- 25歳の甥っ子が言うんです、
「Tシャツの正解が知りたい」って。
男の子、言いがち?
- 坂井
- 伊藤さんは、その時、甥ごさんに
何とおっしゃったんですか。
- 伊藤
- 「失敗しなさい」。
- 坂井
- ああ、素敵!
でも、そうですよね。
- 伊藤
- たぶん甥っ子としては、
「ユニクロのこれを買いなさい」みたいに
スッキリとした答えが返ってくると
思っていたんですよ。
だから「えー」みたいな反応だったけれど。
- 坂井
- でも、訊いちゃうでしょうねえ。
叔母さまにまさこさんがいたら(笑)。
- 伊藤
- なのにこの叔母はキッパリ(笑)。
でも「正解」なんてないんですよ。
Tシャツひとつとっても、
肌の感じも違えば、体格も違うし、
いつ着るか、どう着るかの
状況だってあるわけだし、
なにが正解なのか、分からない。
- 坂井
- みんなが正解のものなんて、ないですよね。
- 伊藤
- そう。せめて鏡の前で合わせてみて、
自分で決めないとね。
自分のお金をつかって、
はじめてわかることがある。
- 坂井
- そうですよ。
やっぱり失敗はすべき。
けれども、そのなかから自分だけの正解を
見つけたかったりするときには、
店員さんの存在って大事ですよね。
プロレスでもいい解説が
すごく大事だったりするように。
- 伊藤
- プロレス(笑)!!!
- 坂井
- そう、プロレス(笑)。
店員さんも、ちょっとした一言とか、
着方のアドバイスとかって、
いいプロレスの解説のように、
本当に、重要だと思うんです。
- 伊藤
- そっか!
- 坂井
- 甥ごさんも、そこがスタートで、
けっきょく選ぶのは自分だ、
自分でキチッとしなきゃいけないなって
わかってくれたんじゃないかなって思います。
- 伊藤
- そうだといいなあ。
でもweeksdaysの商品は、
通販であるということもあり、
お客様に失敗してほしくないんです。
試着してもらうことができないので、
その分、わたしが買って、着て、
ここはこうだったっていうのがわかるよう、
原稿を書いて伝わるようにしているんです。
- 坂井
- それ、伝わってますよ!
- 伊藤
- そうだといいな。
同い年ぐらいの人には、
とくに伝わりやすいかもしれないなって思います。
坂井さんはそこにぴったりだったのかも。
- 坂井
- 着用レポートもすごく役に立ちますよ。
どこか自分に当てはまることがあれば、
「じゃあ、これを選ぼう」ってなる。
- 伊藤
- いまはいらないな、
という人に無理にすすめるつもりはないんですが、
ほしいな、と考えてくださっているお客様の背中を、
一押しするみたいなつもりで。
- 坂井
- 「誰でもいいから買って」ではないから、
キチッと売れるんじゃないかな。
- 伊藤
- そう、「誰でもいいから」では、売れないですよね。
坂井さんは、うんと若い頃、
どんなふうに買い物をしていましたか?
- 坂井
- すごく若い時で言うと、
『Olive』っていう雑誌がすごく好きで。
『Olive』が言うなら!
みたいなところで買い物をしていました。
- 伊藤
- そっか!
- 坂井
- すごく影響を受けました。
『Olive』が薦める映画は絶対観る、とか。
- 伊藤
- そうそう、ありましたね。
わたしも、映画はやっぱり『Olive』の
影響が大きかったな。
- 坂井
- はい、フランス映画、ヨーロッパの映画。
憧れました。
- 伊藤
- でも服にかんしては、
『Olive』のモデルさんはかわいいけど、
わたしにはちょっと無理かも? みたいな、
そういう感じで見ていたかも。
- 坂井
- すごい、すごく冷静ですね。
たしかに当時の『Olive』のスタイリングって、
今思えば、とても難しい。
- 伊藤
- ううん、坂井さん、ドンピシャですよ!
ぜったいに、かわいい!
- 坂井
- でも、ありましたよ、
欲しくて買ったけれど、
「あ、やっぱ、似合わないんだ」。
- 伊藤
- すっごくおっきいコサージュとか?
- 坂井
- そうそう(笑)!
誌面で見ているぶんにはかわいいのに。
- 伊藤
- 夢を見てるみたいな感じでしたよね。
だから「自分はちょっと」って思っちゃったのかな。
- 坂井
- それ、ちゃんと冷静だと思います。
私、そのお店を探しに原宿へ行ったりして、
買ったはいいけれど、
いざ、着てみると「あ、全然似合わない」。
- 伊藤
- ううん、絶対、当時の坂井さんだったら、
人から見たら似合っていたと思う。
自分に「しっくりこなかった」だけかも?
でも、考えたら、
わたしたちが若い頃は雑誌だったけど、
今の若い子って、インスタとかなのかな、
参考にするものって。
- 坂井
- そうだと思います。
そして憧れの対象は、有名だから、とかじゃなく、
ほんとに好きなものを発信している人。
ちゃんとみなさんアンテナを張って
見ているって思います。
(つづきます)
2021-08-02-MON