1970年うまれの同い年。
「weeksdays」と「ほぼ日」を
愛読してくださっているという
坂井真紀さんをおむかえしました。
坂井さんがずっとほしかったけれど
タイミングをのがして買えなかったという
「ベトナムのかご」のサンプルを使っていただき、
その感想をぜひ、というおはなしから、
じぶんたちの年齢のこと、
似合うものが変わってきたはなし、
からだをつくること、
いまの仕事のこと、
だいじなインプットのこと、
そして子育てのこと。
ふたりのおしゃべり、どうぞおたのしみください。
写真=有賀 傑
スタイリング(坂井真紀)=梅山弘子
ヘアメイク(坂井真紀)=ナライユミ
ヘアメイク(伊藤まさこ)=草場妙子
坂井真紀さんのプロフィール
坂井真紀
1970年、東京生まれ。俳優。
一女の母。
1990年、三井不動産の
4代目リハウスガールに選ばれる。
1992年にテレビドラマ
「90日間トテナム・パブ」で役者としてデビュー。
以後、多数のドラマ、映画、舞台、バラエティで活躍。
最近ではNHK総合 連続テレビ小説
「おかえりモネ」に出演。
●公式サイト
http://sakaimaki.jp/
その8母親として。
- 伊藤
- 子どもってすごいですよね。
- 坂井
- はい。おもしろいです。
でも41歳で産んだので、
もっと早く産んでたら、
ちょっと違ったんだろうなって思うことは、
いっぱいありました。
わりともうなんかこう、
いろんなことにドンとしてた感じ(笑)。
- 伊藤
- わたしは20代で産んだので、
最初、途方にくれちゃったんです。
だから坂井さんぐらいで生んだお友達を見ると、
「自分」ができてからだと、
落ち着いて子育てができるんだなと思って。
わたしは、娘が「イヤだーっ!」って泣いた時、
「ママもイヤだーっ!」って、一緒に号泣して。
そうしたら娘が「え?」って泣きやんじゃった。
- 坂井
- (笑)。
- 伊藤
- 逆に知り合いに
「いいお母さんにならなきゃ」
「いい妻でいなくちゃ」
ってずっと思っていたという、
60過ぎの方がいるんですが、
すごくストレスを溜めていたというんですね。
「わたし、なんであの時、
自分の機嫌を後回しにしてたんだろうって、
今になって思うのよ」って。
だから、「ママもイヤだーっ!」って
言った時代のわたしを肯定してくださったんです。
「同じ人間だから、それでいいのよ」って。
自分はあまりにも大人げなかったと思っていたけれど、
たしかに同じ人間なんだしね。
- 坂井
- うん。そう思います。
全然、私も、言いますよ、
「ママもイヤだーっ!」って。
- 伊藤
- 坂井さんも? 良かった!
- 坂井
- でも、あとで謝ります。
「ごめんね」って。
「さっき、ママもイヤになっちゃった、
って言ったけど」って。
- 伊藤
- このごろは、何をしてるんですか、二人の時。
お買い物とか行きますか?
- 坂井
- お買い物は、これからのたのしみかな。
まだ公園に行こうよっていう年齢ですね。
アクティブな遊びです。ボール投げだったり。
- 伊藤
- たしかに、そうですね。
これから、たのしみですよ。
きっとたいへんなこともあると思います。
友達関係のいざこざとか、
そういう、小さくて目が離せない大変さとはまた別の、
ややこしい問題が
起こったりするかもしれない。
でも、それもふくめて、
そばで見るたのしみが母親にはありますよ。
どんな買い物をするのかな、とかも!
それに、お母さんの周りに
刺激的な人がいっぱいいるから、
それをおもしろがってくれたらいいですね。
うちがそうなんです。
わたしの知り合いの70歳近い紳士と仲よくなって、
二人でお芝居に行ったりしてますよ。
坂井さん、
これから楽しいことがいっぱいありますよ。
いいなぁ!
- 坂井
- そうだといいな(笑)。
- 伊藤
- 10歳から20歳くらいまでって、
自分を離れて、趣味のものとかが
できていく期間っていう感じがします。
あ、こういうものに、自分の知らないところで
出会ったんだね、とか、
こういうことで興味を持って、
こういう性格になってくるんだ、って。
それを「ふ~ん」って見ている感じです。
- 坂井
- お母さんの影響、大きいのかな。
- 伊藤
- ううん、そんなに大きくないと思いますよ。
うちの場合、むしろ、考え方がずいぶん違う。
わたしの知り合いがね、
昔の恋人がくれたキーホルダーを
いまでも持っているというから、
「そんなの捨てちゃいなよ、早く!」って言ったら、
家に帰って娘に言われました。
「ママ、人には捨てたくないものがあるんだよ」
って(笑)。
「ママは、一か十か、みたいに、
捨てる、捨てない、どっち? って言うけど、
曖昧な時間をずっと持っていたい人もいるんだよ。
わたしはそのタイプだから」って。
「ママの意見が絶対なわけじゃないんだから、
そんな強い口調で言っちゃダメだよ」。
そんなふうに自分の意見を押し付けないでね、と(笑)。
- 坂井
- (笑)オトナ~! すごいな。
- 伊藤
- 娘がピンクのお弁当箱を買ってきたことがあるんです。
ずっと曲げわっぱだったのに。
きっと、坂井さんは受け入れるでしょう?
「そんなのダメよ!」みたいに
ガミガミ言わないと思う。
- 坂井
- そうですね。受け入れ‥‥ます。
今のところ、うちも曲げわっぱを使っているんですけど、
「みんながこういうのを使っている」っていう話も
だんだんし始めてくるので、
「お弁当箱、新しいの買う?」って訊いたら、
まだ、曲げわっぱがいいって言ってました。
服とかも、いまのところは、わたしの好みと合います。
でも、これからですよね。
じぶんと違うものを選ぶようになるのは。
その時は受け入れてあげようと思います。
好きなものは自由だから。
でも「お母さんはこっちのほうが好きだよ」
っていうのは、わたしも言う性格ですけれど。
ピンクのお弁当箱は、どうされたんですか?
- 伊藤
- 仕方ないな、受け入れようと思って、
半年ぐらいピンクのお弁当箱を続けたら、
「やっぱり曲げわっぱにする」って言い出して。
「なんで?」って聞いたら、
「ママが毎日、すごいイヤそうだし」(笑)。
- 坂井
- ふふ(笑)。
- 伊藤
- 「それに、曲げわっぱのほうが美味しそう」とも。
- 坂井
- よかった。
- 伊藤
- べつにそんな、イヤそうにしてたかなあ?
口角、下がっていたかなぁ。
- 坂井
- ははは。
でも、けっきょく、それって、
素敵な期間ですね。
使ってみて、自分の感覚と、
ママの様子も見ていて、決めたわけですもの。
- 伊藤
- 「やっぱり、美味しそうだから」は嬉しかったな。
ママの機嫌より、
そっちのほうがたぶん大きかったと思う。
そう思いたい(笑)。
(そろそろ時間ですよ、の声を聞いて)
‥‥えっ、もうそんな時間。
坂井さん、もうおしまいなんですって。
いくらでも話せそうなのに、ごめんなさい。
- 坂井
- いえいえ、こちらこそごめんなさい。
ありがとうございます。
- 伊藤
- えっと、まとめると、
あたらしいかごは、2サイズ、小さいもの。
よく考えて、ベトナムの方と相談しますね。
それからわたしたちの世代に似合うTシャツ、
ひきつづき、考えておきます。
- 坂井
- はい! ありがとうございます。
またぜひお目にかかれたらうれしいです。
- 伊藤
- ぜひ! ありがとうございました。
(おわります)
2021-08-06-FRI