「weeksdays」での最初の販売のときは
trippen創業者のミヒャエルさんたちにお話をききました。
[履くほどに自由に。]
2回目となる今回は、その「日本チーム」との座談会。
本国ドイツのメンバーと同じ、
もしかしたらそれ以上に思えるほど、
trippenへの情熱をかたむけている3人と、
伊藤まさこさんが、話しました。
そうなんです、trippenのよさ、もっと伝えたい!
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2018/10/prof_trippen_japan2.jpg)
プレス‥‥三好和美さん
セールスマネージャー‥‥中村光仁さん
バイヤー‥‥斉藤いずみさん
3人はtrippenを扱うアパレル会社「金万」のスタッフ。
trippenにたずさわるようになった経緯は、本文をどうぞ!
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2018/10/09_CLOSED_sewing_upper.jpg)
trippen(トリッペン)は
靴職人のマイスター(特別技術資格者)で、
医療用矯正靴などの製作にも携わっていた
ミヒャエル・エーラーさんと、
それまでも靴や服のデザイナーとして活躍していた
アンジェラ・シュピーツさんが、2人で、
ドイツ・ベルリンで立ち上げた
シューズブランドです。
人間工学に基づいた履き心地のよさを追求、
同時に洗練されたデザインで、多数の賞を受賞、
おおぜいのひとの支持をあつめてきました。
磨耗したり不具合が起きた靴は
直営店での修理を受け付けており、
ずっと長く履くことができるのも特徴です。
靴の製造はドイツの自社工場で、
ひとつひとつ手作業でつくるため、
大量生産品ではありません。
本国ドイツに
フラッグシップストアができたのは1995年。
ベルリン旧市街のHackesche Höfe
(ハッケシェ・ヘーフェ)という場所です。
日本にお店ができたのは1997年9月、原宿。
現在は原宿のほか代官山・名古屋・神戸・
熊本・京都・福岡に展開しています。
ちなみに世界規模ではケルン、
ミュンヘン、ハンブルク、パリ、
テルアビブ、台北、台中、ウランバートル、
香港、ニューヨークへと進出をしています。
その2履きやすさと、かっこよさ。
- 伊藤
- 日本でできあがったイメージがある、
ということですけれど、
たとえば雑誌のファッションページに
trippenの靴を貸し出すことが
きっと、ありますよね。
日本ではどんなコーディネートが多いのかな。
外国とはちがうのかしら。
なにか、傾向があるんですか。
- 三好
- 国によっても媒体によっても
だいぶ違うので一概には言えませんが、
日本の場合、trippenのイメージは
「ちょっとほっこり」とか、
「コンフォータブル」なイメージが強いんですね。
trippenをご存知のかたは、
実はすごくデザイン性が高いブランドであると
理解してくださっているんですが‥‥。
- 伊藤
- そもそも、なぜ「ほっこり」のイメージが?
- 中村
- 「森ガール」が流行した頃に、
そういうスタイリングで取り上げられることが
多かったんです。
寒くて靴下を重ねばきするのに、
trippenのブーツならすぽっと履けるよ、って。
- 三好
- 「冷え取り」の方に、
今でも絶大な人気があるんですよ。
- 伊藤
- なるほど、たまたま「森ガール」だったから、
ほっこり系のオシャレに馴染んで、
それが広がっていったんですね。
- 中村
- ミヒャエルたちは、
trippenのデザイン性の高さは、
ほかのデザイナーズブランドに対しても
アプローチできるものであるという
信念があるんです。
でもそれとは別に、ほっこり部分というか、
コンフォタブルな部分というのが、
日本の中だけで広まっていった。
僕らは、両方がデザインの中に含まれてこその
一つのブランドであるというのを
ちゃんとミックスして説明をしたいと考えています。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2018/10/IMG_8241.jpg)
- 伊藤
- いわゆるモード系、
ハイファッションとも合わせられますよね、
trippenの靴は。
- 中村
- はい。実際、そういう服のお好きな方たちにも
選んでいただいています。
- 伊藤
- そういえば、たしかに私も
最初のtrippenのイメージは「ほっこり」でした。
でもtrippenのプレスの仕事を
三好さんと一緒になさっている
岡本敬子さんに誘っていただいたのがきっかけで、
デザイン性の高さに目が行くようになりました。
- 三好
- 私も実はそう思っていたほうなんです!
それが展示会であれだけの数を見たときに、
すばらしいデザインが多いことを知って、
「何これ?!」って。
- 伊藤
- 三好さんは、中村さんや斉藤さんよりは遅く?
- 三好
- そうなんです。縁があってプレスを担当して、
まだ6、7年なんですよ。
trippenだけでいうと、
今年に入ってから正式に着任しました。
- 伊藤
- そうなんですか!
- 三好
- それまではもう1名、男性のプレス担当がおりまして、
彼がずっとtrippen畑でした。
私は弊社で扱っているブランド全般の
プレス統括を担当していたので、
trippenは彼と一緒に、というスタンスだったんです。
しかも本当に詳しいことはこの2人にお任せ、
みたいな感じだったんですけど、
あらためて関わってみたら、
彼らの言うtrippenの世界観が、
なかなか伝わっていないんじゃないかなと思って、
積極的に打ち出そうとしているところなんですよ。
岡本敬子さんは専門学校の同級生という縁で、
外注でプレスの仕事をお願いしているんですが、
彼女から広がる世界にもとても期待しています。
trippenには、「ほっこり」のイメージからは遠い、
レディ・ガガが履くような
造形的な靴があったりしますから、
そういうことも伝えていきたいなって。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2018/10/IMG_8263.jpg)
- 伊藤
- ファーがついているものとか、ありますよね。
- 三好
- そうなんです。「これ履けるの?」みたいなのに、
履くと「カッコいい! しかも歩きやすい」となる。
そのことが「何これ?!」だったんです。
展示会では岡本さんと2人で履いて、
「ぜひ見てください!」みたいに接客します。
そうするとみなさん「履いてみようかな」って。
- 伊藤
- まさに私もそうでした!
- 三好
- 展示会にいらっしゃるみなさんは、
同時期に、ほんとうにたくさんの
洋服や靴、バッグなどを見て回られているので、
「また靴? 履くの面倒くさいなぁ」
なんていう気持ちにもなると思うんです。
でも1足履くと「え、履きやすい」「カッコいい」、
そして「もっと履きたい!」ってなってくださる。
そうして、最初のころよりもずっと、
長い時間をかけて見てくださるようになりました。
いま、trippenのイメージが、
「ほっこり」から「かっこいい」に
徐々に変化していっているように思います。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2018/10/MG_5642.jpg)
- 中村
- たしかにそれまでは「trippenといえば、これだよね」
というほっこり系のものが選ばれる傾向にあったのが、
三好と岡本敬子さんがプレスに携わるようになってから、
ファッションの世界の人たちに広がるようになり、
選ばれるものに幅が出るようになりましたね。
- 斉藤
- 本当に幅広くなりましたよね、最近。
- 伊藤
- だって、オシャレですもの。
- 三好
- オシャレです!
「weeksdays」で扱ってもらえたのも
私たち、ほんとうに嬉しいんですよ。
- 伊藤
- こちらこそ。
- 中村
- 弊社でも、インターネットでの販売が
盛り上がってきた時期に考えたんです。
世界ではこういうものを販売しているのに、
「日本だけこうです」というのは違うだろうなって。
僕らがもっとやらなきゃいけないことは、
海外のデザイナーが考えてること、
発表しているアイテムを、
もっと素直にダイレクトに
表現していくということなんじゃないかなと考えて。
それで10年ほど前から、
展示会のやり方も変えて、
いまは海外と同じような大きな規模感で、
いっそ海外よりボリュームを持って発信しています。
- 伊藤
- そういうことも中村さんと斉藤さん、
そして三好さんが加わって、変化してきたんですね。
- 中村
- はい。もちろんそれを考えるにあたって
デザイナーであるミヒャエルがいて、
アンジェラというキュレーションを強烈にしてくれる
人間がいたので、彼らと相談をして、ですけれど。
その頃から日本のtrippenと本国のtrippenが
親密になっていった。お互いが近づき合って。
- 伊藤
- 本国とのやりとりはおもにメールで?
- 斉藤
- はい、メールです。
もちろん半年ごと、コレクションの発表のたびに
ドイツに行って、彼らが発表するとき説明を直接受けます。
最近はもう誰よりどこよりも早く、
現地スタッフと同じタイミングで
聞かせてもらえるようになったんです。
そのときに「日本ではどう?」という話もします。
「そういう見せ方をするなら、
これは君たちで選んでみたらどうかな?」とか、
「こういうふうにすればいいんじゃないか」って。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2018/10/IMG_8275.jpg)
- 伊藤
- 輸入会社というよりも、
もうtrippen日本支社みたいですよね。
- 斉藤
- もう本当にそれぐらいの感覚でいます。
そうやってやってきたことが彼らに伝わって、
一緒に表現しようという感覚に
なってくれてると思うんです。
アイテムにしても、私たちが選ぶものを
「やっぱりそれを選んだ! じつはこれは、
君たちなら選ぶなと思ってつくったんだよ」
と言われたこともあります。
それくらい日本のことを彼らもわかってくれている。
- 三好
- デザイナーたちの、この2人に対する信頼は厚いです。
私もこれまでたくさんの輸入ものを扱ってきましたが、
ここまで信頼されているのは
ちょっと見たことないぐらいです。
どの海外ブランドもそうですが、
日本で「こう展開したい」というときの
本国へのアプルーバル(許可、認可)の取り方って、
本当に細かくやらないといけないんですけれど、
trippenは「任せるよ」みたいなところがある。
- 伊藤
- 関係がそこまでできているということですね。