あけびのかご

「なんてきれいなんだろう」
民芸品屋でひとめ惚れし、
抱えて帰ったあけびのかご。

素朴な質感ながら、
たたずまいはとても端正。
使っているうちにどうしても
編んだ方にお会いしたいと、
野沢温泉に久保田敏昭さんをたずねて行ったのが
今から10年ほど前のことでした。

山から採ってきたあけびのつるを
温泉にひたしてやわらかくしてから編む。
久保田さんの案内で、
街やお仕事場を見て回るうちに、
あけびのかごができあがるまでの背景には、
その土地ならではの気候や風土が
欠かせないものだということが、
わかったのでした。

weeksdaysで今回ご紹介するのは、
ふだん見慣れている、
つるをそのまま編んだものではなく、
外側の皮を取り除き、中の芯で編まれたかご。
皮を除くことで、軽く、虫もつきづらくなると言いますが、
とても手間がかかるため、
この方法であけびのかごを編んでいる方は
今は久保田さん以外ほとんどいらっしゃらないそう。

使うほどに味わいも、
愛着も増していく久保田さんのあけびのかご。
着物姿にもぴったりです。

伊藤まさこ

2018-11-02-FRI