柳宗理さんのデザイン
伊藤さんがふだん、そして長く使っているものたちを
紹介してゆく今週の「weeksdays」。
きょうは「柳宗理さんデザインのキッチンツール」です。
一人暮らしをはじめた時に決めたこと、
それは
「すぐにすべてがそろわなくてもいいから、
本当に気に入った道具や器を買うこと」でした。
とても小さな部屋でしたが、
目に入るものすべてが自分の気に入り、
というのがとにかくうれしかった。
まだスタイリストの卵だった20代の私の
なつかしい思い出です。
その時にそろえたのが、この5個のボウル。
大きなものは葉物の野菜をたっぷり使ったサラダに、
そのひとまわり小さなものは生クリームを泡立てる時、
小さなものは下ごしらえ‥‥と
私の中でそれぞれ用途が決まっていて、
手がそれを覚えている。
20年以上使って、
今ではなくてはならないものになりました。
重なった姿も、横から見ても美しい。
実用と美をあわせ持ったデザインは
いかにも「柳宗理デザイン」。
使うたびに「いいものだなぁ」と感じ入っています。
一人暮らしをはじめる年下の友人に
プレゼントすることもしょっちゅう。
私がそうであったように、
彼らもひとつひとつ、よい道具をそろえていってくれたら
いいなあと思っています。
朝食にかかせないのは、
ミルクパンと小さなフライパン。
これでチャイを作って、目玉焼き焼いて。
あとはパンがあればいい。
またお弁当を作る時にも重宝。
卵焼きを作ったあとに、ウィンナーを焼いて、
その横では青菜を茹でて、という具合。
ボウル同様、このふたつの道具も、
なくてはならないものになっています。
持ち手も、そそぎ口も、見た目のフォルムも
尖ったところがなく、やさしい印象。
柳さんのやさしい笑顔と
どこか重なるところがあるのです。
(伊藤まさこ)