バリ島に住む土屋由里さんと、
マラケシュに暮らす石田雅美さん、
ふたりが運営している
「warang wayan」というブランド。
「ほぼ日」では「生活のたのしみ展」でもおなじみです。

ブランド立ち上げの頃からの
「warang wayan」ファンだという
伊藤まさこさんですが、
一緒にものづくりをするのは今回がはじめてです。

今回、「warang wayan」がつくってくれたのは、
大人っぽく、かわいいかたちのかごバッグ。
その「できるまで」の物語もさることながら、
「warang wayanができるまで」のお話も、
とっても興味深いものでした。

日本・インドネシア・モロッコを繋いでの
オンラインでのインタビュー、どうぞおたのしみください。

warang wayanのプロフィール

バリ島に住む土屋由里さんと
マラケシュに暮らす石田雅美さんが
2000年に活動を開始した雑貨製作・販売のユニット。
ワランワヤンインドネシア、
ワランワヤンモロッコと、
2つの国・別々の会社をつくって運営をしつつ、
ひとつのブランドとしての活動をつづけている。
インドネシアではかご製品と木の道具、
モロッコではかご製品と革製品を中心に
オリジナルアイテムを制作・販売。

●ワランワヤンインドネシア

●ワランワヤンモロッコ

その2
バリ島とマラケシュで、それぞれが。

石田
インドネシアとアフリカからの帰国後は、
ふたりでいろんなお店を訪ねて、
寅さんのように行商をしました。
ところが、当時、扱ってくれるお店が
1軒もなかったんですよ。
伊藤
え?! そうなんですか?
石田
やっと、扱ってくれたのが、
原宿にあった「ファーマーズテーブル」さん。
土屋
そして、その翌年、
「ザッカ(Zakka)」さんが
展覧会をやりませんか? とお声掛けくださったんです。
伊藤
うんうん。
そっか、やってらっしゃいましたね、
覚えてます。切り抜きで
バブーシュとかかごの写真をレイアウトしたDMでした。
土屋
そうです!
──
ザッカは明冶通りの地下にありましたね。
ファーマーズテーブルはキャットストリート。
土屋
そうです、そうです。
石田
その頃から少しずつ口コミで
お客さんが増えていったんです。
伊藤
その2つのお店って、
当時、同じ業界の人やスタイリストが
すごく注目している場所でした。
あ! こんなものを! というものがいっぱいで、
いま思えば、すごく早かった。
そしてwarang wayanのおふたりは、
やっぱりすごい目利きだったんですよ。
私ももちろんそれで知ったんですもの。
石田
実は私たちのwarang wayanが
初めてメディアに出たのが、
まさこさんの本だったんですよ。
土屋
『まいにちつかうもの』ですね。
石田
バブーシュをご紹介くださった。
伊藤
あれが初めてだったんですか?
石田
そうなんです。
それからすごくたくさんのお問い合わせを
いただくようになりました。
だから伊藤さん、わたしたち、
すっごく感謝してるんです。
ありがとうございます。
伊藤
えぇっ! そんなぁ。
こちらこそありがとうございます。
土屋
ありがとうございました。
20年ぶりにお礼が言えました。
そこからそのまま、なんとなく、
カタログもなく、名刺もなく、
口コミで売り続け、今があります。
──
移住したのは? 
石田
その後まず土屋さんが伴侶を見つけバリ島に移住、
わたしがその後こっち(アフリカ)に来て、
っていう感じです。
──
もう2000年代ですね。
石田
そうですね、仕事が始まったのが
2000年ぐらいでしたから。
──
「ほぼ日」が1998年の創刊で、
当時、インターネットはあったんですけれど、
モデム通信で、そこまで早くなくて、
データのやりとりにお金のかかる時代でしたよね。
写真1枚送るのもたいへんだったし、
それこそ電話で1時間、
アフリカとインドネシアで喋ったら
えらいことになっちゃう時代だと思いますが‥‥。
伊藤
どうやってやり取りされたんですか?
石田
当時はどうしてたんだろう? 
メールと‥‥出はじめのスカイプ? 
だったかもしれないです。
伊藤
それが、いまや、こうして
リアルタイムで時差を感じずに話すことができるように。
すごいことですね。
その2つの個性ある国に暮らしながら、
どうやって「warang wayan」っていう
1つのブランドをまとめているんですか? 
もうお互いが「これ、いいんだけど」、
「あれ、いいんだよね」っていう、
それぞれの感じで?
石田
もう、その通りです!
伊藤
「これ、いいじゃん?」って。
石田
そう! それだけですよ。
土屋
そうですね。まさしく。
石田
基本的なこと、たとえば「ものを見る」こと、
それは職人の仕事がきちんと丁寧であることだとか、
絶対に外せないことはあるんです。
でもそれはサボアにいたときに
共通の感覚を身につけていて。
土屋
好きなものが似ている、
っていうところもあるのかな?
石田
そう、聞かなくても、
あぁ大丈夫だなっていう安心感がある。
伊藤
なるほど。そうじゃないと、
こうして距離もあり、コロナもあって、
会えない時間が続いているなかでは、
いっしょに仕事をすすめるのって難しいですものね。
今、どれぐらい会ってないですか? 2年ぐらい?
土屋
いつかな? コロナになってからは会ってないけれど。
石田
その前から会ってないから、3年くらいかも?
伊藤
始められて20年以上ってことですよね?
石田
もうすぐ25年になりますね(笑)。
伊藤
warang wayanという名前は
どうやって決めたんですか。
土屋
えーっと(笑)。
石田
(笑)もう、ほんとに私たち、
考えるのが得意じゃなくて、
名前は電車の中でパッと。
土屋
東横線の中でね。
石田
名前どうしようかなって話してたときに、
ワヤンっていうのは彼女の旦那さんの名前で、
ワランっていうのは
当時私がモロッコの前にセネガルに夢中で、
ワラン村っていう村に土地を買ったんですよ。
伊藤
へぇ~!
石田
海沿いのマンゴーが生えてる小さな土地で、
その村の名前と「ワヤン」が似てるから、
もうじゃぁ「warang wayan」でって。
伊藤
すごくいい響きですよね。
石田
あらためて由来を訊かれると恥ずかしいんです(笑)。
伊藤
セネガルの土地はどうしたんですか?
石田
縁がなくなり、20年、セネガルに行っていないので、
放置している状態ですね。
登記書とかはあるんですけど。
どうなってるか分からない。
──
インドネシアとモロッコでそれぞれ製品をつくり、
いろんなお店に卸したり、
ネットショップでは販売をするのに、
日本に集荷場所があるんですか、
たとえば東京に事務所があるとか。
経理もたいへんそうですけれど。
石田
いえ、会社がふたつあるんです。
「ワランワヤンインドネシア」と、
「ワランワヤンモロッコ」。
それぞれが流通も経理も独立してやっています。
伊藤
面白いですね。
──
それは最初からそうしようと
思っていた、というよりは‥‥。
石田
なんにも知識がなく、
なんとなくやっちゃったら、
こうなったんでしょうね。
(つづきます)
2022-04-13-WED