夏に向けた「weeksdays」の特集
「かごバッグとワンピース」第3弾は、
パリを拠点としたふたつのブランドをご紹介します。
ひとつは、以前もリバティプリントを使ったドレスを
提案してくださった「t.yamai paris」、
そしてもうひとつが、「weeksdays」では初登場となる
「MAISON N.H PARIS」です。
現在は東京にアトリエをもつ
「t.yamai paris」の山井夫妻と、
パリに暮らす「MAISON N.H PARIS」の
石坂紀子さん、佐々木ひろみさん、
東京の伊藤さんをオンラインでむすんで、
座談会をひらきました。
(佐々木さんは、ブリュッセルに出張中。
そこから参加してくださいました。)
東京・パリだけじゃなく、
バッグがつくられているのは
なんとアフリカのマダガスカル。
2つのチームのものづくりについて、
いろいろお聞きしました。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2022/05/MAISON-N.H-PARIS-PORTRAIT.jpg)
MAISON N.H PARIS
2015年、チャリティ活動を通じて知り合った
パリに住む2人の日本人、
石坂紀子さんと佐々木ひろみさんが立ち上げたブランド。
フランス的なエレガンスと、
旅先で出会ったヨーロッパ・世界の美意識をブレンドし、
ボヘミアン的な印象で、かつ都会的な
バッグや雑貨をつくっている。
●石坂紀子(いしざか・のりこ)
パリ在住。30年に渡り、フランスで
ファッションに関わる仕事を続ける。
ファッション撮影やイベントをプロデュース、
日本の雑誌への執筆活動などを行なっていたが、
2014年に「MAISON N.H PARIS」を立ち上げてからは、
この仕事に注力している。
インスピレーションのもとは、毎月1~2回出るという旅、
そしてコンテンポラリーアートの観賞。
職人仕事が好きで、1年に6回、インドを訪れたことも。
最近は自らでも陶芸や金継ぎに挑戦している。
2011年の東日本大震災の時にNPO団体
「Hope and Love」を立ち上げ、代表を務める。
●佐々木ひろみ(ささきひろみ)
日本での編集者時代を経て渡仏。
2004年、パリでキッズブランド
「mini tsu tsu」をスタート。
2011年「Hope and Love」を通して
石坂さんと知り合い、
2014年「MAISON N.H PARIS」の立ち上げに加わる。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2022/05/tyamaiparis-1.jpg)
t.yamai paris
1995年、パリでブランドをスタート。
リュクサンブール公園近くにブティックをオープン。
2010年、東京に拠点を移す。
ベーシックを軸に甘さとモダンさをミックスした
大人の日常着を提案。
エレガンス、フェミニン、クラシカルをキーワードに
自分らしい着こなしを大切にする
女性のための服作りを続けている。
●山井孝(やまい・たかし)
文化服装学院卒業。
(株)BIGI に入社しデザイナーとして数年活動。
パリで経験を積んでみたいと渡仏。
TOKIO KUMAGAI のアトリエで
アシスタントとして働いた後、
Zucca paris の企画、フランス生産等を経て
パリで自身のブランド t.yamai paris を立ち上げる。
●山井自子(やまい・よりこ)
文化服装学院卒業。
アクセサリーの企画、プレスを経た後に渡仏。
ブランド t.yamai paris をパリで立ち上げ、
パートナーとしてサポート。
その1パリで知り合って。
- 伊藤
- こんにちは!
- 石坂
- こんにちは、石坂です。
いま、佐々木がブリュッセルにおりまして、
スマホで参加するそうなんですけれども、
先に始めていてくださいとのことでした。
- 伊藤
- ありがとうございます。
あらためて、東京の伊藤です。
紀子さんは、いまはパリのお家から?
- 石坂
- はい、パリの自宅です。
お恥ずかしい(笑)。
- 伊藤
- いえいえ、後ろに写っているお部屋の様子がすてきです。
ゆるゆると、はじめましょうか。
山井さんも、よろしくお願いします。
- 山井
- こんにちは。t.yamai parisの山井孝です。
よろしくお願いします。
- 自子
- 山井自子(よりこ)です。
よろしくお願いします。
- ──
- では、伊藤さんのプロデュースの話から聞かせて下さい。
今回はワンピースとカゴバッグっていう
大きなテーマで特集をしましょうということで、
3組の「ワンピースとかごバッグ」のラストを飾るのが、
こちらのチームですね。
伊藤さんが考えた、こういうのがあったらいいな、
という発想が一番の元になってると思うんですけれど。
- 伊藤
- はい。夏の服の定番として、ワンピースを着て、
カゴバッグさえ持てばオッケー、みたいな、
楽でありながら、
でもちゃんとおしゃれに見えるスタイルを
提案したいと思ったんです。
それで、山井さんたちと、
メゾンエヌアッシュ(NH)のお2人に
ご一緒していただけませんか、とお願いをしました。
昔からのパリ仲間と聞いていたので、
きっと「合う」と思ったんですよ。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2022/05/MG_0194-1.jpg)
- ──
- 「weeksdays」にとっては、
エヌアッシュのお2人の作品は、
初めて接するものでした。
伊藤さんは昔からよくご存知だったんですか?
- 伊藤
- そんなに昔というわけじゃないんですよ。
はじめて展示会に伺ったのが‥‥。
- 石坂
- 3、4年ぐらい前かと思います。
- 伊藤
- 東京での展示会に誘っていただいて、
そうしたら「欲しいものだらけ!」。
- 石坂
- ありがとうございます。
伊藤さんと実際にお目にかかったのは、
それが初めてだったんですけれども、
その前に、パリのチャコさん(鈴木ひろこさん)という
共通の友人の方が私たちの丸いバッグを持っていたのを
御存じだったとうかがいました。
- ──
- 伊藤さんも持っている、
まん丸でレコードみたいなバッグですね。
- 伊藤
- そう。肩にかけるタイプのバッグです。
すごくおっきいけれど、
そんなに重い物を入れるわけでもなく、
もう持つだけで嬉しいという、
そんなバッグなんです。
そんなふうに「持っているだけで心が躍る」デザインに
「これは!」と感激して。
チャコさんも、すごくお似合いでしたね。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2022/05/S__129204228.jpg)
チャコさんのインスタグラムより @suzukichako
- ──
- 「バッグは実用品」という固定観念から
離れられずにいるものですから、
「持ってるだけで嬉しいバッグ」
という発想に驚きました。
エヌアッシュは、
そういうバッグが多かったんでしょうか。
- 伊藤
- うーん、そんなこともないですよね?
超・実用系もあります。
わたしの撮影(ものを運ぶ)用に使っている、
すっごくおっきい、チェックのバッグもそうです。
- 石坂
- そうですね。
あ、佐々木が来ました。
- 佐々木
- みなさんこんにちは、遅くなりました~!
ブリュッセルに到着しました。
エヌアッシュの佐々木ひろみです。
「アッシュ」のほうです。
- ──
- よかった。
お忙しいところありがとうございます。
アッシュというのはフランス語の「H」、
佐々木さんのお名前が「ひろみ」さんだからですね。
- 佐々木
- はい、そうなんです。お世話になっております。
- 伊藤
- 石坂さんが「紀子」なので「N」。
- ──
- これでみなさんが揃いましたね。
あらためて、伊藤さんが展示会で知った
エヌアッシュパリのバッグを使ってきて、
この夏の「ワンピースとかごバッグ」の特集で
ぜひ、と思われたという経緯でしたね。
同じようにパリを拠点になさっているということで、
面識があったんですね。
- 佐々木
- はい。山井さんたちが
パリに住んでらっしゃるときからの知り合いです。
- 山井
- もう、25年ぐらいになるのかな。
- 伊藤
- そんなに?!
- ──
- 四半世紀!
- 石坂
- 皆の子供が、同い年という共通点もあって。
- 佐々木
- そうですね。子供たちが幼馴染です。
- 自子
- うん、つながってますね。
- ──
- 生活基盤が一緒なんですね。
実はちょっと前に、
山井さんたちがお仕事を始めたきっかけや、
パリでのことを、伊藤さんとの座談会
「パリで立ち上げた、大人の日常着。」で
お話しいただいたんです。
なのでまず、メゾンエヌアッシュのお2人のことを
聞かせていただけたら嬉しいなぁと思うんですけど、
いかがでしょうか?
- 石坂
- もちろんです。
- 伊藤
- その「25年ぐらい前」から、
お2人でバッグをつくられていたんですか?
‥‥じゃ、ないですよね。
- 石坂
- はい、私たちの会社の設立は7年前になります。
元々知り合いではあったんですが、
すごく近しくなったきっかけというのが、
東日本大震災のときの、
日本向けのチャリティセールでした。
先ほどお話が出たチャコさんといっしょに
活動をオーガナイズをする機会があったんです。
今からちょうど11年前のことですね。
そのときに、佐々木が手伝いに来てくれて、
その後、運営メンバーになり、
一緒にチャリティ活動をすることになりました。
そのあたりからです、ぐっと仲良くなったのは。
- 伊藤
- それで、チャリティだけじゃなく、
「何かやろうよ」みたいに?
- 佐々木
- そうですね。でもそれぞれ仕事が他にもあったので、
最初はそんな本格的にやろう、
という感じではなかったんです。
徐々に少しずつ動き出したという感じですね。
- 伊藤
- どういうふうにしてものづくりをされてるんですか?
2人がそれぞれ、「こういうのが欲しい!」というのを、
どんどん実現させていくという感じ?
- 石坂
- そうですね。2人で意見交換をしつつ、
こういうのが欲しいね、とか、
じゃぁここはこうしよう、みたいな感じで
アイデアを出し合って、
少しずつかたちにしていくっていうのが
私たちのものづくりの基本的なプロセスです。
けれども手づくりのものが多いので、
技術的にできることと、できないことがあるんですね。
なので実際は職人さんと、
「私たちはこういうことを
やりたいと思ってるんだけれども、
技術的にこういうことはできますか?」
とお話ししながらつくります。
つまり、私たちだけでデザインをしている、
というよりは、
職人さんたちとのコラボレーションというかたちで、
少しずつかたちになっていくんです。
![](/n/weeksdays/wp-content/uploads/2022/05/MG_0124-1.jpg)