REPORT

t.yamai parisのふたつのシャツ、
あのひとに着てもらいました
[1]石澤敬子さん

ひとつは後ろヨークに
バックギャザーの入った開襟シャツ、
もうひとつは胸元に
たっぷりのギャザーフリルがついたブラウス。
この秋のt.yamai parisの2枚を、
伊藤まさこさんが「ぜひこのかたに!」と考えた
3組4人のみなさんに、
それぞれのコーディネートで着ていただきました。
それぞれの“home”で
撮影した写真とともにおとどけします。
ぜひ参考になさってくださいね。

(取材・文=伊藤まさこ 写真=「weeksdays」編集部)

石澤敬子さんのプロフィール

いしざわ・けいこ
家内製手工業人。文化服装学院技術専攻科卒業。
アパレル会社でパタンナーとして勤務したのち、
ワンピースやウェディングドレスのオーダーを受け始める。
1988年より自身のブランド「moss*」をスタート。
その活動と並行して「minä perhonen」に勤務、
海外などで見つけた生地を使い、
“かわいいおばあちゃん”をテーマにした
ワンピースやエプロン、小物類を制作。
著書に『ノスタルジックなクローゼット』
(文化出版局)。

●石澤さんのInstagram


「味わいのある服が好き」
という敬子さん。
一度、気に入った服はとことん着倒すそう。
だから20年もの、30年ものの服もざらだとか。

敬子さんと知り合ったのは、
30年ほど(!)前になりますが、
その頃からイメージが全く変わっていない。
それも驚くくらい。

「好きなものもほとんど変わっていないんです。
よく、歳を重ねると、似合う服が変わるっていうでしょ。
そういうのも感じたことないなぁ‥‥」

着続けたい、という気持ちの方が勝つんですって。
すごいなぁ。

敬子さんのおしゃれって、
潔いほど「好き」という気持ちに忠実。
私から見たら、
とても着こなせそうにない
「好きな」もの同士を組み合わせて、
敬子スタイルに仕上げる。
「近所の商店街で、2度見どころか3度見されることも
しょっちゅうだけれど、いいんです。もう慣れっこだから」
という敬子さんの着こなし、
今日、とても楽しみにしていたのでした。

t.yamai parisのフリルブラウスには、
「ずっと履いているからもうボロボロで」というパンツ、
腰には中国のミャオ族の民族衣装を巻いて。
友人が作った帽子や、
馬の毛で作られたラリエットを合わせます。

それにしても、民族衣装とはびっくり。
アジアやアフリカ、ヨーロッパ‥‥
「国は問わず、気に入ったものを」が
敬子スタイルの基本のよう。

お手本はあるのかなと尋ねると、
「ハンガリーとかチェコとか。
東欧の、ちょっと野暮ったい
おばあちゃんのおしゃれに惹かれるんです」
ですって!

「それでも、自分がだんだんと、
年齢的におばあちゃんに近づいてきているから、
ちょっとアクの強いものを組み合わせたり、
よいものを組み合わせたり」
コーディネートの味つけに気配りをしているのだそう。

グリーンのシャツには、
スカーフを巻いて。
なんと敬子さん、
1年のうち、360日はスカーフを巻いているとか。
そういえば、髪型が思い出せない! というくらい、
頭には何か乗っています。

花のネックレスは、Marni(マルニ)。
そうそう、これ私も店で見て、
かわいいなと思っていたけれど、
派手すぎるかなと躊躇して買えなかったのでした。

好きなものを自由にコーディネートして、
自分のスタイルにする。
見よ、この堂々とした敬子さんの姿を。
「堂々と」って、
服を着た自分を
一番かっこよく見せるコツなのかもしれないなぁ。
見習いたい。

2022-10-02-SUN