ことしもつくりましたよ!
金沢の老舗の酒蔵である「福光屋」さんと
「weeksdays」が組んだ、
日本酒とおつまみの「ちびちびセット」。
一合瓶の日本酒が6本と、おつまみが6種類、
さらに熱燗をおいしくする「ふぐひれ」がひとつ、
そして20種のおつまみレシピがのった
『ちび本2』が、松林誠さんの描く
かわいい箱に入っています。
昨年はオンラインでやりとりをした
福光屋の担当ディレクターである利岡祥子さんが、
伊藤さんのお宅にいらっしゃっての対談、
どうぞおたのしみください。
『ちび本2』から、いくつかレシピもご紹介します!
酒蔵の写真提供=福光屋
利岡祥子さんのプロフィール
利岡祥子
1984年に福光屋入社。
商品開発や広告宣伝、広報担当を経て、
1999年に福光屋の初めての直営店を
東京・銀座に立ち上げる。
現在は直営店6店の運営、
化粧品事業、海外展開を統括している。
直営店の企画やセレクトを通して、
作家との繋がり、モノとの関係を深めてきた。
九谷焼の窯元に生まれ、
金沢の伝統工芸や食への興味も尽きない。
03うつわもたのしい
- 利岡
- この箱の色もかわいいですね。
‥‥っていうか、
そもそも今年もまたやっていただけるなんて、
ほんとに思ってなかったので、
もう福光屋では歓喜してました。
すごくうれしいって。
- 伊藤
- よかった! 昨年も、すぐに売れたので、
待っててくださる方もいるはず、と。
知り合いが買いたいと言ってくれたりもします。
お酒は好きだけれど、量をあんまり飲まないから、
これが欲しいって。
- ──
- 時期的にもちょうどよかったので。
「ほぼ日」でも、家族やお友達に贈ったりするものが
多かったんですよ。
- 伊藤
- やっぱりそうやってお歳暮的なことや、
年末年始のためにお酒を買う方も多いんですか?
- 利岡
- 多いですね。
だから12月ってちょうどいい時期なんですよね。
以前は11、12月だけで
年間の3分の1の売り上げがあったっていうぐらい
お正月の需要はすごかったんですよ。
昔は、百貨店の初売りとか、
銀行さんの仕事始めとか、
お正月の鏡開きの需要もあって、
そういうときは4斗樽っていう、
一升瓶40本ぶんの樽が売れたんです。
4斗樽を作る職人さんが作り続けて、
年内ぎりぎりや、お正月早々に届けて。
- 伊藤
- それはどれぐらい前の話ですか?
- 利岡
- もう20年‥‥30年前になるのかな。
- 伊藤
- 移り変わりは、だいぶ、大きいんですね。
- 利岡
- お酒に対しておおらかな時代がありましたからね。
あとは初詣ですよね。
神社でも酒樽がずらりと並んで、
初詣に来たお客様にふるまい酒をしていましたが、
そういう風物詩がなくなってしまって。
‥‥ってなんだか暗い話ばかりですね(笑)。
でもほんとに日本酒文化っていうのは
昔はさかんでした。
- 伊藤
- そうですね。
私は、父と、1升飲んだ日があって。
- 利岡
- すごい。
- 伊藤
- すっごく日本酒をおいしく感じる日があったんです。
私が3合半ぐらいだったと思うんですけれど。
- 利岡
- お父さまもお強かったんですね。
- 伊藤
- 「なんか今日はうまいなー!」とか言って。
あんなこともうできないかも。
- 利岡
- いくつぐらいのときですか?
- 伊藤
- 27ぐらいかな。
おいしいね、おいしいね、って。
母が「あなたたち1升飲んでるよ?」(笑)。
- 利岡
- 何があったんでしょうね、その日。
- 伊藤
- あれはなんだったんだろうかと、
今でも思います。
たしか今ぐらいの季節でした。
ちょっと温めてから、いただきました。
- 利岡
- お燗文化みたいなものもどんどんなくなってきています。
やっぱりちょっとフワッと温めて飲んでっていうのも、
ぜひぜひみなさんに体験してほしいです。
みなさんもお燗を飲まれます?
- ──
- はい、飲みます。
- 利岡
- うれしいな。うれしい。
- ──
- 温度によって味が変わるのが
すごく面白いなと思って。
- 利岡
- 違いますでしょう。
ちょっとツンとした感じがくるお酒もあるんですけれども、
お米と米麹だけで作った純米酒だと、それが絶対なく、
お米の香りがフワッとするんです。
- 伊藤
- これ、わが家のお燗道具です。
鉄瓶、徳利、ちろり(燗をする容器)‥‥。
- 利岡
- ステキ! かわいいですね。
いいじゃないですかー。
このちろりも骨董市で?
- 伊藤
- それは、京都の骨董店で買いました。
これが入って温まってる様子がすごく好きなんです。
冬、って感じで。
日本酒って、こういう道具も楽しいです。
- 利岡
- ほんとに。日本酒は道具も楽しめるので。
- 伊藤
- おちょことか!
- 利岡
- うん。かわいいのが、いっぱい。
- 伊藤
- でも、「ちびちびセット」だと
1本がすぐに飲みきれるから。
- 利岡
- 2口ぐらいで飲んじゃうんじゃない?(笑) まさこさん。
- 伊藤
- ゴクゴクゴク! って(笑)!
でも、もうちょっと飲みたかったな、
ぐらいで終わるところがいいんですよ。
- 利岡
- そうなんですよね。
- 伊藤
- ちょうどよかったです。
- 利岡
- あと、味の飲み比べができるので。
- 伊藤
- そうそうそう。「weeksdays」チームに、
前回の「ちびちびセット」と『ちび本』で、
家でパーティをしたって言ってました。
- ──
- 1から20まで全部一人で作って、
友達を呼んだそうですよ。
- 伊藤
- 20まで? ちゃんと作れたかな。
- ──
- ちゃんと作れましたって言ってましたよ。
- 利岡
- ササッと作れるその手軽さがすごくいいんですよ。
私も前回、ほとんど作りましたよ。
すごくリピートしてるのはじゃがいものお浸しです。
- 利岡
- 半透明になって、すごくきれいですよね。
- 伊藤
- 不思議ですよね。
じゃがいもを見直すっていうか。
- 利岡
- あと、前回の中では、
切り干し大根の春巻。
- 利岡
- あのレシピを使わせていただいて、福光屋の「ひがし」
(金沢・ひがし茶屋街にあるイートインのある酒店)の
おつまみでお出ししたんですよ。
- 伊藤
- そうですよね! ありがとうございます。
知り合いに教えたら、
切干し大根は煮ないでこればっかりだって。
- 利岡
- 今回も1からつくってみますね。
そうそう、今回、パッケージも一新しましたね。
オリジナルラベルの1本の絵も、
描き直してくださったんです。
こうして並べると、
ちょこっと進化しているのがわかると思います。
- 伊藤
- ほんとだ! ありがたいことです。
- 利岡
- かわいいですね。
(『ちび本2』をめくって)
あっ、「厚揚げ」の写真に、
九谷焼の器が。うれしいです。
いいですよね。
- 伊藤
- 利岡さんは、九谷焼の窯元のご出身ですよね。
- 利岡
- そうなんです。
九谷焼も日本酒と同じで、もうほんとに必死です。
ちょうど私が育った頃がピークで、
そこから、もうどんどん下がってきて。
それでも今、若い作家さんが新しい九谷を作って、
少し盛り上がってきてるんですけれど。
- 伊藤
- こういう、昔ながらのものって、
作れないんでしょうか。
- 利岡
- そうなんですよ。
たとえば着彩に使う色についても、
いろいろな制限が出てしまい、
たとえば青の色は昔とは変わってきていますね。
- 伊藤
- なるほど。
古いものって「食器としては売れない」ものも
あるんだそうですね。
- 利岡
- はい。もうこれには食事をのせてはいけないとか‥‥。
同時に白磁の人気が出て、
無地の器を作家さんがどんどん作るようになって。
- 伊藤
- そういう中にポンって久谷焼が入ると、
すごくいいんですよね。
- 利岡
- そうでしょう?
ほんとに、ちょっとアクセントで。
金沢のおうちは結構多いんですが、
かぶら寿司とか煮物とか、
なんでも九谷に盛るんです。
とくにうちは家業ですから食卓がすべて九谷焼で、
こんなものだろうなと思って育ったんですけれども、
そんな中、白磁の作家さんがいっぱい出てこられた時は、
すごく新鮮だったんですよ。
- ──
- これも『ちび本』の楽しみですよね。
伊藤さんの器がいろいろ見られる。
- 利岡
- ほんとに楽しめます!
- 伊藤
- どうもありがとうございます。
利岡さん、また飲みましょうね。
金沢にも伺いたいです。
- 利岡
- ぜひ! お待ちしています。
どこに行きましょうか、探しておきますね。
福光屋さんおすすめ
「このお酒にこの料理」3
- ●福正宗 純米辛口 生詰
常温流通可能な生詰酒として誕生した、
日本酒では画期的な黒麹仕込みの純米酒です。
みずみずしい香りとクエン酸の爽やかな酸味、
芳醇な旨味とドライな後味は、
ジャンルを問わず様々な料理と相性が良く、
幅広い温度帯で美味しくいただけます。納豆入りちくわの磯辺揚げ
納豆の苦味と辛口純米の苦味がよく合います。まぐろ納豆
まぐろの旨味に納豆の苦味が合わさり、
さらに純米辛口生詰の苦味が好相性。
あと味をすっきりさせてくれます。
- ●風よ水よ人よ 純米
福光屋独自の酵母による「爽麗仕込み」の純米酒です。
軽快な舌触りとなめらかな喉越し、
フルーツ酸(リンゴ酸)の爽やかな風味と
12度という低めのアルコール度数は、
料理のジャンルを問わず、
さまざまなシーンでお楽しみいただけます。
室温、または8℃くらいに冷やしてどうぞ。ほうれん草のナムル
ほうれん草の香りと苦味が、
この酒の軽やかさと好相性です。
(おわります)
2022-11-09-WED