ベトナムのかご、
あのひとの使いかた
3・牧野昭二さん
色が4つ、サイズは5つ。
今回、小さめのタイプが2つ増えたことで、
バリエーションが豊かになった「ベトナムのかご」。
このあたらしいサイズを含め、
あのひとに使っていただけたら‥‥と、
3組のかたにモニターとなっていただきました。
3人めは、料理人の牧野昭二さんです。
取材・文・写真=weeksdays編集部
取材協力
●青山ファーマーズマーケット
●吉池
牧野昭二さんのプロフィール
まきの・しょうじ
料理人。専門はフランス料理。
1945年、東京・浅草の料亭の次男に生まれる。
大学中退後、東京のホテルオークラに就職。
在任中、合格者が4年に2人という
社内の留学試験を受けて渡欧、
スイス・ローザンヌのホテル学校
(École hôtelière de Lausanne)で1年間
料理と経営・サービスを学んだあと、
ホテルオークラ・アムステルダムで1年修業。
さらに2年、フランスで修業をしたのち、
さらに学びたいと感じ、ホテルオークラを休職、
ヨーロッパ各地で修業を続ける。
通算滞欧約10年、その多くをパリで過ごし、
料理の研鑽を積む。
日本に戻ったあと、
ホテルオークラのフランス料理部門に復職、
1992年、和洋中を統括する総料理長に就任、
在任中は、赤坂御所・首相官邸・迎賓館など
政財界のトップや世界のVIPの食事の
監修、総監督、最高責任者を歴任。
1996年、フランス政府より
レ・ディシプル・ド・オーギュスト・エスコフィエ
の称号を授与される。
その後、オークラ勤務33年で離職。
都内にレストランを数店舗展開、
オーガニックレストランの料理長を務めたのち、
2020年9月に引退。
77歳の現在は、店を持たず、
安心・安全を語る食育の第一人者としての講演活動、
企業やグループの食のアドバイザーを務めるとともに、
“料理研究所”として都内に自らのアトリエを構え、
時に、友人たちのための料理をふるまっている。
ある日曜日、約束の取材日より前に、
牧野さんから連絡をいただきました。
「これからオーガニック食材を買いに
マーケットへ行くんだけれど、
あのかごを持って行くから、
ご一緒しませんか?」
もちろんですとも!
ということでカメラを手に待ち合わせ場所へ。
‥‥と、その姿を見てびっくり。
ここはパリ? と思うくらい、
カフェのテラスに座るすがたが
サマになっているんです。
足元には、ベトナムのかごの「シルバー/L」。
そういえばパリのムッシュやマダムたちは、
週末のマルシェに買い物に行くとき、
かごを持って行くんですよね。
あの姿、かっこいいんだよなぁ。
パリが長かったという牧野さん、
向こうでは、そんな感じだったんでしょうか。
「ホテルの料理人だったときは
自分で買い出しに行くことはなかったけれど、
小さなレストランの時代は、ありましたね。
たしかにかごを使っていたなぁ。
あれは、竹製だったかな‥‥?」
ちょっと懐かしそうに目を細めました。
牧野さんは、いま、77歳。
かつて、ホテルオークラの総料理長を勤めた、
日本のフランス料理界で、とても有名なかたなんです。
現在は第一線を退き、
食育についての講演活動や、
企業やグループの食に関するアドバイザーを務めつつ、
自らのアトリエで研究の日々。
営業はしていないけれど、
「時折、友人たちを呼んで、
食事をふるまっているんですよ」
とのことで、料理の腕はいまも現役です。
この日は、そのための買い出しに、
青山のマーケットを訪れました。
「おお、赤ねぎがあるね。こりゃいい。
あとは小さなさつまいも。これも甘いんだ」
露店をまわり、選ぶ目のするどさ、
そして買い物のはやさ!
かごには、買ったどんどん食材がふえていきます。
「みかんとレモンも買おうか」
「こういうオーガニックのレモンはね、
表面がツルッとしているほうが、
タネが少ないんだよ」
ふむふむ、勉強になります。
ホテルの料理長を引退後、
最近まで、オーガニックレストランで
腕をふるっていたという牧野さん。
現役時代は100キロ以上あった体重を、
オーガニック食材を使ったダイエットで
70キロ代まで減らしたんですって。
それだけに、足取りは軽々、
かごを持つ手もたくましい。
「このかご、軽くていいねえ!」
そうでしょう?! 軽いんです。
「軽すぎて、どんどん買っちゃうと、
重たくなりそうだね。
クルマの人はいいけど、ボクは電車だから
ほどほどにしておきます。
さて、あとは、味噌を買えば、おわりかな」
と、この日の買い物は、これで終了。
「じゃ、次はアトリエにいらっしゃい。
その日は、魚を買いに行くので、
また一緒に出かけましょう」
そして、同じ週の、ある日。
わたしたちは牧野さんのアトリエを訪ねました。
ホテルオークラのシェフベアーがお出迎え!
そして、ダイニングには、かごの「XS」が
収納の上にちょこんと置かれていました。
「唐辛子と、ユーカリなどの
ドライハーブを入れているんですよ」
なるほど! かわいいし、
使い勝手もいいし、一石二鳥です。
そしてお部屋を拝見すると、
ベランダの手前には、
ベンジャミンの鉢を入れた「XL」。
「L」には、洗い立てのシェフコート。
ここに洗濯物を入れて、
クリーニング店を往復するそうです。
そして、今日の買いだし用に、
持ち手に鍵をくくりつけ、
お財布(ジップロックだそうです)を入れた「M」。
いつものハンチング帽をのせ、買い物の準備万端です。
ちなみに「S」には
TVやプレーヤーのリモコンを入れて。
牧野さん、5サイズすべてを
使いこなしていらっしゃいました。
「いいかご、ですね。
オーガニックマーケットで使ってみて思ったけれど、
軽さだけじゃなく、すぐきれいになるのもいいね。
土がついたり、あるいは魚なんかを買って
ちょっと濡れちゃったとしても、
風呂場で洗って乾かせるのがすごく便利だと思います。
それに、通気性がいいから、食材が蒸れない。
冬なら、根菜などを、
ここに入れてキッチンに置いておけばいいでしょうね。
そのとき、自立するのも、いいんだなぁ」
さて、この日は、いつも使っているという
大きな魚屋さんまで
買いだしに同行させていただきました。
つくるものを決めて食材を選ぶのではなく、
いい食材との出会いから料理が浮かんでくる、
という牧野さん。
「このエンガワは、昆布締めにしようかな。
うまいんですよ!」
と、いくつかの魚をえらんで、
あっという間に買い物終了です。
「今日は買わなかったけれど、
この店では、冬になると、
白身魚の骨だけを大量に買わせてもらうんです。
それでおいしいフランス料理のだしがとれるんですよ」
わぁ、そのときにも、このかご、きっと便利ですね!
これからも、どうぞ、買い出しに、
日々のくらしに「ベトナムのかご」を
使っていただけたら嬉しいです。
牧野さん、どうもありがとうございました!