REPORT

Half Round Table
あのひとのつかいかた
1・フラワーデザイナー 
市村美佳子さん

「weeksdays」と「北の住まい設計社」の新作家具、
Half Round Table。
ナチュラル(ミズナラ)とブラック(イタヤカエデ)、
ふたつの色、ふたつの素材、
どんな人がどんな場所で使ってくださるだろう‥‥と、
こんな3人に、まずは使ってみていただきました。
家具を持ち込んでの体験取材に応じてくださったのは、
フラワーデザイナーの市村美佳子さん、
キュレーターの清水彩さん、
ファッションブランドを主宰する吉川修一さんです。

(取材・文=伊藤まさこ)

市村美佳子さんのプロフィール

いちむら・みかこ
フラワーデザイナー、「緑の居場所デザイン」主宰。
大学では陶芸部に所属し、
卒業後(株)ロイヤルコペンハーゲンに入社。
丸の内本店で店内の花装飾を担当したことをきっかけに
通ったフラワーアレンジメント教室の講師、
あんりゆき氏のイギリス暮らしと花に憧れて渡英、
現地でフラワーアレンジメントを学ぶ。
帰国後、あんりゆき氏に師事し、1994年独立。
東京・南青山のアトリエで花教室を主宰するほか、
フラワーデザイナーとして
ファッション&ライフスタイルブランドの
イベント花装飾を手がける。
料理雑誌や書籍のテーブルスタイリストとしても活動。
2012年、小さな頃からのエプロン好きが高じて、
ディレクターの滝本玲子氏と「エプロン商会」を設立。
リバティプリントやヴィンテージの布を使った、
身につけるだけでワクワクする
「大人のためのエプロン」のデザイン、制作、販売を開始。
2016年、屋号を「緑の居場所デザイン」と改称、
2020年(株)緑の居場所を設立。

●公式サイト
●Instagram


窓の外はすかーっと抜けた青空。

日当たりのよいリビングの壁に、
市村さんがえらんだのは印象的な黄色でした。

「もともと和室だったところを、
直してもいいですか? って大家さんに直談判。
ふた部屋つなげて広くしたんです」

お花の教室もするというこの場所。
黄色い壁は、花やフラワーベースの色と
ぶつからないのですか? 
と尋ねると、
「黄色ってね、他の色との相性がすごくいいんです。
どんなお花も映えるんですよ」
と意外なお返事。

万能な色って、
てっきり白だと思いこんでいたけれど‥‥
と言うと、
「白はコントラストが強すぎるから、案外難しいの」
ですって!

かれこれ、30年近いおつきあいの市村さん。
知り合った当時から、お花の仕事をしていた彼女が、
「万能」と言うのだから、間違いない。

ラウンドテーブルも、ほら、この通り。
黄色い壁に黒いテーブルがしっくり馴染んでる。

ピッチャーに生けたのは、
土佐みずきの枝。

右に置いた一輪挿しの中には、
枯れそうなラナンキュラス!? 
お花って、生き生きしている状態が
ベストだと思っていたけれど、
そうではないことを知りました。
だってここに、この一輪があるのとないのとでは
大違いだもの。

「花もフラワーベースも、
いろんなテイストを混ぜるのが好き。
シックなものの中に、ちょっと派手なものや、
異質なものを入れ込んだりとか」

違うスタイリングも、
見てみたいなぁとお願いすると‥‥

棚から、ささっとオレンジのベースを取り出して、
こんな風に仕上げてくれました。

テーブルの足元には、
無数のフラワーベースが。
「ヨーロッパの蚤の市で買ったり、
海外へ行けないここ2、3年は、
都内で開催されるマーケットで見つけたり」

‥‥とここでまた、
テーブルの上のスタイリングをチェンジ。

フラワーベースをたくさん乗せて。

テーブルの使い心地を尋ねると、
「70センチの高さは使いやすいですね。
奥行きがけっこうあるので、
ものも案外たくさん置くことができる」

そうなんです。
角がないから、部屋の中でじゃまにならない。
花やフラワーベースはもちろん、
パソコンを置いて、作業もできちゃうんです。

テーブルに合わせてくれたのかな?
今日のワンピースは黒。
すてきですね、と言うと
なんと、
市村さんが友人とはじめたブランドのものだそう。

きっかけは蚤の市で見かけた、
古い着物。
「いいなと思ったものをまずは買って、
じゃぶじゃぶ洗って。そこから仕立てます」
バイヤス使いだから、
着ると立体感が出るんですって。なるほど。

着物と、洋服。
古いものと、新しいもの。
シックなものと、異質なもの。
ピン、と元気な枝に、今にも枯れそうな花。
黄色い壁と、黒いテーブル。

テイストが揃ってないのが、
市村さんのテイスト。
これはなかなか真似できないけれど‥‥
いつか壁の一面を黄色にしてみたいな、
なんて思いました。

2023-01-15-SUN