おらのコラーゲン
心地よい眠りを考える
今週の「weeksdays」。
5人のみなさんに「眠り」をテーマに書いていただいた
エッセイ、その2人目は、
気仙沼・斉吉商店の斉藤和枝さんです。
和枝さんの言う「コラーゲン」とは‥‥
どうぞおたのしみください。
さいとう・かずえ
大正10年からつづく「斉吉商店」の専務。
斉吉商店は看板商品「金のさんま」「斉吉海鮮丼」をはじめ
新鮮な魚介を使った加工品を販売、
おいしさに魅了されたファンを全国に持つ。
オンラインショップで販売される季節商品は
毎回すぐに完売してしまうほどの人気。
「気仙沼つばき会」「鶴亀の湯・鶴亀食堂」への参加など、
気仙沼を盛り上げる活動も行う。
ほぼ日のこれまでのインタビューコンテンツ
「気仙沼は不思議な港町だった。」
「『気仙沼のほぼ日』を、お開きにします。」
「東北の仕事論。」など。
■斉藤和枝さんのTwitter
20年くらい前のことです。
めかじきの背骨の間には
半透明のゼリー状のものが入っています。
これを近所のお寿司屋さんが
ポン酢をかけて前菜に出してくれました。
冷やして、小葱ともみじおろしがのっていて
「コラーゲンのかたまりだからね 特別に女性だけどうぞ」
「わぁー嬉しい」
っていうようなやりとりでいただきました。
無味無臭でつるっとしていて
ポン酢の味が爽やかでとても美味しかったのです。
当時わが家は、廻船問屋業もありましたので、
たくさんの水揚げになる魚を扱っていました。
めかじきの水揚げが大漁にあった日、
とても良いことを思いついたのです。
自分で骨の間から例の半透明のゼリーを取り出して
匂いを嗅ぎましたが、やはり無臭だと確認、
ラップにつつんで冷蔵庫に入れて
夜になりました。
ワクワクしながら風呂上りにそのゼリーを
気になりかけていた目の下に貼って
その上から紙のパックをして
一晩たったら相当効果があるんじゃないか?
100%天然素材だ!
うわーこれ良いんじゃない?
効果あったらどうすっぺ!
めかじきの軟骨の中のコラーゲンはいっぱいある!
売れるんじゃないの?
わくわくして、楽しくてたまりません。
それが‥‥。
あんなに無臭だと確認したはずなのに、
風呂上りの石鹸の臭いの中では、
もうめかじきの臭いそのものでした。
それでも「美」のためと我慢して寝ました。
楽しみにしながら寝ました。
そうしたら‥‥。
めかじきが大漁に水揚げされ運んでも、
運んでも水揚が終わらない、
つらい夢で目が覚めました。
目の下に貼りつけたはずのおらのコラーゲンは
枕のどのあたりかに、やや乾燥して
干からびぎみでおちていました。
匂いはどこで嗅ぐかによります。
市場で水揚げされる魚の匂いに慣れきった私の鼻は、
魚の匂いは気がつきにくい。
何よりめかじきのコラーゲンを皮膚に貼っても
まったく吸収しないそうです!