「パーカーを着るのは10年ぶり」
という伊藤まさこさん。
以前は大好きだったのに、
いつの間にか着なくなっていたのだそうです。
それが「これなら!」というパーカーに出会いました。
軽くてやわらかくって、合わせやすく、
パールのネックレスにだってぴったりというパーカーです。
つくっているのは Le pivot(ル・ピボット)。
小林一美さんと金井美幸さんのふたりがきりもりする、
東京・表参道にショップを構える
ちいさなアパレルブランドです。
Le pivot の服がほかとちょっと違うのは、
どんな秘密があるんでしょう?
小林さんと金井さんに、お話をうかがいました。
小林一美
Le pivot デザイナー。
企画・物作りに関することすべて、
発信することやイメージに関連することを担当。
バイヤー経験後、アパレル会社で企画・生産・
プロジェクトの立上げなどを手がけ、
20年勤務した後に独立、金井さんとともに
Le pivotを立ち上げ、現在に至る。
好きなものは美味しいもの、花、映画、
ミュージカル、時代小説、そして万年筆。
金井美幸
Le pivot 営業・プレス・店頭販売担当。
服飾学校卒業後、アパレル勤務、
小林さんと同時期に独立し、
Le pivotの立ち上げに参加、現在に至る。
好きなことは食べること、
ミュージカル、バレエなどの観劇。
03ワンサイズでつくっています
- 伊藤
- わたし、以前は、パーカーが好きでよく着てたんです。
それが、このところ離れていて、
「もういいかなぁ‥‥?」
っていうときに出会ったのが Le pivotでした。
- 小林
- あ、うれしい!
- 金井
- うれしいです!
- 伊藤
- 「これなら着られる」って思ったんですよね。
パーカーって厚手で重いものがほとんどでしょう?
お洗濯をしてもフードの裏などが
乾きづらいことが悩みだったので、
この軽さが重要で。
あとはもちろん質感、サイズ感。
合わせる服も選びやすくって。
ワンサイズなんですよね。
- 金井
- そうなんです。
- 小林
- 私が身長が148センチ、
金井が168センチで、
20センチの差があるんですけれど、
二人とも着られるように作っています。
デザインが良くても、どっちかしか着られなかったら
ボツにするんですよ。
- 伊藤
- それ、すごいですね!
- 小林
- 多くの方に着ていただけるようにと。
たまにパンツを2サイズでつくることもありますが、
今はほとんどのアイテムがフリーサイズです。
- 伊藤
- 体格差のあるお二人が着られる、
ということが大事なんですね。
- 小林
- そうですね、サイズ感的には
背の高い方も小さい人も大丈夫ですよ、と。
それから、年齢も、ですね。
私ももう50代なんですが、
女性って40代ぐらいから体型が変わったりして、
何を着ていいのか、ある日突然、
分からなくなることがあるんですよね。
- 伊藤
- やっぱり! ほんとうに、そうなんです。
- 小林
- 好きだった色がある日突然、
「あれ? 似合わない‥‥」とか、よく聞くんですよ。
- 伊藤
- はい、あります。
なんなんでしょうね。
- 金井
- 多くの人が、経験があると言うんですよね。
- 小林
- そのときに、Le pivotの服で
役に立てたらいいなあっていうのは、
常に考えています。
サイズの面ではちょっと着やせしたり、細く見えたり、
色の面では顔映りが良く。
「お友達に褒められた」と
頬をピンクにして喜んでくださるお客さまも。
- 金井
- やっぱりね、喜んでくださると嬉しいですよね。
- 小林
- オンラインで購入くださったかたから、
お礼のメールをいただいたり。
- 伊藤
- すごい!
買われるお客様もおふたりと同年代の方が多いんですか。
- 小林
- はい、同年代の方を中心に、
30代から60代ぐらいの方も。
- 金井
- そうですね、60代以上の
おしゃれな方も多いんです。
- 小林
- 表参道に美容院に来た帰りに
寄っていただくことも。
- 金井
- 髪を切ったり色を変えたから、
何を合わせたらいいのかな、と
相談をいただいたりもします。
それこそ年を取ったら
ベージュ系が似合わなくなったので、
合う色を探しに来ました、という方も。
- 伊藤
- ベージュ系が似合わなくなる!
- 小林
- その方によりますけれど、
白がダメになった、という人もいます。
- 伊藤
- それじゃあお客様の声とかを聞きながら、デザインを。
- 金井
- すごく参考になります。
自分たちとは違ういろいろな体型の方に
試着していただくと、すごく勉強になって。
- 伊藤
- このスペースでデザインもされているんですか。
- 小林
- 最初は私もここにいたんですけど、
資料が増え、ミシンもあるので、
今は近くに部屋を借りて、
ふだんはそこで仕事をしています。
でもすぐに来られる距離なんですよ。
- 伊藤
- お客様と繋がっている感じ、いいですね。
それでは、パンツのこともうかがいましょうか。
- 小林
- はい。この素材は「ダンボールニット」といい、
ポリアミド系ナイロンの極細糸を使用した
伸縮性の高い生地なんですけれど、
生地屋さんで触った瞬間に「パンツだな」と思いました。
「パンツにするとすごく便利で、こればっかり穿いて、
どこかに行きたくなるんじゃないかなあ」と。
生地のテンションが高く、
もう縦横自由に伸び、キックバックも良くて、
伸びてもちゃんと戻る素材なんです。
お洗濯にも強いんですね。
伸びる素材って洗っていくと
伸びちゃうケースもあるんですけど、
これはお洗濯を重ねても大丈夫。
例えば旅に行くときとか移動のときも膝がでにくいです。
似た形で毎年カットソーのパンツを作ってるんですが、
今年が、この新しい素材での新型です。
- 伊藤
- じゃ今年からのものなんですね。
- 小林
- そうですね。似たようなシルエットなんですけど、
素材が変わったので、
一からパターンも引き直してます。
リブは少し太めの4層のテレコ(縦に凸凹の筋が入り、
ストライプ模様に見える素材)を使っています。
本体にツヤがあるので、
綿だと急にカジュアルになってしまうんですよね。
それをちょっと光沢のある感じのリブを探して。
- 伊藤
- お二人は、それぞれどんなふうに穿いているんですか。
- 小林
- 私はこれは、まだ寒い日はタイツを中に穿きます。
白いパンツは、透け感があるので、
チャコールとか黒のタイツで、
あえてうっすら影を見せるようにしています。
- 伊藤
- トップスは、大きめのものを?
- 金井
- そうですね、トップスは、今日みたいな‥‥。
- 小林
- ちょうどこういうオーバーサイズなものとか、
シャツとベストとか、そんなのが多いです。
- 金井
- トップスがお尻が隠れるくらいのサイズ感なら、
白の透け感は気になりませんよ。
- 伊藤
- 靴はちなみに‥‥。
- 小林
- スニーカーが最近は多くて。
- 伊藤
- お二人の身長が20センチ違うと、
裾のバランスも変わってきますよね。
- 金井
- そうなんです、168センチの私の場合は、
ちょっと短めになってしまうので、
少しウエストを下ろしたり、
靴のバランスで調整しています。
- 伊藤
- ハイカットの靴とか?
- 金井
- そうですね、コンバースのハイカットもいいですよ。
逆に夏はサンダルであえて足首を見せてもいいと思います。
- 伊藤
- じゃ1年中、穿けますね。
- 小林
- 1年中着られます、この素材に関しては。
- 伊藤
- とっても嬉しいです。
1年中着られて、楽なんだけれど、
楽そうに見えないってところが、また、いいんです。
これ、大人の洋服のポイントですよね。
- 金井
- そうなんです! あまりルーズになってはいけない。
- 小林
- そうなんですよね、そこがすごいポイントで、
パーカーもそうなんですが、
デイリーウェアだからこそ
気を抜いていると思われるようなスタイルには
したくないんです。
大人は特にカットソーは気をつけないと。
このパーカーとパンツは大丈夫ですよ。
- 金井
- クタッとした感じにならず、
どこかキレイ目できちんと感があるんです。
- 伊藤
- いつまで部屋着なの? みたいになるんですよね。
わたしは、朝起きたら全部着替えるんですが、
これなら絶対に大丈夫。
- 小林
- ああ、素晴らしい。
- 伊藤
- 逆にジャケットを上に羽織っても格好良さそうです。
- 小林
- そうなんですよ、
ジャケットにも合わせやすいと思います。
いろんな着方を楽しんでいただけたら嬉しいです。
- 伊藤
- はい! 155センチのわたしも、
いろいろ工夫をして楽しみたいと思います。
小林さん、金井さん、
今日はどうもありがとうございました。
- 金井
- ありがとうございました。
- 小林
- また遊びにいらしてくださいね。
どうもありがとうございました。