これから秋になるまで

5月から6月にかけて、
母の庭は一年でいちばん美しい時を迎えます。

庭の端から端まで埋め尽くすように咲いていた
クリスマスローズが終わると、
十二単が満開に。

十二単が終わりに近づくと、
少しずつ紫陽花が色づきはじめます。

見てたのしむだけでなく、
ニオイバンマツリやラベンダーなど、
いい香りの花も次々と。

そう広くはない庭だけれど、
手入れは大変なよう。
水をやったり、
草をむしったり、
枯れた花をひとつひとつ手で摘み取る
その様子を見ていると、
ああこんな風にして私を育ててくれたんだな、
なんて思ったりもするのです。

「めんどうくさいから」と言って、
なかなか日焼け止めを塗らない母に、
プレゼントしたのはリムの広い帽子。

「あら、これいいわね」なんて言って、
気に入ってかぶっているみたい。
これから秋になるまで、
毎日のようにかぶってくれることでしょう。

今週のweeksdaysは、
chisakiの帽子。
コンテンツは画家の牧野伊三夫さんに、
帽子についてのエッセイを寄せていただきました。
どうぞおたのしみに。

伊藤まさこ

2023-06-02-FRI