あのひとと、t.yamai paris
3・生活の中にいつもある
篠あゆみさん
1995年、パリに暮らしていた
山井孝さん・自子(よりこ)さん夫妻が立ち上げた
レディースブランド、
t.yamai paris(ティー ヤマイ パリ)。
現在は日本に拠点をうつし、
ベーシックを軸に、甘さとモダンさをミックスした
大人の日常着づくりをつづけています。
(くわしくはこちらをごらんくださいね。)
このコンテンツでは、
ながくt.yamai parisのファンだという3人に
登場していただきます。
ひとりめは、セレクトショップ
「Havane」のオーナー、大坂友紀子さん、
ふたりめは、イギリス在住のイセキアヤコさん、
そしてさんにんめは、パジャマのブランド
pageaérée(パージュアエレ)の篠あゆみさんが
文章と写真を寄せてくださいました。
(文・写真=篠あゆみ)
篠あゆみさんのプロフィール
しの・あゆみ
多摩美術大学卒業後、スタイリストに。
1999年の渡仏をきっかけにフォトグラファーに転身。
2年半にわたった自身の闘病経験を生かして、
2021年春、着心地のよさを追求したパジャマのブランド
「pageaérée(パージュアエレ)」を発表。
●pageaéréeのウェブサイト
●weeksdaysでのコンテンツ
t.yamai paris との出会いは、今から30年近く前。
私は日本に住んでいて、スタイリストをしていた頃です。
パリに旅行で来た時に、
友人に連れられてアトリエを訪ねたのが最初でした。
当時マレのギャラリー街にあったアトリエは、
アパルトマンの入口が
道路から少し奥まったところにあり、
“これぞ憧れのパリ!” というような雰囲気で
まるでエリック・ロメールの映画みたい、
と思ったのを覚えています。
アトリエにかけてあった服はもちろん、
作業台に置いてある鋏やペン、
落ちている糸屑までおしゃれに見えました。
その日から今日まで、
t.yamai paris の服は私の生活の中にいつもある、
と言っても過言ではありません。
こんなに長いこと着続けられる服、
そして毎年欲しくなってしまうブランドって
他にあるでしょうか?
この10年くらいは、
スケジュールが合う限りはパリか東京で
カタログやルックブックの
撮影を担当する機会に恵まれ、
ほぼ毎シーズン、新作を拝見するうちに、
ますます身近になりました。
着やすくてなんだかホッとする服、
それでいてさりげなくもあり、
きちんとおしゃれで、私にとっては
旧知の友人のような服なのです。
今、この原稿は撮影で来ているポルトガルで書いています。
ホテルのクローゼットの中にはスーツケースから出した
t.yamai paris のジャケットとワンピースが
かかっています。
ネイビーのジャケットは、とにかく軽くて、
全く皺にならず、小さく畳める優れもので
旅には欠かせません。
伸縮性があるので動きやすくて、撮影時も快適だし、
シンプルなので合わせやすい。
そして、Tシャツの上に羽織っただけで
きちんとして見えるので
今回も、高級ホテルやレストランでの
撮影に重宝しています。
カフタンのような水色のワンピースは
バカンスっぽい気楽さがお気に入り。
ロケ中の撮影は相当ハードなのですが、
一日の終わりにこのワンピースをストンと上からかぶると
気分も変わり、疲れが一気に取れる感じがするのです。
私はきっと来季もt.yamai parisの服を買うでしょう。
ベースはブレる事がないけれど、
時代や気分に合わせて
少しだけエッセンスが加えられるt.yamai parisの服。
新しいコレクションを見るのが
今から楽しみでたまりません。