コットンからリネンへ

いつだったか、
パリでシンプルな鶏のスープが飲みたくなり、
骨つきもも肉を買って、
ことこと煮込むことにしました。

味つけは塩のみのそのスープ、
旅の疲れた胃袋にとてもやさしかったのですが、
いつもと一味違う。
なんだか洋風なのです。

隠し味に使ったネギがポロネギだったからというのが、
理由の一つ。
あとは鶏本来の味とか、
水とか、空気とか? 
そんなものが、
いつものスープを「パリ味」に仕立て上げたに違いない。

ちょっとの違いのはずだけれど、
そのちょっとで、
まったく違う方向に向かう。
思わずできたスープの味に、
うーんとうなった夜なのでした。

食い意地が張っているものだから、
ついたとえが食べものになってしまうけれど、
断言します。
「素材違いは違う服」なのだということを。

同じ形でも、
素材が変わるだけで、
こうもイメージが違うのか。
そう感じたのは、
今回ご紹介する、quitanのタイパンツ。

インディゴのコットンから白と黒のリネンへ。
できあがっていくにつれて感じた、
おおっと驚くばかりの変身ぶり。
服っておもしろいなぁと思うのは、
こんな瞬間です。

伊藤まさこ

2023-07-28-FRI