今回、「weeksdays」の
撮影モデルを引き受けてくださった坂井真紀さん。
2021年8月の対談以来、2年ぶりの登場となります。
坂井さんとはそれ以来のおつきあいという
伊藤まさこさんですが、
ふたりが会うのは、ちょっと久しぶりだそう。
ずっと忙しくしていたという坂井さんに、
伊藤さんが、仕事のこと、暮らしのこと、
おしゃれのこと、そして
年齢に向き合うということなどについて、
たくさんお聞きしました。

写真=有賀 傑
スタイリング(坂井真紀)=伊藤まさこ
ヘアメイク(坂井真紀)=石川奈緒記
ヘアメイク(伊藤まさこ)=草場妙子

坂井真紀さんのプロフィール

坂井真紀 さかい・まき

1970年、東京生まれ。俳優。
一女の母。
1990年、三井不動産の
4代目リハウスガールに選ばれる。
1992年にテレビドラマ
「90日間トテナム・パブ」で役者としてデビュー。
以後、多数のドラマ、映画、舞台、バラエティで活躍。
最近では日本テレビ系列の朝の情報バラエティ
『ZIP!』で金曜パーソナリティを務めた。
「weeksdays」では2021年のコンテンツ
「同世代。」に登場。

●公式サイト

02
娘の励まし

伊藤
わたしたちの年代って、
きっとこれからどんどん気持ちの面で
楽になっていくと思うんですよ。
たとえば物忘れについてもそう。
以前、母が「ほら、アレ」と言うのを、
「アレじゃわからないよ」なんて言っていたのに、
最近は自分がそうなってきた。
この前もトークイベント中に
「電子書籍」が思い出せなくって、
「あの、ほら、ピッてやって持たないで読めるもの」
とか言っちゃったの。ひどい(笑)。
坂井
ハハハ!
伊藤
ああー、母と同じことしてるよと思いつつ、
そういうこともちょっとずつ
認めないといけないのかなって思っている、
今日この頃なんです。
坂井
いや、そうですよね。
思い出せないですよ。
伊藤
いや、絶対、そんなことなさそう。
だって、お芝居って記憶力も大事でしょう。
台詞(せりふ)ってどうやって覚えるんですか。
坂井
それが、前は一回読んだら
何となく入ってきたものが、
この頃は、台詞の量が多いと、
時間がかかるようになってます。
だから常に読むとか、何度も読むとか、
そういうことをしています。
それでも50年、
自分と付き合ってきたわけですから、
自分の弱点は分かっているわけで、
覚えるのが遅くなったことも踏まえて
どこまで頑張れるかな、みたいに、
ちょっと冷静に自分を見ることに、
少し慣れてきたかもしれません。
伊藤
自分についてちょっと冷静に。
そうかもしれない。
良いですよね、年を取るって。
坂井
はい。
伊藤
また服の話になっちゃうけど、
似合う、似合わないも、出てくるんですよね。
坂井
出てきますね。
伊藤
とはいえ、似合わないものなんて、
あるのかなぁ、真紀さん。
坂井
ありますよ!
伊藤
なさそうじゃない? 
着物だって絶対似合うし。
柄もののワンピースだって大丈夫でしょうし。
坂井
そういうものも、
嫌いではないですね。
フリフリみたいなのも、かわいいですし。
伊藤
役柄などによっては
自分は選ばないような服を着ることもあるでしょう? 
それって面白いことですか?
坂井
はい、面白いですよ。
絶対これ買わないよね、
っていうものも、役柄によっては着られるので。
自分が着ないものを着るのは楽しいです。
伊藤
そういえば『ZIP!』に夏の間、
出演なさっていましたよね。
どういう経緯で
金曜日の朝の顔になったんですか(*)。
(*)日本テレビ系列の朝の情報バラエティ『ZIP!』に、
2023年7月から9月の夏の顔として、
金曜パーソナリティとして坂井真紀さんが登板。
坂井
『ZIP!』は突然お話が来て、
「えっ、私?!」ってビックリしたんです。
伊藤
たまに、真紀さん、
バラエティに出られているけれど、
またそれとは全然違いますよね。
坂井
そうですね、バラエティは、
映画の宣伝などにからめて
やらせてもらうことが多いんですけれども、
『ZIP!』はまったくそういうことではなく、
マネージャーさんも
「ビックリするような依頼が来ましたよ!」
が第一声でした。
『ZIP!』は明るくて元気で
あったかい番組だなと思っていたので、
もしかしたらできるかな? って思ったんです。
その時期も忙しかったんですけど、
チャレンジしてみたいな、って。
映画やドラマのような作品をやらせてもらう時も、
作品を見てくださった方々の心が元気になったり、
気持ちの変化があったり、
何か届けられたらいいなと願いながらやっています。
『ZIP!』のような番組は、
フィクションの作品を作っているよりも直接的に、
例えば、元気を、元気な朝を、
お届けできるかなと思いました。
もちろん私自身という人間を
そのまま見られることの怖さもありつつ、
普段私が作品に込めている思いを
違ったかたちで表現できるかもしれない、
だから、やってみようと思ったんです。
伊藤
やってみて、どうでした? 
坂井
生放送も、元々やったことがなかったですし、
3か月やってほんのほんの少し(笑)
何か見えた気がしました。
1回目の放送の後は相当落ち込んじゃって。
これに関してどう思いますか? と急に振られて、
ちゃんと答えることができなかったんですよ。
自分の思うことを
瞬時に的確に簡潔に伝えるって難しいですね。
それで娘に言ったんです、
「お母さんちょっと何日か元気でないかも」って。
自分の素を見せて大丈夫なのかな、
人に嫌な気持ちとか与えてたらやだな、と考えると、
怖くなっちゃうんだ、って。
そうしたら娘が
「いや、分かるよ、お母さん。私もすごく分かる。
クラスで発表をするときに
自分が言ったことって不安だし、
変なふうに思われてないかなと思っちゃうんだけど、
そういう時に私は『自分は大丈夫!』って思うんだよ、
だからお母さんも大丈夫だよ、自分は自分で良いんだよ」
と言ってくれたんです。
すごく励まされました。
伊藤
わぁ! そんな娘でよかったねー。
かわいくて、しっかりしてて。
坂井
かっこつけたって自分は自分でしかないのですものね。
貴重な経験をさせていただきました。
(つづきます)
2023-10-30-MON