今回、「weeksdays」の
撮影モデルを引き受けてくださった坂井真紀さん。
2021年8月の対談以来、2年ぶりの登場となります。
坂井さんとはそれ以来のおつきあいという
伊藤まさこさんですが、
ふたりが会うのは、ちょっと久しぶりだそう。
ずっと忙しくしていたという坂井さんに、
伊藤さんが、仕事のこと、暮らしのこと、
おしゃれのこと、そして
年齢に向き合うということなどについて、
たくさんお聞きしました。
写真=有賀 傑
スタイリング(坂井真紀)=伊藤まさこ
ヘアメイク(坂井真紀)=石川奈緒記
ヘアメイク(伊藤まさこ)=草場妙子
02娘の励まし
- 伊藤
- わたしたちの年代って、
きっとこれからどんどん気持ちの面で
楽になっていくと思うんですよ。
たとえば物忘れについてもそう。
以前、母が「ほら、アレ」と言うのを、
「アレじゃわからないよ」なんて言っていたのに、
最近は自分がそうなってきた。
この前もトークイベント中に
「電子書籍」が思い出せなくって、
「あの、ほら、ピッてやって持たないで読めるもの」
とか言っちゃったの。ひどい(笑)。
- 坂井
- ハハハ!
- 伊藤
- ああー、母と同じことしてるよと思いつつ、
そういうこともちょっとずつ
認めないといけないのかなって思っている、
今日この頃なんです。
- 坂井
- いや、そうですよね。
思い出せないですよ。
- 伊藤
- いや、絶対、そんなことなさそう。
だって、お芝居って記憶力も大事でしょう。
台詞(せりふ)ってどうやって覚えるんですか。
- 坂井
- それが、前は一回読んだら
何となく入ってきたものが、
この頃は、台詞の量が多いと、
時間がかかるようになってます。
だから常に読むとか、何度も読むとか、
そういうことをしています。
それでも50年、
自分と付き合ってきたわけですから、
自分の弱点は分かっているわけで、
覚えるのが遅くなったことも踏まえて
どこまで頑張れるかな、みたいに、
ちょっと冷静に自分を見ることに、
少し慣れてきたかもしれません。
- 伊藤
- 自分についてちょっと冷静に。
そうかもしれない。
良いですよね、年を取るって。
- 坂井
- はい。
- 伊藤
- また服の話になっちゃうけど、
似合う、似合わないも、出てくるんですよね。
- 坂井
- 出てきますね。
- 伊藤
- とはいえ、似合わないものなんて、
あるのかなぁ、真紀さん。
- 坂井
- ありますよ!
- 伊藤
- なさそうじゃない?
着物だって絶対似合うし。
柄もののワンピースだって大丈夫でしょうし。
- 坂井
- そういうものも、
嫌いではないですね。
フリフリみたいなのも、かわいいですし。
- 伊藤
- 役柄などによっては
自分は選ばないような服を着ることもあるでしょう?
それって面白いことですか?
- 坂井
- はい、面白いですよ。
絶対これ買わないよね、
っていうものも、役柄によっては着られるので。
自分が着ないものを着るのは楽しいです。
- 伊藤
- そういえば『ZIP!』に夏の間、
出演なさっていましたよね。
どういう経緯で
金曜日の朝の顔になったんですか(*)。
(*)日本テレビ系列の朝の情報バラエティ『ZIP!』に、
2023年7月から9月の夏の顔として、
金曜パーソナリティとして坂井真紀さんが登板。
- 坂井
- 『ZIP!』は突然お話が来て、
「えっ、私?!」ってビックリしたんです。
- 伊藤
- たまに、真紀さん、
バラエティに出られているけれど、
またそれとは全然違いますよね。
- 坂井
- そうですね、バラエティは、
映画の宣伝などにからめて
やらせてもらうことが多いんですけれども、
『ZIP!』はまったくそういうことではなく、
マネージャーさんも
「ビックリするような依頼が来ましたよ!」
が第一声でした。
『ZIP!』は明るくて元気で
あったかい番組だなと思っていたので、
もしかしたらできるかな? って思ったんです。
その時期も忙しかったんですけど、
チャレンジしてみたいな、って。
映画やドラマのような作品をやらせてもらう時も、
作品を見てくださった方々の心が元気になったり、
気持ちの変化があったり、
何か届けられたらいいなと願いながらやっています。
『ZIP!』のような番組は、
フィクションの作品を作っているよりも直接的に、
例えば、元気を、元気な朝を、
お届けできるかなと思いました。
もちろん私自身という人間を
そのまま見られることの怖さもありつつ、
普段私が作品に込めている思いを
違ったかたちで表現できるかもしれない、
だから、やってみようと思ったんです。
- 伊藤
- やってみて、どうでした?
- 坂井
- 生放送も、元々やったことがなかったですし、
3か月やってほんのほんの少し(笑)
何か見えた気がしました。
1回目の放送の後は相当落ち込んじゃって。
これに関してどう思いますか? と急に振られて、
ちゃんと答えることができなかったんですよ。
自分の思うことを
瞬時に的確に簡潔に伝えるって難しいですね。
それで娘に言ったんです、
「お母さんちょっと何日か元気でないかも」って。
自分の素を見せて大丈夫なのかな、
人に嫌な気持ちとか与えてたらやだな、と考えると、
怖くなっちゃうんだ、って。
そうしたら娘が
「いや、分かるよ、お母さん。私もすごく分かる。
クラスで発表をするときに
自分が言ったことって不安だし、
変なふうに思われてないかなと思っちゃうんだけど、
そういう時に私は『自分は大丈夫!』って思うんだよ、
だからお母さんも大丈夫だよ、自分は自分で良いんだよ」
と言ってくれたんです。
すごく励まされました。
- 伊藤
- わぁ! そんな娘でよかったねー。
かわいくて、しっかりしてて。
- 坂井
- かっこつけたって自分は自分でしかないのですものね。
貴重な経験をさせていただきました。
(つづきます)
2023-10-30-MON