今回、「weeksdays」の
撮影モデルを引き受けてくださった坂井真紀さん。
2021年8月の対談以来、2年ぶりの登場となります。
坂井さんとはそれ以来のおつきあいという
伊藤まさこさんですが、
ふたりが会うのは、ちょっと久しぶりだそう。
ずっと忙しくしていたという坂井さんに、
伊藤さんが、仕事のこと、暮らしのこと、
おしゃれのこと、そして
年齢に向き合うということなどについて、
たくさんお聞きしました。
写真=有賀 傑
スタイリング(坂井真紀)=伊藤まさこ
ヘアメイク(坂井真紀)=石川奈緒記
ヘアメイク(伊藤まさこ)=草場妙子
03服も表現のひとつ
- 伊藤
- 生放送で自分の言葉で発信したり、
映画もあり舞台もありラジオもあり、
ドラマもありバラエティもあり、
お仕事の内容にもいろいろあるじゃないですか。
真紀さんのお仕事、すごいって思います。
- 坂井
- ほんと、冷静に考えると、
すごいことやらせてもらっています。
- 伊藤
- 今日、撮影していて思ったんですよ、
引きで撮ると「かわいい」、
けれども寄りで撮ると、
人間としての凄みが出るんです。
- 坂井
- うれしい。
- 伊藤
- もちろんきれいなんだけど、
服に合わせているんじゃなくて、
服が近寄っていく感じがしました。
初めて着たとは思えなかったもの。
- 坂井
- ほんとうにうれしいです。
最初にも言いましたが、
まさこさん的な世界観が、好きだからですよ。
そしてこの服、きれいな形ですよね、本当に。
- 伊藤
- 「もう服はなるべく買わない」
なんて言っておきながら、
コートって毎年欲しくなっちゃって‥‥。
- 坂井
- そうなんですよね。
持ってるのに欲しくなるの。
でもこのところ、暖冬傾向じゃないですか。
今回のコート、コットンですよね。
そこもいいなって思いました。
- 伊藤
- ポリエステルのすこし入ったコットンですね。
これくらいの素材感のコートって便利ですよね。
- 坂井
- 今日着させていただいてそう思いました。
こういう形のコートって、厚手のウールなど、
ほんとうに寒いときや寒い場所で着る用の
素材が多いんです。
コットンだということに、
そばで見るまで気づかなかった。
- 伊藤
- 触ってみるまでわからないんですよね、
あれ? ウールじゃないんだ? って。
- 坂井
- 素敵でした、すごく。
- 伊藤
- どっちの形がいいですか。
- 坂井
- どちらも捨てがたいかわいさです。
- 伊藤
- スタッフのみんなとワイワイ試着したんですが、
IONA COVERALLは、
細身の男性だったら、
大丈夫なサイズ感なんですよ。
- 坂井
- そう、男性もいけますね。
- 伊藤
- みんなに似合うんです。
COGのデザイナーのNoriko.Iさんは
いろんなタイプの背丈の人に似合う、
ワンサイズの服をつくるんですが、
身長がわたしと同じ156センチで、
小柄な人の気持ちもよくわかっているんですよ。
ワンサイズなのに、もちろん長身の人にも似合うし。
- 坂井
- 私も157センチですからわかります。
長いのだとすごぉく長い印象になっちゃうんですよね。
- 伊藤
- そうそう。実際、
わたしたちぐらいの身長の人って多い。
だからみんなもうれしいんじゃないかなと思います。
今日は、
真紀さんにブーツを履いてもらったんですが、
「ちょっとお行儀悪く」ってお願いしたら、
バッて、足を広げてお行儀悪くしてくれた。
あれ、最高でした。
みんなウルウルするくらい喜んでましたよ。
- 坂井
- 本当ですか。うれしいな、ふふふ。
- 伊藤
- 鏡を見て、どこをどう見せようか、
いろいろ探ってくださって。
撮っててどうでしたか、面白かった?
「役者さんがモデルを演じているような世界」
って、スタッフがつぶやいていました。
- 坂井
- そうかもしれないですね。
こういうふうに洋服を表現させてもらうことは
時々やらせてもらうし、好きなんです。
洋服がどうやったらチャーミングに見られるのかな、
と考えるのも、楽しい。
- 伊藤
- なるほど、台詞の言い回しだけじゃなくて、
洋服を着ることも表現になるから。
- 坂井
- そう、役者の仕事で、
その役柄について考えるとき、
洋服も考えるんですよ。
その人がどんな服が好きなのか、
どのぐらいの頻度で洋服を買うのか、
お給料がどれくらいで、
そのうちどれだけ服にお金を使っているのか、
タンスの中にはどんな服があるのか。
- 伊藤
- それは、監督や、
衣装を揃える方と相談しながら?
- 坂井
- 一応、衣装さんが考えて監督さんと相談しての
衣装合わせがあるんですが、
私もその時、こっちだと思います、とか、
それこそシャツ・インする人なのか、
出す人なのかとか、
コートをどういうふうに着る人なのかとか、
提案をすることもあります。
モデルではありませんが、
“その人が洋服を着るということ”を、
役者の仕事では、確かに、いつも
考えているかもしれないですね。
- 伊藤
- 娘が『相棒』が大好きで、
「右京さん(水谷豊)いつもサイズピッタリの
すごく仕立てのいいスーツ着てるよね」と言って。
犯人役の役者さんが、わざと
サイズが合ってないジャケットを着ていた時があって、
それってすごくない? って。
衣裳さんもその人に似合い、
サイズの合うものを用意するのではなく、
きっとこのキャラクターだったら
サイズ直しもせず出来合いのものを着るだろう、と、
そこまで考えてるんだねって。
- 坂井
- ハハハ。
- 伊藤
- 真紀さんも『相棒』に出てらしたでしょう。
ちょっと悪女的な役柄で。
- 坂井
- 面白い役でしたね。
現場で実際に水谷さんと会って感動しました。
- 伊藤
- そう! 同世代としてわかります。
水谷豊さん、お目にかかったらぜったい嬉しい。
- 坂井
- 右京さんじゃなく
北野広大先生! って(*)。
フフフ。
(*)1978年から81年まで放映された
日本テレビ系列の学園ドラマ『熱中時代』で
水谷豊さんが小学校教師「北野広大(きたのこうだい)」を演じ、
大人気となった。
- 伊藤
- すみません、『相棒』の話になっちゃった。
でもそうか、服を着るって、じゃあ、
役者さんとしても、面白いことなんですね
- 坂井
- 面白いですね。
- 伊藤
- スタイリストって不思議な職業だなと
常々感じているんです。
自分でものを作り出すでもなく、
いろいろなものを組み合わせて空気感を作る。
「weeksdays」は、
「商品」である服が一番よく見えるように、
シンプルなスタイリングを心がけています。
モデルさんの表情やポーズもわりと抑え目。
でも今日はいつもと違いました。
「あとは真紀さんにお任せ!」。
- 坂井
- 楽しかったです。
- 伊藤
- よかった!
(つづきます)
2023-10-31-TUE