今回、「weeksdays」の
撮影モデルを引き受けてくださった坂井真紀さん。
2021年8月の対談以来、2年ぶりの登場となります。
坂井さんとはそれ以来のおつきあいという
伊藤まさこさんですが、
ふたりが会うのは、ちょっと久しぶりだそう。
ずっと忙しくしていたという坂井さんに、
伊藤さんが、仕事のこと、暮らしのこと、
おしゃれのこと、そして
年齢に向き合うということなどについて、
たくさんお聞きしました。
写真=有賀 傑
スタイリング(坂井真紀)=伊藤まさこ
ヘアメイク(坂井真紀)=石川奈緒記
ヘアメイク(伊藤まさこ)=草場妙子
04だんだんと
- 伊藤
- 最後に、今後の「weeksdays」の参考に
聞かせていただきたいんですが、
「こういうの欲しいんだよな」とか
「こういうの足りてない」ものってありますか?
服とか靴とか、インテリアでもいいんですけど。
- 坂井
- 靴。
- 伊藤
- 靴!
- 坂井
- まさこさんはヒールを履きますか?
- 伊藤
- はい。歩けないけど。
だからほとんど歩かない時、
つまり車でレストランに行くとか、
旅先でホテルの部屋からダイニングに行く時に。
- 坂井
- やっぱりそうなりますよね。
歩きやすいヒールってあるんでしょうか。
あったら欲しいんですが、
ヒールってもともと、
いっぱい歩くためのものじゃないですよね、
おしゃれの歴史としても。
- ──
- 16世紀のフランスで
道に犬の落とし物とか汚物が放置されていたので、
スカートの裾が汚れないよう
広まったと言われていますね。
- 伊藤
- そうなの?!
でも『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリーは
すっごいヒールで、落とし物を踏んでましたよ。
で、道で洗ってた。
‥‥なるほど、歩きやすいハイヒールの靴。
- 坂井
- うん!
- 伊藤
- 今日履いていただいたトリッペンみたいに
ソール全体がしっかりしてて、
上げ底になっているタイプは歩きやすいけれども、
細いヒールでは難しいかもしれないですね。
- 坂井
- 歩きやすい靴でも、
スタイル良く見えて。
もうちょっと遊べるものというか。
- 伊藤
- なるほどね。
- 坂井
- 今、靴が、後回しになってるんです、私。
だからスニーカーとか、
うんとシンプルなものを選んでる。
ちなみにサンダルを履くときは絶対黒にしてるんです。
- 伊藤
- そっか、確かにそのイメージ。
なぜ黒がいいんですか。
- 坂井
- 何にでも合うからです。
- 伊藤
- お仕事の現場に行ったら着替える、
っていうこともあると思うな。
仕事ではいろんなタイプの靴を履くし。
- 坂井
- そうそう、そのために
脱ぎやすいっていうのも考えます。
だからきれいな色の靴、
赤とか差し色で、
使える靴が欲しいですね。
- 伊藤
- ボアがついてたりとか
そういうので冒険とかもできますものね。
ところで、真紀さん、
お仕事でこれから挑戦してみたいこと、
ありますか?
- 坂井
- やってみたい仕事というか、
ご一緒したい監督はいらっしゃいますね。
でも、私、今、坂井さんに
こういうことをやって欲しいって言われるだけで、
すごく嬉しいんですよ。
- 伊藤
- 投げかけられるのが。
- 坂井
- はい。いろいろやらせていただいてきた中で、
どんなことを私に期待してくれているのかなって。
で、その作品の中でしっかりと
役に立てたらいいなと思ってます。
年を重ねていていますので、
ちゃんと存在が豊かでありたいって思います。
ここ最近もいろんなお母さん
やらせてもらっていますけれど、
もっとかわいい息子・娘を増やしていくぞ、
なんて気合を入れています(笑)。
- 伊藤
- そうか、じゃあ逆に、イメージと違うような、
おおっ、みたいなことを投げかけられると、
よっしゃ! みたいな。
- 坂井
- そう、うれしいです。
お母さんじゃない役もまた嬉しい。
この前も『だが、情熱はある』っていうドラマで
森本慎太郎さん演じる
山里亮太さんのマネージャーさん役、
すっごく楽しかったですね。フフフ。
- 伊藤
- その時も、
この人はこういうところに住んで、
みたいなことを考えて?
- 坂井
- そうですね。あの役には
モデルになっている方がいらっしゃったのですが、
リアルな経歴と
そこからイメージすることをミックスし考えました。
- 伊藤
- それを思うと、わたしのスタイリングは、
わりと自分中心。
たとえばインテリアも「こういう部屋に住みたい」、
料理も「この器ならいいな」なんて
気持ちの部分が大きい。
- 坂井
- でもまさこさんが提示してくれてるものって、
まさこさんのストーリーですよね。
それが素敵なんです。
- 伊藤
- 「わたし」がうるさくないですか?
- 坂井
- うるさくないですよ。
私たちはフィクションを作ってますけど、
まさこさんはそれこそ
ひとつのインテリアの中に
娘さんとのストーリーがあったり、
お料理の中にお母様とのストーリーがあったり。
それが私たちのストーリーと重なったり、憧れたり、
もっと知りたいまさこさんの物語。
ちょいちょいそのお母様の夜ご飯、食べてみたいです、
っていうふうになってます。
大丈夫、もっとうるさくても
いいぐらいですよ、まさこさん。
- 伊藤
- 本当? じゃあ塩梅を見ながら‥‥。
うるさめになってきたら言ってください(笑)。
- 坂井
- ハハハ。そんなことない。
もっと知りたいなって思ってます。
- 伊藤
- はい。
みんなからも質問ありますか。
- ──
- ハイ! 観ている人を良い気持ちにさせたい、
楽しい気分にしたいとおっしゃったんですけど、
それって30年重ねてきて思うようになったんですか、
それともキャリアの最初の方から
そういう思いでお仕事をされてきたんですか。
- 坂井
- 20代の、仕事を始めた頃は「自分、自分」でした。
次はこんな役をやりたい、この映画に出たい、と、
やりたいことがいっぱい溢れていました。
でも、だんだんと、ですね。作品が世に届き、
見てくれた方の反応があると嬉しいですし、
母親になったこともすごく大きいと思います。
どうしても子どもを通して
世の中のことが気になりますし、
自分自分ではなく、
子どもの未来のことが気になります。
だから社会がちょっと良くなったり、
優しい気持ちになったり、
届けた作品でそういうふうになったら嬉しいなと。
- 伊藤
- だって、人間を1人生んだんだものね。
すごいことですよ。
- 坂井
- そうですよね。
まさこさんも生んでるんです。
- 伊藤
- わたし、生んだ時に、
大変なことをしてしまったってすごく思いました。
- 坂井
- 育児はやめられないですもんね、途中で。
- 伊藤
- そう。でも今となっては
それがわたしを育ててくれたんだなと思います。
20代のまま50代になってたら、
今、すごくわがままだったと思う。
- 坂井
- ハハハ。
- 伊藤
- 「そっか、世の中には
思い通りにいかないこともあるんだな」と、
わかったのもよかったです。
- 坂井
- 思い通りにならないことの方が
多かったりしますもんね。
- ──
- 坂井さんは息抜きってなにかあるんですか。
リフレッシュ方法は‥‥。
- 伊藤
- お酒?
- 坂井
- そうですね、1杯飲むのは
すごくリフレッシュになるかな。
仕事終わってプシュッって。
あとは、午前中空いたら映画館に行って
映画を観たりとか、
大きめの仕事が終わったら
ちょっと旅行に行ったりとか、
そういう自分の時間ですね。
- 伊藤
- そっか、気分転換って必要だものね、
誰しもが。
- 坂井
- でも忙しい時は走り続けなきゃいけないので、
今はその走る時期だって思っています。
だから1杯飲むのがリフレッシュ。
- 伊藤
- 走り続けながら、自分にとっての
インプット的なことってどうしていますか?
- 坂井
- そこは本当に大事で、
少しの時間でも見つけて、
本を読んだり映画を観たり舞台に行ったり、かな。
あと、人と会うことですね。
だからまさこさん、一緒にご飯行ってください。
- 伊藤
- もちろんです!
わたしは絶対5時には仕事を終えるので、
お誘いください。
- 坂井
- そうですよね、まさこさん、5時まで。
そのためにちゃんと組んでるんですもんね。
- 伊藤
- 息切れしちゃうから、
マイペースに仕事させてもらってるんです。
- 坂井
- それでも朝のルーティンだったり、
お片付けしてっていうことを毎日ちゃんとやられて。
- 伊藤
- 決めごとではないんですけれどね。
真紀さんには朝のルーティーンとかありますか?
- 坂井
- 玄関をきれいにすることと、
娘がしないカメの世話をすること、
植木に水をあげることかな。
- 伊藤
- ふふふ。真紀さん、今日はほんとうに
ありがとうございました!
またぜひご一緒させてくださいね。
- 坂井
- ほんとうに! ありがとうございました。
(おわります)
2023-11-01-WED