nooyのレターニット、
あのひとに着てもらいました
2・COOVA 瀬谷志歩さん
ビビッドなカラー、アンシンメトリーな前身ごろ、
立ち襟のある、個性的な後ろ姿。
今季のnooyの新作ニットを、
ふたりのかたに着てもらいました。
(取材・文=伊藤まさこ)
瀬谷志歩さんのプロフィール
せや・しほ
テキスタイルデザイナー。
各地の布や建造物のモチーフなどからヒントを得て
布を設計、工場での勤務経験を活かし、
多彩な織りの技法でかたちにしている。
織るのは国内の工場で、
「手織りと機械織りのあいだにあるような布づくり」
がコンセプト。
美大卒業後、東京・八王子の織物工場に就職。
アパレルメーカーの服地やストールなどの
企画、開発、生産、営業等に携わる。
工場の廃業に伴い、独立。
屋号の「COOVAコーバ」は
「工場(コウバ)」に由来する。
息抜きは、時間ができた隙にさっと行く旅行。
木陰が好きなので森林限界までの低山登山をする。
起きた瞬間から眠るまで、ほぼ終日ラジオをかける。
東洋・西洋を問わず。歴史劇の鑑賞も。
八王子にあった織物工場で働いていたという瀬谷さん。
仕事の内容は、
企画、図面の制作、素材えらび、
生産管理‥‥といろいろだったとか。
「自分の仕事以外の時間は、好きに使ったらいいよ」と
当時の社長さんに言われ、
早朝から夜遅くまで、織物に向き合う日々。
その時の経験が今もとっても役に立っているのだそうです。
nooyの若山さん、平山さんとは、
その頃からのおつき合い。
COOVA(コーバ)と、nooy(ヌーイ)、
響きがどことなく似ているけれど、
落ち着いて話す様子や、
揺らがない感じ(でも物腰はやわらかい)が、
nooyのおふたりとどことなく似ています。
こちら、その当時、一緒に作った布。
ここからシャツやワンピースなどができあがったとか。
「工場に突然電話がかかってきたんです。
布を見せてもらえませんか? って」
その工場は電話を取った人が担当になるというシステム。
「その時から、私がnooyさんの担当になりました」
10年前に独立し、今はご自身でオリジナルの布や、
ラグなどのデザインをする日々。
織物設計は、Excelソフトを使って。
合理的な要素で成り立っているという織物。
「足す、引く、掛ける、割るといった
たくさんの計算が行われるため、
算数的な側面でExcelがぴったり」なのだとか。
「独立してからも、展示会を合同でしませんか? とか、
ここに売り込みに行ったらいいよとか、
いろいろアドバイスいただいて。
おふたりに気にかけてもらっているんです」
nooyとCOOVAのいい関係は、
今も続いているみたい。
「nooyの服が好き」
という瀬谷さん。
「ちょっとした部分に、『らしさ』が出ていますよね」
そう。このニットも、後ろの襟足部分や、
脇に入ったスリットなど、
一見、「ふつう」に見えるけれどじつは、ふつうではない。
「nooyらしさ」がさりげなく潜んでいるのです。
えらんだのはブラック。
「秋冬はブラックを着ることが多い」と言うだけあって、
まるで前から持っていたかのように
しっくり着こなしています。
続きましてオレンジを。
ふんわりまとめた髪もすてきです。
ニットの後ろのぴょこんと飛び出た部分、
デザインでもあり、
じつは着ると、
「首元を守ってくれている」という安心感もあるんです。
合わせたのは、なんとも言えない
茄子紺色のスカート。
カーキのスカートとはまた違う表情。
色の対比や、素材の組み合わせ。
コーディネートは布の設計を考えるのと一緒なのかな。
建物の取り壊しにより、
今は物件探しの最中。
この近くで? と尋ねると、
「そうでもなくて、感じのいいところを」とのこと。
今度もきっと、
ご自分にぴったりの部屋にされるんだろうな。