伊藤まさこさんがニューヨークで出会った
ジュエリーブランド Satomi Kawakita Jewelry
(サトミカワキタジュエリー)。
2023年6月には東京・青山に日本初の直営店をオープン、
9月にひらいたweeksdaysの「お見立て受注会」では
Satomiさんと伊藤さんが店頭に立ちました。
そのときはじめてお披露目した、
「白」をテーマにした3つの限定コラボジュエリーがweeksdaysに登場します。
そこで、あらためてこの3つのジュエリーについて、
ニューヨークにいるSatomiさんに
伊藤さんがオンラインでインタビュー。
こんなに小さなものなのに、
Satomiさんがつくると
ぐっと存在感が出るのはなぜ? 
3つのジュエリーのデザインのことから近況まで、
たっぷりお話をききました。

Satomi Kawakitaさんのプロフィール

Satomi Kawakita さとみ・かわきた

Satomi Kawakita Jewelry デザイナー。
大阪生まれ。美大でガラスに出会い、
ガラス製作の時代を経て、2002年、NYに移住。
ジュエリーメイキングの専門学校で彫金を学ぶ。
卒業後、ダイヤモンドセッター(ダイヤモンドを
金属のアクセサリーなどに取り付ける仕事)に就き、
やがてジュエリーデザインも手がけるように。
2008年、Satomi Kawakita Jewelry始動、
2010年に会社組織として、正式にブランドを始める。
2014年、マンハッタンのトライベッカ地区に、
アトリエ件ショールームをオープン。
完全予約制で、オーダーメイドを中心に、
製作をつづけている。

■インタビュー「耳もとに、ピアスがひとつあるだけで。」

■WEBSITE

02
ふたつ目のパールピアス、
そしてミステリアスな光

伊藤
今回のお見立て受注会で、
Satomiさんがお客様に選ばれるものが、
どれもこれも、新鮮でした。
お客様も、「えっ、私に、これを?」って、
ちょっとびっくりしながらも、目を輝かせて。
Satomi
たくさんある中から自分に似合うものを選ぶのって、
すごく難しいことだと思うんです。
ですから、こちらが直感的に
「似合わはるやろな」と思うものをつけていただくと、
ご自身では選ばないようなものであっても、
「すごくいい!」って気に入ってくださる。
伊藤
たとえばあこやパールのフープピアスは、
Satomiさんご自身でもつけられますか?
Satomi
これはフォーマルなテイストもあるデザインだから、
私なら片方だけつけるかなぁ。
片方だけとか、他のものと混ぜてつけると、
パール特有の“優等生感”がなくなるんです。
伊藤
へぇー! 片方だけを? 
確かに両方つけると、
きちんとした印象になるかもしれない。
いいこと聞いちゃいました。
私、いつも同じピアスを両耳に1つずつ
つけていたから、ハッとしました。
もっと自由でいいんだ、って。
Satomi
1粒パールや石が1つだけのピアスって
わりとよくある形だから、
今回は2mmっていう小さいサイズの
あこやパールを連ねたデザインにしました。
伊藤
パールってピアスの入門編というか、
基本みたいな素材だから、
こういう目を惹くデザインはうれしいです。
一番端っこの留め方もかわいい。
Satomi
基本の1粒パールを持っている方にも、
ふたつ目のパールピアスとして使っていただけるかなと。
伊藤
ふたつ目、いいですね!
片耳に1粒パール、
もう片方にこのフープピアスをつけてもいいし、
私はピアスホールが左に3つあるから、
ふたつ並べてつけてもいいな。
Satomi
うん、片耳にふたつしてもおもしろいと思いますよ。
私もピアスホールが多いから、
いつもどうやって遊ぼうかなって考えてます。
伊藤
Satomiさんはピアスも指輪も
たくさん身につけていらっしゃるけど、
全体的にまとまって、バランスが取れているのが
素敵だなぁと思って。
Satomi
ひとつひとつのデザインが、
そこまで主張が強くないからでしょうね。
重ねづけしてもわりとなじむので、
いろいろ遊んで、楽しんでいただけたらうれしいです。
伊藤
レインボームーンストーンのピアスは、
遠くからでもわかるほど、存在感がありますよね。
いわゆるムーンストーンとは別の石なんでしょうか?
Satomi
ええ。同じ鉱物ですが発色が違います。
一般的に知られているムーンストーンは、
もうちょっと乳白色をしていて、
こんなふうに青みがないんです。
私はレインボームーンストーンが放つ、
このなんとも言えないミステリアスな光が好きなんです。
伊藤
ほんとうだ。
ぱっと見た感じは白い石だけど、
角度によって色が違って見えて、
「こういう面もあるんだ」
ということが発見できますね。
Satomi
そうなんです。
それからムーンストーンの場合は、
「カボションカット」という面のない球形のカットを
することが一般的なんですけど、
今回のレインボームーンストーンには、
「ローズカット」(三角形を組み合わせた24面)という、
面が大きめのカットを施しています。
それによって氷のような表情も生まれて、
ちょっとクールな味が出せたと思います。
伊藤
すごくよくわかります。
こんな小さな世界の中に、
ほんとうにいろんな工夫をされているんですね。
Satomi
石自体は小さいんですけど、
カットの仕方や、石を留める爪の種類といった
ちょっとしたことで、
見え方や光り方、印象が全然違ってくるんですよ。
(つづきます)
2023-12-12-TUE