REPORT

nooyのデニム、
あのひとに着てもらいました
2・丸久商店 斉藤美紗子さん

nooyのラボコートデニム
だれに着てもらったよいだろう? 
そう考えた時、おたずねしたのは
やっぱりそのよさをいちばんに知る人、
nooyの若山夏子さんに、でした。

そしてすぐに「この方にぜひ!」
と推薦していただいたのが
今回登場していただいた斉藤美紗子さんです。

斉藤さんの家業である
東京・日本橋の注染問屋
丸久商店を訪ね、
テーパードデニムとラボコートを
着ていただきました。
どうぞごらんください!

(取材・文=weeksdays編集部)

斉藤美紗子さんのプロフィール

さいとう・みさこ
東京・日本橋で
注染の手拭いや浴衣を
昔ながらに製作する問屋
「丸久商店」5代目。

小さな頃から絵を描くことが好きで、
東京藝術大学で日本画を学んだのち、
家業の店を継ぎ、
現在は藝大で出会った夫とともに
丸久商店を切り盛りしている。

「日本の事象にちなんだ浴衣図案や
いろいろな職人の手を経て出来上がる布に
触れることが楽しいです」

5歳の男児の母。

「休日は子供と街歩きをして
『あ、ここ新しいお店できてる!』
と新しい出会いが楽しみです」

夏はやっぱり浴衣をたくさん着るそう。

●Instagram


丸久商店とnooyのアトリエは
歩いて数十秒というご近所さん。
ある日ふらりと斉藤さんが
nooyの展示会をのぞいたのが、
出会いだったそうです。

丸久商店のお隣のお蕎麦屋さんも4代目という
江戸から東京への伝統を今に伝えるひとびとの街で、
あたらしい時代のつながりが生まれていることが
とてもおもしろい! 

丸久商店で出迎えてくれた斉藤さんは、
期待どおりに(それ以上に!)
すてきにデニムを着てくださっていました。

「軽くて風の通りぬけがよいデニムなので、
ブラウスを合わせて軽やかな雰囲気にしてみました」

その言葉どおり、
とてもさわやかなスタイリング。

「デニム自体のラインがきれいなので
合わせるブラウスはシンプルにしました」

と言うそのブラウスは
たしかにシンプルながら、小さな襟と
後ろさがりの裾ラインがとてもおしゃれです。

仕事柄、普段は正座で座ることが多く
あまりデニムは履かないとのこと。
さらに出産を経て、タイトなものは
身につけることが少なくなったそう。

「でもこのデニムは生地が柔らかいので
とても気軽に気持ちよく履けるんです」

つづいて着てもらったラボコート。

「ラボコートっていう名前のとおり、
研究者の白衣のような
ユニセックスな形が気に入っています」

下にはnooyの白いシャツに、
春らしいカラフルプリントの
透け感のある素材が特徴的な一枚を
重ねたコーディネートがすてき! 

染物問屋で生まれ育った斉藤さんからは
さりげない色使いのセンスが所々に感じられます。

「nooyの洋服は、シンプルなのに
形やディテールにちゃんと個性があって好きです。
後ろの白いタグがポイントになって
かわいいですよね」

そんな「さりげなさ」のセンスが、
nooyと斉藤さんを結びつけたのかもしれません。

丸久商店が扱う「注染」とは、
明治時代に生まれた染めもの技術。
1mほどの幅の型紙の上に、
長い生地を折り返しながら糊付けし、
その上に染料を注ぎます。
そうすることで生地の裏と表が同時に染まり、
柄を均等に繰り返すことが容易にできるようになったそう。
江戸時代からつづく「型染め」の
手間をはぶこうと生まれたこの注染は
明治の当時はある種の工業化であり、
大衆化でもあったのだろうけれど
プリントものの布がたくさん流通する現在では、
今や「伝統工芸」と呼べるもの。
すべての工程が職人の手作業によるものなので、
そこに生まれる「ゆらぎ」が大きな魅力です。

そんな注染をもっとカジュアルに広めていこうと
現在は「TEWSEN」というローマ字表記のもと
注染のシャツブランドもスタート。
さらにはパリのデザイナーとコラボし、
メゾン・エ・オブジェにも出展するなど
海外に向けても積極的に発信を続けられています。

伝統を大切にしながら、あたらしい挑戦を続ける斉藤さん。
こうして日本の伝統技術が受け継がれ
歴史が紡がれているんだなと
あらためて感じるひとときでした。

2024-02-27-TUE