2024秋冬シーズンに
パリコレクションに初出展し、
注目をあつめているSAQUI。
デザイナーである岸山沙代子さんに、
あたらしいパンツについてききました。
「weeksdays」でもすっかりおなじみになった
イタリアのFaliero Sarti(ファリエロ サルティ)の
生地を使った2本は、いずれも丈が長めで、
でも身長をえらばないつくり。
エレガント、かつ、着心地のよい、
絶妙なパターンでできているんです。

岸山沙代子さんのプロフィール

岸山沙代子 きしやま・さよこ

大学の家政学部で被服を学んだのち、
手芸・服飾系の出版社へ。
働きながら「東京立体裁断研究所」に通い、
立体裁断を学ぶ。
別の出版社に転職後、伊藤まさこさんの担当に。
編集者歴10年を経た頃、
デザイナーになる夢をかなえるべく、渡仏、
パターンの学校へ通う。
パリでの3年を経て帰国、自宅をアトリエにして
「SAYOKO KISHIYAMA (サヨコキシヤマ)」名義で
自身のデザインによる服づくりをはじめる。
2016年「saqui」をスタート。
そこから年に2回のコレクションを発表しつづけ、
2024年秋冬シーズンにはパリコレクションに参加、
ブランド名を大文字の「SAQUI」に変更。

■saqui website
■Instagram
■岸山沙代子さんのこと。

02
ジョガーパンツをエレガントに

テーパードジョガーパンツ(ブラック・38)/SAQUI
ジャケット/SAQUI

伊藤
今回、初めてご紹介するテーパードジョガーパンツは、
わたしがSAQUIの展示会で見て、「いいな!」って。
──
ジョガーというのは
ジョギングをする人のことですよね。
だからジョガーパンツというと
裾にゴムやリブがついている
スポーティなものを想像するんですが、
SAQUIのテーパードジョガーパンツは
とてもエレガントです。
岸山
ジョガーパンツは、
もともとはスポーツ用のものだったのが、
ストリートファッションに取り入れられ、
いまはもっと広く、おしゃれ着のデザインとして
知られるようになりましたね。
私はこれを、きれいめだけど、ちょっとラフで、
すこし“外した”感じを目指して、
テーパードリボンパンツと同じ
Faliero Sarti(ファリエロ サルティ)
バックサテンジョーゼット生地でつくろうと思ったんです。
このパンツ、先日初挑戦した
パリコレクションでお披露目した新作なんですよ。
──
パリコレクション
2024秋冬に参加なさったんですよね。
ランウェイのようすを
ウェブサイトで拝見しました。
岸山
そうなんです。はじめてのパリコレでした。
そのデザインを考えるとき、
今までのSAQUIの延長でやりたいと思ったんです。
それを崩してまで
新しいものをつくろうとは思わなかったですし、
ランウェイでモデルさんに着てもらうのは、
じっさいに販売をするもので構成しようと思いました。
だとしたらお客さまがご愛用くださっている
テーパードリボンパンツをちょっとアレンジしようかなと。
それで、形を変えてカッコよく見せたいと、
ジョガーパンツに挑戦したんですよ。
伊藤
一般的なジョガーパンツでリブにあたる部分を、
SAQUIでは、Faliero Sartiの共布を使って
カフスで表現なさっているんですよね。
岸山
はい、共布のカフスです。
リブはつけたくなかったんですよ、
急にカジュアルになっちゃうから。
そもそも、この生地に合うリブって、ないんですよ。
伊藤
そうですよね、わかります。ないと思う。
岸山
このFailure Sartiの黒は特別なので、
他素材との色合わせがとても難しいんです。
たとえばカフス部分を
シルクでつくったとしても、無理だと思う。
そして中にゴムを入れるのも違う、となり、
きれいに見せるにはどうしたらいいかを考え、
共布でカフスをつくり、
フラシ芯(*)を入れることにしたんです。
(*)芯地が必要な部分表地の布と接着させないことで、
生地の風合いをいかし、高級感を出す手法。
シャツの衿やカフスに用いられることが多い。
伊藤
なるほど、だから柔らかさが出ているんですね。
岸山
そうそう、柔らかいし、
接着芯にするとペタッとしちゃうんです。
これっていわゆる“高級仕立て”なんですが、
普通に手洗いをしていただければ、
お洗濯で崩れることもありません。
伊藤
うん、うん。
岸山
あと、パタンナーさんとかなり細かく詰めたのが、
裾のカフスの細さをどう出すか、でした。
ジョガーパンツって、キューッと足元を
細身にしたくなるじゃないですか。
伊藤
たしかに一般的なジョガーパンツって、
リブが細くて長い印象がありますね。
岸山
そうなんです。
でもそれをめざすと、ゴムを入れるか、
リブをつけるかしかなくて。
伊藤
ボタンでもないし‥‥。
岸山
そうなんです。
だから足の甲が無理なく入る幅で、
いちばんきれいに見えるように
幅と長さを考えました。
伊藤
SAQUIが長く展開してきた
Faliero Sartiの生地を使うのって、
とても素敵なことだと思います。
いちど経験した人はこのよさを知っているし、
デザインが新しいから、さらに多くの人に
受け入れてもらえそうだなと思います。
──
今までのテーパードリボンパンツと比べて、
このテーパードジョガーパンツは
丈が長くなっているんですよね。

テーパードジョガーパンツ(ブラック・38)/SAQUI
トップス/SAQUI

岸山
はい。テーパードリボンパンツの
ロングよりも長いんです。
足首がタプッとするのがいいなと、
ちょっと長めにしているんです。
伊藤
でも156センチのわたしが穿いても大丈夫なんですよ。
裾のたぷっとした感じがよくて。
──
靴も目立つので、
コーディネートのたのしみがありそうですね。

テーパードジョガーパンツ(ブラック・38)/SAQUI
コート/SAQUI

岸山
今回のコーディネートでは、
ちょっと甲が見えるように、ソックスを履かず、
フラットシューズを合わせました。
もちろんバレエシューズもすごく合いますし、
スニーカーでもいいですし。
伊藤
ブーティーも似合いますよ、きっと。
岸山
ブーティーなら、
裾をちょっとかぶせてもいいですよね。
それからヒールにもよく合います。
weeksdaysのお客さまって、
あんまりヒールのイメージが
ないかもしれませんが‥‥。
伊藤
でも、ヒールを履くときには、
このテーパードジョガーパンツを合わせてみてほしいな。
甲が立って、また違うシルエットが楽しめそう。
岸山
そうですね。
そして上は、コートを合わせてみました。
みなさん、トレンチなど、
ロングコートをお持ちでしょうから、
ぜひこんなふうに着てもらえたらと思って。
コートの裾からカフスが見える感じが、
とてもかわいいなと思うんです。
ちょっとリラックス感があって、
大人の印象がうまれますよね。
伊藤
白いシャツにも似合いそう。
岸山
似合います! 
このパンツはシチュエーションを問いませんよね。
それから、いいところをもうひとつ。
足首があったかいんです。
だから秋冬におすすめですよ。
真冬だったら下にタイツを穿いて。
伊藤
なるほど! 
長く着ていただけそうですね。
テーパードリボンパンツ、そのロング、
そしてテーパードジョガーパンツ、
Faliero Sartiの生地を使った
SAQUIのパンツのラインナップが充実して、
わたしもとてもうれしいです。
岸山さん、ありがとうございました。
また次のシーズンがたのしみです。
岸山
ありがとうございます!
(おわります)
2024-09-17-TUE