あのひととコンバース 2024
[6]和知徹さん
「weeksdays」がコンバースといっしょに
オリジナルのスニーカー
「weeksdays ALL STAR」をつくったのは
2020年の「ネイビー」がはじまりでした。
つづいて2022年には「グレー」、
そして2024年の今年は、
「ALL STAR (R)」モデルをベースに
アッパーをキャンバスから
モコモコのボアにかえて登場します。
かわいさとかっこよさが同居するこのスニーカーを、
6組8人の方に試着していただきました。
料理家、ヘアメイクアップアーティスト、スタイリスト、
ファッションデザイナー、シェフ、コメディアン、
そうそうたるみなさんの感想そしてコーディネート、
「ファースト・コンバース」のお話もあわせて
おたのしみください。
取材・文・写真=weeksdays(武井義明)
和知徹さんのプロフィール
わち・とおる
1967年兵庫県淡路島生まれ、
茨城県つくば市育ち。
高校卒業後、大阪の辻󠄀調理師専門学校、
そして同系列のフランス校へ。
ブルゴーニュの一つ星「ランパール」で研修ののち、
東京のフレンチレストラン『ひらまつ亭』
(現『レストランひらまつ 広尾』)へ。
在籍中の1996年、パリの二つ星レストラン
『ヴィヴァロワ』で約3カ月間研修ののち、
ひらまつ系列店の東京・六本木『アポリネール』料理長に。
退職後、1998年から銀座『グレープ・ガンボ』の
立ち上げに関わり、料理長を3年間務め、
2001年に自らの店『Mardi Gras』(マルディグラ)を
銀座8丁目に開く。
フランス料理をベースにしながら、
世界各国の味をアレンジした肉料理に定評がある。
著書に『マルディ グラ 和知 徹の牛肉料理』
『銀座 マルディ グラ流 ビストロ肉レシピ』
『20席のフランス料理店:オーナーシェフを目指す
人のために 店づくりの秘訣と100のレシピ』
『銀座 マルディ グラのストウブ・レシピ』
などがある。
以前、取材で和知さんのフレンチレストラン
「マルディグラ」に伺ったとき、
厨房に立って調理をする和知さんの
動きの機敏さに驚いたことがありました。
それはカメラでピントを追うのが
たいへんなくらいのスピード。
食材(それも大きなお肉!)を取り出す、
庖丁で切る、調味料をまぶす、
火にかけたフライパンをゆする、
皿を選ぶ、盛りつける‥‥、
厨房の中で身体の位置をくるくると変えながら
いくつもの料理を同時進行で仕上げてゆく様子を見て、
料理人というのはフットワークの軽さが大事なんだなあ、
と思ったものでした。
ちなみに厨房の床はコンクリート、
水や油もあるなか、こまめに動くので
仕事で履く靴はソールの消耗が激しいそう。
同じ靴を毎日履かないよう、
仕事用のスニーカーを履いてみたり、
かかとのあるサボを履いてみたり。
最近はいいインソールを入れて、
クッション性を持たせ、
膝や腰への負担を軽くしているんですって。
そんな和知さん、
ふだんのスタイルはうんとカジュアル。
「運動靴が大好き!」なんです。
聞いてみたところ、なんと
「ファースト・スニーカーはコンバース」
だったんだそうですよ。
和知さんがオシャレに目覚めて
自分で服を買うようになったのは
小学校5年生のとき。
お母さんと新宿に出て
紀伊國屋書店で本を買い、
新宿中村屋のレストランでカレーを食べるのが
休日のたのしみだったのだそうです。
「そんな時、ジーパンとデニムジャンパーの上下と、
コンバースが欲しい、って母に言ったんです。
たぶん、デパートで見て、
いいなあって思ったんでしょうね。
それでジーンズは当時新宿三丁目にあった
『Mitsumine(三峰)』で、
コンバースは『ワシントン靴店』で
買ってもらったんです。
どちらのお店も、もう、なくなっちゃったけれど」
時代は1970年代の後半。
当時、少年たちの憧れのスニーカーに
そんなに選択肢はなく、
バッシュ(バスケットシューズ)派か
テニスシューズ派か、という感じだったんだそう。
「ぼくは、バッシュ系のコンバースに惹かれて。
といってもバスケットをやってたわけじゃないんだけれど、
街で大学生たちが履いているのを見て、
かっこいいなぁ、と思ったんでしょうね」
そのとき選んだファースト・コンバースは、
赤のオールスター。
うれしくてうれしくてたまらなくって、
そこからどんどんオシャレにのめり込んでいったそうです。
「中学になると、都内の塾に通うついでに、
洋楽のLPを探しにレコード屋さんに行ったり、
洋服もひとりで買いに行くようになりました。
高校生になるとアルバイトで貯めたお小遣いを持って、
青山までDCブランドを見に行ったりも」
やがて料理人をめざし大阪の学校に通い、
フランスでの修業、都内での就職、
料理長としての忙しい日々を経て、独立‥‥と、
めまぐるしい時間をおくるなかで、
コンバースからは一回、離れていたのだといいます。
「ところが、実は、ほんとうに最近、
また、コンバース熱が高まってきたんです。
一気に買いそろえて、
今、持っているのは、ハイカットとローカット、
さらにジャック・パーセルが2足に、
スリッポンタイプもあるなぁ。
ぜんぶで‥‥6足かな?
素材はレザーやスエードもあるけれど、
すべて黒なんです」」
細身のパンツを穿くときは、
ちょっと大きめの黒のハイカットの
靴ひもの編み込みを細くしてキュッとさせ、
太いパンツを履くときは、
靴ひもをゆったりめに結んだりして
履きかたにも変化を持たせて楽しむようになったそう。
それにしてもなぜ、コンバース熱が再燃を?
「洋楽への熱と関係していると思います。
好きな外国のミュージシャンのように、
黒の細めのデニムを穿いてみたいな、
だったら黒のコンバースだな、って。
あと、自転車にも乗る時の足元も、
やっぱりコンバースの気分なんです」
そんな和知さんに、
「weeksdays」のあたらしいコンバースを
履いてもらいました。
「これ、すごいね。モコモコだ。
ジャストサイズだけれどちょっと大きく見えますね。
今までにないタイプだし、
このグレーもきれいだなあ」
そうでしょうそうでしょう。
ほかになくって、かっこいいものが
つくりたかったんです。
このコンバースに合わせてくださった
和知さんのコーディネートは、
肉厚コットンのオーバーサイズTシャツと、
腰回りがたっぷりとした、
裾が少しすぼまっているネイビーのチノパン。
コンバースは黒、という和知さんですが、
このグレーが、とてもよくお似合いです。
「ほんとうのふだん着は、こんなふうに
たっぷりしたサイズのチノパンが多いんです。
それでネイビーのチノパンが
このコンバースに合うんじゃないかなって。
靴ひもが見えたほうがかわいいから、
裾が細めのチノパンを選びました」
裾は長いまま、かるく自然なクッションをつくって。
外に出るときはデニムのブルゾンを羽織ります。
色味を抑えたオトナのコーディネートです。
ちなみに和知さん、
スニーカーのサイズ選びは、
ブランドによって替えているのだそう。
「基本、大きめの靴が好きなんですよ。
ニューバランスのときは厚めのソックスで
大きめのサイズを選びますし、
VANS(ヴァンズ)もちょっと大きめ。
でもこのコンバースならモコモコしていて
ちょっと大きく見えるから、
ふつうのソックスにして、
ジャストサイズで履くのがいいですね」
なるほど。和知さんのつくる
発想とバリエーションのゆたかな料理とおなじで、
ファッションや靴のサイズえらびにも
「決めつけない」面白さがあるようです。
履きごこちはいかがですか。
「これ、以前のコンバースと比べて、
ソールのクッション性が高くなったことで、
格段に履きごこちが良くなりましたね。
スニーカーって一日中履くことがあるから、
クッション性があるのは嬉しいです」
ありがとうございます!
ぜひ、ふだん履きに使ってくださいね。
「すぐにでも履きたいけれど、
厨房で履いたら汚してしまうから、もったいないね。
これはオシャレ用にしますね!
それにしてもコンバース熱が高まったタイミングで
この取材のお話をいただいたので、
ちょっとびっくりしちゃいました、
ありがとうございました」
いえいえ、こちらこそありがとうございました。
コンバース歴45年の大先輩のお話がきけて、
とっても楽しかったです。
また、コックコート姿の和知さんに会いに伺いますね。