KARMAN LINE(カーマンライン)という、
小さなタイツと靴下のブランドがあります。
「weeksdays」では、2019年にタイツ
作っていただいて以来、5年ぶりの登場。
今回は「ボアのコンバースに合うタイツ靴下」を、
weeksdaysオリジナルで作っていただきました。
靴下はラインが側面に、
タイツは別色のパターンがかかとに入る、
ユニークなデザインの2アイテムについて、
作り手の玉井綾子さんに伊藤さんがインタビューしました。
ふだん、服なら選ばないかもしれない大胆な
(でもほんとうはちょっと気になる)色の組み合わせも、
カーマンラインとコンバースなら、きっとたのしめますよ!

玉井綾子さんのプロフィール

玉井綾子 たまい・あやこ

大阪府出身。
大学卒業後、靴下やニットの糸を扱う繊維商社に就職、
全国の靴下工場に糸を販売する営業を担当。
その職人さんから紹介されたのが板井さんだった。
板井さんの独立にともない繊維商社を退職、
カーマンライン設立に参加。

カーマンラインとは

カーマンライン(Kármán line)は、
宇宙と地球の境界線のこと。
海抜高度100kmに引かれた仮想のラインで、
このラインを超えた先が宇宙、内側は地球の大気圏だと
国際航空連盟によって定められている。
「2人とも空が好きで、宇宙が好きなんです。
靴下ってすごくたくさんの工程があって、
携わる人もたくさんいる。
それをつながりとして、
更にお客さんにもつながっていって、
そのお客さんが穿いて、誰かにあげたいなとか、
私たちの見えない部分にも
無限に広がっていって欲しいという思いで、つけました。
靴下だけじゃなく、幸せなこととか、
誰かと出会えたりとかということが、
ずっとつながっていったらいいな、
星の数ほどあったらいいなって」(板井さん談)

●ウェブサイト

全1回
コンバースから、ちらりとのぞかせて

伊藤
玉井さん、お久しぶりです。
今日はよろしくお願いいたします。
玉井
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
前回の鼎談は板井と一緒に出させていただいのですが、
今、彼女は休憩中なので、
今日は私だけで伺いました。
伊藤
あ、板井さんはお休み中なんですね。
玉井
そうなんです。
靴下と20年ほど付き合ってきたので、
ちょっとひと息つきたいということで、
今年の2月から私ひとりでやらせていただいています。
伊藤
そういう時間も、大切ですよね。
じゃあ今回は、
そんなタイミングでのお願いだったんですね。
玉井
はい。まさこさんにお声掛けをいただいたことで
背中を押された気がして、
がんばらせていただきました。
伊藤
ありがとうございます。
靴下を4種類と、タイツを2種類、
weeksdaysオリジナルデザインで
作っていただいて。
どれもとっても素敵です。
玉井
あぁ、よかったです。
前回作らせていただいたタイツが
無地のコットンタイツ
だったので、
今回は靴下も加わって、ツートーンというのが
weeksdaysさんでは初登場です。
伊藤
そうでした。
タイツの方は、かかとの部分の色が
靴からちらっとのぞくのがかわいいですよね。
後ろ姿が、ぱっと華やぐような。
玉井
そうなんです。
後ろ姿に、「あっ」って惹かれますよね。
実は10年前、
ブランドを立ち上げて最初に出したのが
このデザインの靴下バージョンだったんです。
どうしてもこのデザインが作りたくて。
伊藤
へえー! 
そうなんですね。
なかなか見ないですよね。
玉井
デザインについても
進めるうちに分かってきたのですが、
今回作らせていただいた靴下のように、
縦にデザインをいれるのは
技術的にとてもむずかしいんですよ。
色が切り替わる部分は、
裏側に「柄糸(がらいと)」という
糸が出てしまうんですけど、
これ、何かにひっかけたりすると抜けやすいんです。
だから、柄糸には
抜けにくいナイロンを使用することが多いんですが、
私達はあえてコットンを使って、
上質に仕上げたいと思っているんです。
伊藤
なるほど。
そんな事情が。
玉井
うちではこの柄糸を出にくくするために
改良を重ねてきました。
伊藤
10年のあいだに進化しているんですね。
玉井
はい、見えない部分ですけれど、進化しています。
靴下の方も、縦に入っているラインが
最初はもう少し太かったんですけど、
いろんな方の足の幅に合うように調整して、
今の太さに落ち着きました。
伊藤
へぇー、太さまで! 
色の組み合わせも、
どれもほんとうに絶妙です。
今回は玉井さんに
「このボアのコンバース
に合う靴下とタイツを」とお願いして、
膨大なカラーから選んで
ご提案をいただいたんですよね。
玉井
はい。そこから伊藤さんに選んでいただきましたね。
どれも全く違う色の組み合わせをご提案して、
結果、気に入っていただきましたけれど、
実はちょっと意外でした。
伊藤さんは、
もっと似た色のツートーンがお好きなのかなと
勝手に予想していたものですから。
伊藤
あら、そうだったんですね。
せっかくのツートーンだからたのしまなくちゃ、
と思って。ふふふ。
玉井
ええ、いい色のものができてうれしいです。
色以外に、素材もちょっと変化をつけていまして。
タイツの踵とつま先の部分、
それから靴下のラインの部分は、
シルクのような光沢のあるコットンを使っています。
伊藤
あ、ほんとうですね。
光沢がある。
玉井
素材自体は高級な「エジプト綿」なんですが、
シルケットと言って、
シルクのような光沢を出す加工を施しているんです。
色が違う部分は、素材も変えることで
デザインに表情をつけています。
伊藤
へえー。
靴下はよく見ると、
ラインの部分がちょっと浮いているような気がします。
とくに「Black×Wood」と「Light Gray×Gold」とか。
これは編み方を変えているんですか。
玉井
編み方はどれも一緒なんです。
伊藤
え?! 
じゃあ、糸の種類を変えているから
浮いて見えるんですか。
玉井
そうなんです。
色の効果もあるかもしれませんが、
糸自体の素材の特性で、
編んだときに柄が浮いて見える組み合わせなんです。
ベースも柄も同じ素材だったら、
きっと全体的にベターッとした印象になると思います。
伊藤
たしかに、色の部分は存在感がありますね。
スタイリングしていて、
この色がすごく効くなと思いましたよ。
玉井
内側にラインをもってきてもいいですよ。
伊藤
そうそう! 
ラインを外側にして穿くところを、
左右逆にして、ラインを内側にしてもいい。
玉井
はい、左右どちらでも穿いていただけます。
内側にラインがくると、
足を組んだりしたときに
ちらっと見えてかわいいんです。
伊藤
あ、それはいいですね。
玉井
コンバースとの相性も抜群なんですよ。
ローカットの履き口と、
靴下のラインの見え方がちょうどよくて、
私もよく合わせて穿いています。
伊藤
うんうん、タイツの色の見え方も、
コンバースにぴったりです。
それから、デザイン性のことだけじゃなく、
肝心の穿き心地も、すごくいいんですよ。
やわらかく馴染むし、すごく立体的です。
玉井
以前、一度、このデザインのウールでタイツを作った時は、
仕上がりにしっくりきていなかったんです。
それで今回お話をいただいたときに、
今度こそ、と思って作り方を変えました。
裏地に、よく伸びて体に沿うような糸を使っています。
伸びながら着る人の体をふわっと包んでくれる感じで、
タイツとして理想的な仕上がりだと思っています。
伊藤
わかります! 
玉井
お尻の部分にはマチを設けて、
足首は細く。
ウエストのリブは肌に直接当たる部分ですから、
かゆくなりにくいように太くしました。
伊藤
なるほど。
織り方で身体の部位にかかるテンションを変えて、
ストレスなく穿けるようにしているんですね。
玉井
そうです。
ワンサイズですが、
とにかく伸縮性の高い素材なので、
幅広い方にフィットすると思います。
着心地も、
「エクストラファインメリノウール」という
ウールの中でも一番繊細で柔らかいタイプなので、
気持ちよく穿いていただけます。
伊藤
ええ。
手にとって見ると、
ほんとうにいい素材だなって実感します。
玉井
素敵なお洋服を着ているときに
足元がおろそかだと、
かえって邪魔になってしまいますものね。
伊藤
ほんとうに。
見える範囲は小さいけれど、
それだけに足元って、すごく重要な気がします。
伊藤
ウールタイツは、家でお洗濯ができますか?
玉井
ウォッシャブルウールなので、
ネットに入れていただいて、
ウール用洗剤を使い、
デリケート、おしゃれ着洗いの水流であれば、
洗濯機で洗えます。
靴下もコットンではあるんですが、
裏の柄糸が抜け出てこないように、
ネットに入れていただくのが安心です。
粘着クリーナーでホコリを取るときは、
靴下もタイツも、色が切り替わるところだけ
避けていただくといいと思います。
伊藤
わかりました。大事に扱いますね。
それにしても、どの色も素敵だから迷ってしまいますね。
玉井さんならどの色が特にお好きですか?
玉井
そうですね‥‥、
選ぶ立場になって、ぱっと見た時に、
「Black×Wood」が好みだなと思いました。
黒地に明るい色が効いていて、かっこいいなって。
お客様も、こうやってかわいい“差し色”があると
たのしくなるみたいです。
伊藤
たのしいですよ。
服だと着られないなと思うような色でも、
靴下だったら冒険できますものね。
玉井
そうですね。
たのしんで冒険していただけるものを
作りたいと思います。
伊藤
今日はどうもありがとうございました。
(おわります)
2024-10-28-MON