「weeksdays」の撮影でいつもお世話になっている
ヘアメイクアップアーティストの草場妙子さんに
伊藤まさこさんがお話をききました。
話題は、今回のテーマである「白」からスタート。
ダークな色味の服が多め、というふたりの
白いアイテムの使い方とは‥‥?
そして、だんだんひろがっていったふたりのお話、
3回にわけて、たっぷり、お届けします。

草場妙子さんのプロフィール

草場妙子 くさば・たえこ

ヘアメイクアップアーティスト。
熊本県出身。サロンワーク、アシスタントを経て
2006年に独立、雑誌や広告、CMなどを中心に
幅広く活躍している。
著作に『TODAY’S MAKE -UP
──今日のメイクは?──』
がある。
2024年、週末だけのメイクアップサロン
WEEKEND MAKEUP ROOMを開設。

■Instagram
■website
■ほぼ日の學校「では、眉毛だけメイクしてみましょう。」
■weeksdaysの草場さん登場コンテンツ

02
足し算? それとも引き算?

草場
このTAMPICO、
めちゃくちゃおっきいですね。
伊藤
そうなんです。
これ、持つとうれしいの。
草場
うれしい気持ち、わかりますよ。
伊藤
この大きなバッグに、
あえてあんまりモノを入れずに持つんです。
大きいからといって、
荷物をいっぱい入れましょう、ということじゃなく、
ふつうのときに持つ。
草場
あえて、ふつうのときに?
伊藤
うん。スマートフォン、リップ、鍵、財布、
分量的には小さなショルダーやクラッチでも
いいくらいの荷物を、
あえて、この大きなバッグに入れる。
そのバランスがいいと思ったんです。
草場
伊藤さん、大きいバッグでも中身が少ないんだ! 
つまり、持って行くものに合わせて
バッグの大きさを選ぶんじゃなくて‥‥。
伊藤
そうなんです。
わたし、ふだん、持ち歩く荷物が少ないんですよ。
草場
私は、どんなサイズのバッグを持っても、
絶対に容量のマックスまでモノを入れちゃう。
それが悩みなんです。
伊藤
ふだんから? お仕事で、じゃなく?
草場
ふだんからです、もう。
それで、どんなバッグのときも、
絶対に別に持つのが
「CI-VA(チーバ)」のショルダーです。
伊藤
わたしも旅先でCI-VAを活用しています。
先日ソウルに行ったときも、大活躍。
ほんとは飛行機に乗るときも、
大きな荷物はすべて預けて、
それひとつでいたかったのだけれど、
さすがにパソコンを預けるのは不安だなぁと思って、
それ用のバッグも持ちましたけれど。
草場
斜め掛けにしたこのCI-VAに、
大事なものがちゃんと入っているというのが、
自分の中で大きな安心感になりますよね。
たとえば今日だと、リュックとは別にCI-VAを持って、
パスモとハンドソープと
リップクリームと財布を入れてきました。
伊藤
リュックの中には‥‥?
草場
今日は写真撮影があるから、
頭がボサボサにならないようにヘアオイル、
そして上着を入れてきました。
それから傘と水筒、打ち合わせに使う資料。
‥‥結局、パンパンになるんです。
だからこのTAMPICOは、
それをせず、中をすっきりして持ちたい! 
って思いました。
伊藤
ふふふ。友人に、海外旅行のパッキングは
「ほら、まだこんなに空きがある、まだだいぶ入る!」
って、どんどん詰めちゃう人がいるんです。
日程から考えてそんなに着替えはいらないはずなのに、
せっかく入るんだからと
色違いのセーターとか、持っていきたくなるんですって。
その友人は、スマートフォンの充電も、
いつも満杯にしておきたい派。
草場
それ‥‥、わかるかも。
伊藤
でも、でもね、草場さんは違うと思う。
だって草場さんのメイクのお仕事を見ていると、
足し算もするけれど、
その人らしい引き算メイクもなさるんです。
モデルさんのイメージや肌の調子、
スタイリングや光、演出に合わせて、
あえてファンデーションを塗らない、
という選択もなさるでしょう?
草場
そうですね、ヘアメイクでは引き算ができます。
あと、なぜか、旅に関しては引き算です、私。
ふだんの生活ではできないのに。
伊藤
あ、そうなんだ! 旅だけは別? 
草場
はい、旅に関しては、
「このトランクにどれだけ荷物を少なくできるか」
っていう課題を自分に与えるくらい。
伊藤
おもしろいですねぇ。
草場
ところがふだんの生活になると、
「これがあったら便利!」って、
どんどん足し算をしちゃうんです。
伊藤
ちなみに撮影のお仕事には、
いつも大きなトランクでいらっしゃいますよね。
草場
はい、現場に行くときは荷物がすごく多くて、
みなさんにびっくりされるほどなんです。
どうしてそんなに荷物が多いかというと、
たとえば冬はお湯を沸かす電気ポットと
湯たんぽを持って行ったりする。
それはモデルさんが寒そうだったら
その場でお湯を沸かして湯たんぽがつくれると思うから。
伊藤
へえ!
草場
それがなくて「ああ、あれがあればよかったのに、
ないからできない」っていう事態が起こることが、
すごく心配になっちゃう。
だから荷物はたくさん持っていき、
「あるけど使わずに済んだ」っていう選択をしています。
ヘアメイクの道具もそうで、
ちょっとの色の違いのリップとか、
発色のちょっと違うアイシャドウを持って、
その中から現場で選べるようにしています。
「これしかなくて、選べませんでした」
っていうのが、すごく嫌なんですよ。
伊藤
うんうん、そこはヘアメイクという職業ならではですね。
いっぽうで、さきほどの、
旅支度でトランクの荷物を
できるだけ少なくするという課題を
自分に与えるのって、
すごくおもしろい話だと思いました。
「課題」って「遊び」とも
言い換えられますね。
草場
うん、そうですね。
伊藤
これ(TAMPICO)もおっきいけど、
どれだけ少なく軽快に
おしゃれとして持てるかっていうのは、
遊びとしてみんなにもやってほしいな。
草場
たしかにそうですね!
伊藤
でも「絶対に荷物を入れないで!」
ってことじゃないんですよ。
ほら、これさえ持っていれば、
買い物しても入れて帰ることができる。
よく旅先の空港でよかったなと思うんですよ。
ついつい空港のいろんなお店で買い物をして、
デューティーフリーで最後にラストスパート! 
みたいなこともあって、
小さな袋をいくつも持つことになっても、
こんなふうに大きな空っぽのバッグがひとつあると、
まとめられてスマートだと思う。
もちろん、いっぱい買い物袋を持つ姿からも、
旅の楽しさが伝わってきたりするんだけれど。
草場
あはは! わかります。
伊藤
でも荷造りって人生と一緒かも?
草場
わっ、はい、ほんとうに。ふふふ。
伊藤
クローゼットやタンスの中もそう。
草場
それですよ、以前伊藤さんのお宅に伺って驚きました。
見ちゃいけない場所がないんです。
タンスだってパッと開けられても大丈夫なんですよね? 
伊藤
さすがに「ここだけなら開けてもいいですよ」
って言ってますよ~。
草場
でもね、いつでも開けた中まできれいっていうのは、
やっぱりほんっっっっっとに、気持ちがいい。
私もそうしたいけれど、
そこまでは、なかなかできないです。
伊藤
でも草場さん、
メイク道具は購入した箱ごととってあって、
お仕事で使ったらきれいに拭いて
元の箱にしまうんですよね。
それってすごいと思いますよ。
草場
メイク道具なら、できるんです。
整理整理しておかないと、
あとでわからなくなるから、
把握するという意味できれいに仕分けています。
でも家の中は‥‥。
伊藤
全然想像ができない。
ビシッてしてそうだもの。
草場
人のせいにしちゃいけないとは思うけど、
夫に収集癖があるんですよ。
しかももともと夫が住んでいた家に私が越したので、
最初からモノが多かった。
そして今一番悩んでいるというか、
やらなきゃと思っているのが、
「自分の服を減らす」っていうことです。
伊藤
服、増え続けますものね。
草場
そうなんです。
いよいよクローゼットからはみ出しちゃったので、
収納用のラックを買い、
部屋のすみにそれを置いて、
アウターだけ入れていたんですが、
それもパンパンになってきたので、
もういよいよかと。
伊藤さんはどうしているんですか。
伊藤
わたしはラック2本にアウターやジャケット、
ワンピースなどを収納していたんですが、
ここ数ヶ月でさらに整理して、
今は1本半で済んでます。
草場
わあ、すごい! それだけ‥‥?
伊藤
1年通してそれだけ。
友人が見て「え? これだけなの?」って、
すっごくびっくりしてました。
草場
別に衣装ケースとか、ないんですか。
伊藤
キャンバス地のボックスが3つあって、
そこにニットなどを入れていますよ。
あとはチェストがひとつ。
草場
そんなふうにスラスラ思い出して数が言える段階で、
いかに荷物が少ないのかわかります。
私、数を把握していませんから。
(つづきます)
2024-11-19-TUE