「weeksdays」の撮影でいつもお世話になっている
ヘアメイクアップアーティストの草場妙子さんに
伊藤まさこさんがお話をききました。
話題は、今回のテーマである「白」からスタート。
ダークな色味の服が多め、というふたりの
白いアイテムの使い方とは‥‥?
そして、だんだんひろがっていったふたりのお話、
3回にわけて、たっぷり、お届けします。
草場妙子さんのプロフィール
草場妙子
ヘアメイクアップアーティスト。
熊本県出身。サロンワーク、アシスタントを経て
2006年に独立、雑誌や広告、CMなどを中心に
幅広く活躍している。
著作に『TODAY’S MAKE -UP
──今日のメイクは?──』がある。
2024年、週末だけのメイクアップサロン
WEEKEND MAKEUP ROOMを開設。
■Instagram
■website
■ほぼ日の學校「では、眉毛だけメイクしてみましょう。」
■weeksdaysの草場さん登場コンテンツ
03ヘアメイクで最初に考えるのは
- 伊藤
- 今回の「冬の白」の撮影のお話も聞かせてください。
草場さんがどんなふうにヘアメイクを考えるのか、
きっと読者のみなさんも参考になると思うんです。
どういうところから始めるんですか。
- 草場
- 撮影で、どういうヘアメイクにしようか、というとき、
いちばん大事にしているのは「バランス」です。
全体のトータルコーディネートから、
バランスを考えるんです。
- 伊藤
- 当日、モデルさんやスタイリングを見て?
- 草場
- はい、当日ですね。
- 伊藤
- そうなんだ。わたしが急に
「やっぱり靴はこっちにする!」
とか替えたりするものだから、
草場さん、大変だろうなと思っているんですけれど。
- 草場
- いや、全然、そんなことないですよ。
- 伊藤
- そう? でもたいてい「わかりました!」と、
さっと髪をまとめたりとか、
ちょっとだけ色を足したりして、
変化をつけてくださるのが
すごいなって思っているんです。
やっぱりそれは、バランス?
- 草場
- そうですね。
おっきいところで言うと、
やっぱりヘアはすごく大事で。
人がひとり立っているとすると、
ヘアって面積がおっきいですよね。
メイクは真正面からだけなんですけれど、
ヘアは前・横・後ろがある。
そういう意味合いでは、
まずヘアのバランスにポイントを置いて、
全体のシルエットによって
コンパクトにした方が合うのか、
ちょっとフワッとして軽やかさがあるほうが合うのか、
そういうことを考えますね。
- 伊藤
- 服の素材にもよるんですか?
フワッとしてるからとか。
- 草場
- はい、服の素材にもよりますね、結構。
色のことも、もちろん考えるんですけれど、
それよりも素材です。
最初に伊藤さんがおっしゃった通り、
冬の服って、結構厚手で重たく、
沈みやすい色のものが多いので、
髪の毛を重たくするっていう選択肢はあまりない。
そして「まとめる」にしても、
スッキリとコンパクトにするか、
フワッとさせるか、
ちょっとツヤを出して艶やかにするのかなどで、
シルエットのバランスが変わります。
そこを決めるときはメイクと一緒で、
その人物像をどうしていくか、ですね。
ちょっとかわいらしい人なのか、
スポーティでヘルシーな人なのか、
ちょっと大人っぽいキリッとした人なのか、
そのさじ加減が、質感だったり、
ニュアンスだったり、
色になったりするんです。
今日は秋冬のお洋服で
コートなど大人っぽい雰囲気だったので
シャープな印象に仕上げようと思いました。
- 伊藤
- じゃあたとえば今回のTAMPICOも
2種類の大きさがあるけれど、
そのスタイリングによって
ヘアメイクもちょっと変えたり?
- 草場
- 服の方をどちらかというとメインに考えます。
バッグとか靴、ネックウォーマーって、
メインになるというより、
差し色とか小物の扱いですから。
今回の場合は、黒いトップスに黒い髪が重なるとき。
どんなシルエットになるかをまず考えました。
- 伊藤
- ネイルは、イエローでしたね。
- 草場
- はい。ネックウォーマーやグローブの白が
差し色としてスタイリングされていて、
つまり「ポイントとして効かせる」白だったので、
グローブの手元に視線がフォーカスされるように
イエローのネイルにしました。
- 伊藤
- とってもきれいでした。
かわいかった!
- 草場
- かわいいですよね。
白ってすごく万能だと思っていて、
白に合わない色ってほとんどないじゃないですか。
- 伊藤
- たしかに!
- 草場
- ただ、たくさんの白があって、
オフホワイトや生成り、
青みのあるパキッとした白など、
「白」と一言で言っても、
全く印象が違いますよね。
- 伊藤
- そうですよね。
じゃあどんな白かで、
メイクの色味も変化する?
- 草場
- はい。例えば生成りだと、
メイクはあまり色をつけません。
逆にパキッとした白はコントラストがついて
ナチュラルすぎるとその白に負けてしまうので、
意識的に色味を足したりします。
- 伊藤
- パキッとした白には
赤いリップとかも似合いそう。
- 草場
- そうですね。
ちょっと青みの強いパキッとした白は、
色味が乗った方が合うなと思っています。
とくに年齢を重ねた方だったら、
その白に負けないようにと、気をつけています。
- 伊藤
- この白の中ではこのネックウォーマーが
いちばん“白い”ですね。
- 草場
- そうですね、このネックウォーマーは
どちらかというとはっきりとした白なので、
今回の撮影での肌作りは、
ナチュラルというよりは、
くすみをしっかり取りました。
ヘアメイクをする上で
マスカラを塗らないことがよくあるのですが、
今日はマスカラをつけて、
リップもしっかり色味があるものを選んでいます。
今回は「大人っぽく、シャープに」でしたけれど、
白に合わせるときは自分が持っていきたい印象次第で
合わせる色やヘアメイクの雰囲気を選ぶのが
いいんじゃないかなって思います。
- 伊藤
- なるほど!
草場さん、ありがとうございました、
とっても勉強になりました。
いろいろなお話を聞かせていただいちゃった。
- 草場
- 大丈夫でしたか、
じつは対談って慣れていないから、
ずっと緊張していたんですよ。
話が逸れちゃってすみません。
- 伊藤
- いえいえ、楽しかったですよ。
またぜひ、よろしくおねがいします。
- 草場
- よかった。
こちらこそありがとうございました。
(おわります)
2024-11-20-WED