REPORT
ルームパンツのある風景。
[2]旅先で。
旅に出ると、高揚感とともに、
ちょっとだけ感じる、日常のなつかしさ。
伊藤まさこさんにとって、
緊張のなかに安心をとどけてくれるのは、
「いつも使う、だいじなもの」だったりするのです。
友人は、ふだん家で使っているタオルを
旅に持っていくのだそう。
ホテルのは使わないの?とたずねると、
「枕にこれを引くと、よく眠れるから」って。
使い慣れた肌ざわりの自分に馴染んだタオルは、
旅先のどんなホテルでも、
家にいる時のような居心地にしてくれるのだとか。
そういえばとふと思ったのが、
ホテルに備わっているパジャマ兼部屋着。
うーん、ちょっとこれじゃぁないんだよな。
そう思いつつも着てしまい、
ふと鏡に映った自分を見た時の居心地の悪さ。
たとえ一晩しか泊まらないとしても、
気に入ったものを身につけたい。
気持ちのいいものを着ていたい。
だから私は、
ルームパンツを旅に持って行きます。
これから何度も洗って履いてを繰り返し、
やがて自分にしっくりくるようになるといい。
そう、友人のタオルのように。
(伊藤まさこ)
2019-03-21-THU