REPORT

田代淳さんのお椀、
わたしの使い方
伊藤まさこ 
02 いつもの料理で

名前は「そば椀」。
でもおそばだけじゃないんです。
漆のお椀のいいところは、
軽くて、あつあつの料理を盛っても、
もつ手が熱くなりすぎないところ。
そしてなにより、ふところ深く、
いろんな料理を引き立ててくれること、
そして伊藤まさこさんによれば
「テーブル上のスタイリングにも、
一役買ってくれる」んですって。
田代淳さんのそば椀を使い始めて1年の伊藤まさこさんに
いつもの使い方を、
料理とスタイリングといっしょにうかがいました。
4つの料理が登場します、
ぜひ参考になさってくださいね。

(文・写真=伊藤まさこ)

そば椀は高さおよそ9.5センチ
(そのうち高台の高さ2.5センチ)。
ふだんよく使う器と並べてみると、
背が高いことが分かります。

スタイリングで、
この高低差って、じつは重要。
平らな器ばかり並ぶと、
テーブルがちょっと退屈な印象になってしまうのです。

また、陶器や磁器の中に、
あたたかな漆器の質感が加わることで、
おだやかな印象にもなる。

「軽い」とか、
「手に持っても熱くない」など、
漆器のいいところはいろいろありますが、
テーブル上のスタイリングにも、
一役買ってくれているというわけ。

小さなおかずは
(この時は牛すね肉とこんにゃくと大根の煮物)
こんな風におおらかに盛って、
取り分け用の器を添えても。

ひじきの煮物や、ナムルなども相性よし、です。

溜(黒)もいいけれど、
かわいらしい朱も好き。

料理によってどちらがどうとは、
決めていませんが、
自分の傾向を探ってみると、
キリッとさせたい時は溜、
あたたかいイメージにしたい時は
朱をえらんでいるようです。

ちょっとお腹が空いたな、とか、
胃が疲れたな、なんて時に作るのが、
昆布だしに梅干しを入れただけのお雑煮。

餅が好きなので、
お正月だけでなく年中食べます。
(玄米餅で作りましたが、
もちろんふつうのお餅でも。)

味のアクセントは、
餅を焼く時にちょっとつける焦げ。

素っ気ない料理でも、
素っ気なく見えない。
それが、このそば椀のいいところなのです。

2024-12-17-TUE