REPORT

ニーチェア・わたしの使い方
伊藤まさこ

「weeksdays」のコンテンツ
「『わたしのため』の場所をつくる」にも登場した、
伊藤まさこさん私物のニーチェアエックス。
対談の1回目では、1枚目の写真のいちばん奥に
畳まれている姿がちらり。
5回目では、糸井重里がニーチェアエックスに
座っているすがた
が写っています。
今回は、あらためて、伊藤さんの山の家での使い方を、
詳しく教えていただきました。

写真=有賀傑

軽井沢の山荘で

オイルフィニッシュのニーチェアエックス、
私は軽井沢の山荘に置いています。

ここは60平米に満たない小さな空間なので、
置く家具は、
「主張をせず、家を引き立たせてくれるもの」
それから、
「コンパクトで移動しやすいもの」
このふたつの条件を満たすものが
いいなと考えていたのです。

4段のスキップフロアの手前が、
リビングと小さなダイニング(入り口もここに)、
奥がベッドルームになっているのですが、
ニーチェアの定位置はベッドルームの窓際。

滞在中は広げて読書をしたり、
窓の外をぼーっと眺めたり、
時には膝にパソコンを乗せて原稿を書いたり。
座った時の安定感と、
包まれている感じがいいからかな、
ここにいる時間がとても長いんです。

また、
季節や時間によって窓からの光が変わるので、
自分にとってのちょうどよい明るさを追いかけながら、
ニーチェアを移動。
私でも簡単に持てる「軽さ」も魅力のひとつです。

折りたたんだニーチェアの横に置いたのは、
私が初めて両親に買ってもらった椅子、
そしてその横は「こんなのがあったらいいな」
そう思って作ったハーフラウンドテーブル。

今まで家具はあまり考えなしに、
デザインに惹かれてえらぶことが多かったのですが、
この山荘に置く家具は、
デザイン以外にちょっとした自分の想い
(ちょっと大げさにいうとストーリーみたいなものを)を
加えたかった。

山荘が建ったのは私と同じ生まれ年の1970年。
ニーチェアの誕生も1970年。
なにか縁を感じたというのも、
置きたくなった理由のひとつなのでした。

シート生地にグレーをえらんだのは、
以前weeksdaysで作ったクッションと
共通性を持たせたかったから。

結果、白と黒でまとめた空間を、
グレーが取り持ってくれました。

ニーチェアの肘掛け部分、
オイルフィニッシュの木の色合いは、
リビングの梁とも相性よし。

窓の外に木がたくさんあるので、
フローリングはやめようとか、
木の家具はなるべく置かずに、などと思っていたのですが、
この「ところどころの木」というのが、
インテリアに温かさをくわえてくれたようです。

2025-02-26-WED