岡山・倉敷のデニム縫製工場から生まれた
老舗のデニム&服飾のブランド、
JOHNBULL(ジョンブル)。
「weeksdays」に初登場となるこのブランドについて、
プレス担当のサリュコワ・マリアさんと、
営業担当の林聡さんにお話を聞きました。
会社とブランドの歴史、
たくさんあるサブブランドのこと、
岡山の工場を拠点に
地元のネットワークをいかしたものづくりのこと、
古着のこと、デニムのこと、
そして今回取り扱うサロペットとコートのこと。
13歳から日本に暮らしているマリアさんのことも、
伊藤まさこさんがたっぷりお話を聞きましたよ。
サリュコワ・マリアさんのプロフィール
Salyukova Maria
ロシアで生まれ、13歳から日本在住。
岡山県倉敷市を拠点とするデニムプランド
「JOHNBULL(ジョンブル)」のプレスのほか、
コンセプトストア『モーイストア』 の
ディレクターも務める。
ファッションとインテリアはヴィンテージが好き。
02日本といえばデニム?

- 伊藤
- 歴史の長いJOHNBULLですから、
ずっとファンだというお客さまも
たくさんいらっしゃるんでしょうね。
- マリア
- はい、買い足してくださるお客さまが
おおぜいいらっしゃいますね。
そして、ここ最近だと日本のお土産で買ってくださる
外国のお客さんも増えてきました。
- 伊藤
- 海外のみなさんは、どうやって知るんでしょう。
- マリア
- 東京の表参道に旗艦店があるんですけど、
そこにふらりと立ち寄ってくださったかたが、
「すごくいいものだね」と買ってくださって、
その後、日本に来るたびに
何回もリピート買いをなさったりするんです。
家族に買って行かれる、と聞いたりして、
とてもうれしいんですよ。

- 伊藤
- どこの国のかたが多いですか。
- マリア
- アジアのお客さまも多いですけれど、
欧米、とくにヨーロッパのかたが多い印象ですね。
みなさんデニムが「Made in Japan」であることを
気にして見てくださいます。
今は“日本といえばデニム”なんですよ。
ジャパニーズデニムは、
ひとつのお土産物になっています。
- 伊藤
- 日本といえばデニム!
今や世界でそういう評価があるんですね。
たしかにデニムの需要って、
最近、すごく高まっているように思います。
- マリア
- はい。デニムは今、流行っています。
トレンドということもありますよね。

- 伊藤
- 古着のトレンドも、そうですよね。
海外から買い付けた古着でも、
日本の古着屋さんが店頭に並べるものは
「きれいで安心」と言われるんですって。
日本ってそういう安心感があるんでしょうね。
- 林
- たしかに。
- マリア
- 今、古着市場は日本が最先端なんです。
日本の古着屋さんは、
世界のトレンドセッターなんですよ。
日本の古着屋さんが今いちばん
流行りものを取り扱っているというか、
提案をしているんですって。
- 伊藤
- ちょっとうれしい話ですね。
- マリア
- 海外でも日本の古着屋さんを意識している
ヴィンテージショップが多いと聞きますよ。
日本にわざわざヴィンテージショップ巡りで
来たりするんですって。
- 伊藤
- わたしは最近行かないけれど、
街に、いっぱいありますものね、古着屋さん。
- マリア
- いっぱいありますね。
売れているとも聞いています。下北沢はほんとに。
- 伊藤
- ところで、マリアさんは今、
JOHNBULLでどういう役割のお仕事を
なさっているんですか。
- マリア
- 私はプレスで、
JOHNBULLの文字情報もそうなんですけど、
シーズンビジュアルなどを
各ブランドで担当しているんです。
- 伊藤
- 12のブランドを、全部?
- マリア
- そうなんです。
- 伊藤
- 頭の切り替えはどうするんですか?
- マリア
- 私の働いているところは、
わりと近くに企画の人たちがいて、
企画段階から横で見ているので、
このブランドは今こういう方向性に行っているんだな、
というのを日々感じて、それを反映させています。
- 伊藤
- どういうふうに写真を撮ろうとか、
モデルさんは誰を選ぼうとか、
どういうシチュエーションで展開して、と、
そういうことを?
- マリア
- はい。
- 伊藤
- しかも展示会って、
年に2回だけじゃないですよね。
- 林
- そうです。たくさんやってるんですよ。
メインのところは年6回なんですけど、
プラスαでさらに何回か。
- 伊藤
- 大忙しですね。
- マリア
- そうですね。
- 伊藤
- この冊子も、マリアさんが?
- マリア
- はい。それはフリーマガジンで、
最近のJOHNBULLを伝える
ZINE(ジン)として出しているんです。
- 伊藤
- これだけ多忙なのに、こんなことまで。
- マリア
- 「やってみたらおもしろいかな」と思って。
紙のカタログは5年ぐらい前に
やめているんですけど、これは、あえて、紙で。

- 伊藤
- すごい! オンラインの時代ですから、
カタログはデジタル化しているけれども、
こういった大事なコンセプトを伝えるために、
あえて、紙媒体を選ばれたんですね。
- マリア
- そうなんです。
そして、紙でつくるからには、
すぐには捨てられないような、
読み応えのある楽しい一冊にしたくて。
つくってみたらおもしろくて、
思いのほか好評だったので、
この第2号をつくりました。
本社の、縫製を担当している人たちも、
すごく喜んでくれました。
- 伊藤
- そうですよね。紙媒体って、うれしいですよね。
これをマリアさんが編集をしているんですね。
- マリア
- そうですね。
もちろん実際のライティングや撮影は、
外部のプロのかたにお願いをしていますけれど。
- 伊藤
- エディトリアル全般を見る役割ですから、
マリアさんは編集長ということですよ。
- 林
- たしかに。
- マリア
- そんな、編集長!
- 伊藤
- 52ページあるんですね。
- マリア
- 『OLIVE』っぽさを、少しだけ意識しています。

- 伊藤
- 『OLIVE』をご存知なんですね!
- マリア
- 『OLIVE』好きですよ。
- 伊藤
- そっか、マリアさんは13歳で日本にいらしたから、
思春期に、日本の雑誌文化に触れている。
- マリア
- そうですね、90年代でした。
当時の私は『making plus(メーキングプラス)』っていう
『装苑』から出ていた雑誌を愛読していました。
型紙がいっぱいついてる雑誌だったんです。
日本の雑誌にハマっていましたね。
- 伊藤
- そうなんですね!
- マリア
- 雑誌が楽しかった時代ですよね。
『装苑』もそうですし、
『Zipper』とか、その時代。
- 伊藤
- それこそ『Zipper』は女の子で、
男の子はなんでしたっけ?
- マリア
- 『Boon』かな?
- 林
- ぼくは『Boon』読んでましたよ!
中学生ぐらいだったと思うんですけど・
- 伊藤
- 雑誌で世代がわかりますね。
林さんがJOHNBULLに入ったのは、
どんな経緯だったんですか?
- 林
- 会社にいるデザイナーから
誘ってもらったっていうのがシンプルな理由ですが、
デニムをはじめ、こういうものづくりが元々好きで、
とくに日本製は前職でも携わってきたので、
新しい場所で何かできたらいいなと思ったんですよ。
JOHNBULLでは、企画にも多少携わりつつ、
営業として働いています。

- マリア
- バイヤーさんに向けた営業ですね。
- 林
- ある程度ものづくりを理解してるので、
“別注”を担当することも多いんです。
- 伊藤
- 今回、わたしたちが
「こういうふうにしたい」とお願いしたことが、
すごくスムーズに進んでいくので、
ほんとうに助かりました。
- 林
- よかったです、ありがとうございました。
- 伊藤
- 今回、ノーカラーオーバーコートは
そのままオーダーさせていただいたんですが、
コットンリネンサロペットのほうは
ネイビーが「weeksdays」の限定色です。
こういったケースはあるんですか?
- 林
- この企画に関しては「weeksdays」だけです。
でもほかのアイテムに間しては、これまでも、今も、
ショップからの別注がありますよ。
- 伊藤
- そんな展開もなさっているんですね。
(つづきます)
2025-03-11-TUE